YOSHIの果てしない旅(人々との出会い、そして別れ)

ソ連、西欧列車の旅、英国滞在、欧州横断ヒッチ、イスラエルのキブツ生活、シルクロード、インド、豪州大陸横断ヒッチの旅の話。

シーラの実家にて~モーガン家の周りの様子

2021-08-31 14:33:06 | 「YOSHIの果てしない旅」 第5章 イギリス
△ヘンドリッドの滝(PFN)

・昭和43年8月31日(土)晴れ(モーガン家の周りの様子)  
 今朝、起きて暫らくしても腹痛がなかった。1週間振りに平常状態になった。一時はその痛みで苦しみ悩んだが、治って本当に良かった。そして1週間振りに朝食が取れた。モーガン家の朝食は、目玉焼きにベーコン、キュウリ、トマト、チーズ、バター、そして紅茶で昨夜と同じであった。
 食事の後、シーラの案内でケネスと共に近所へ散策に出掛けた。周りの様子や景色は、昨日書いたので省略します。
家から10分位行った所にHendryd Falls(ヘンドリッドの滝)があるので、そこへ行った。彼女は落差100フィート(30m)あると言ったが、私の見た目では20m(約70フィート)位の落差しか見えなかった。冬には滝が凍って氷柱が出来て、その景観は美しいと言っていた。
滝の裏側を見る事が出来るので、裏側を歩いて向こう岸まで行った。まさに「裏見の滝」であった。規模からすれば、『伊豆の浄連の滝』位で日本では、観光スポットの一つになる様な所であるが、土曜日にも拘らず観光化されていないので、我々3人以外誰もいなかった。彼女は、「昔この辺りでよく遊んだ事があった」と言っていた。滝を見た帰り、柔道場があると言うので立ち寄って見たが、練習時間ではないらしく誰もいなかった。でもこんな小さな村に柔道場があるなんてビックリした。子供を始め稽古する人が何人いるのであろうか。ウェールズの田舎にまであるのだから、柔道は本当に国際化になった、と実感した。
 所で、私はコロブレンを「小さい村」とか、「田舎」と表現しているが、人口が何人いるのか、又、どの位の広さがあるのか分からなかった。ただモーガン家周辺は人家が少ないので「小さい」とか、田舎の様なので、「田舎」と言っているだけで、畑は無く農家も一軒もなかった。            
モーガン家は、コロブレンのBrynawelon(ブリナウィロン)と言う地区なので、その様な幾つかの地区・地域が統合されてコロブレンが形成されているので、人口がかなりあり、広いのかもしれなかった。
話を戻すが、我々3人はその道場から廃止になった線路を歩いて戻って来た。途中、私はその線路の砕石の中から5㎝立法程の化石一つを発見した。ビッグな発見と思い、誇らしげに彼女に見せた。彼女は、「ウェールズは昔、海底に沈んでいたので、この様な化石(彼女は「Shell Stone」と言っていた)は容易に見付けられ、珍しくない」と言って、私をガッカリさせた。『ウェールズのお土産として日本へ持ち帰ろう』と思い、私はその化石を大事にポケットにしまい込んだ。
 この線路は、彼女が学生時代に営業をしていたと言うが、炭鉱の斜陽化、閉山に伴い廃止されたのであろう。鉄道もバス路線もないこの村の足は、車が主体であった。
 家に着くと、モーガン家の愛犬と他の家の犬が取っ組み合いの喧嘩をやり始めた。ケネスは直ぐに分離させ、愛犬を腕に抱えてしまったが、彼女は他の犬に向かって自分のサンダルを投げつけた。その犬に当たったので、「キャンキャンー」と鳴いて逃げ去って行った。
「Do not illtreat dogs, Sheila」(シェイラ、犬を苛めてはダメだよ)
「Oh, sorry. Yoshi」(ごめんなさい)
彼女は、「自分は犬が好きだ」と言っていたが、この光景を見た私は、彼女の犬好きにクエスチョンマークであった。
 午後、「海水浴に行く」と言うので、私はちょっとビックリした。その訳は、朝晩暖炉を燃やしている程に気温は低めなのに、『如何して海水浴なの』と言った感じがあった。ダディは昔炭鉱夫であったので、今でも石炭が無料で配られるそうだ。この地域ではまだ、細々と産出しているのであった。
 ともかく一家皆で自動車に乗って出掛けた。念の為であるが、イギリスは右ハンドル、左側通行で日本と同じであった。
25分程でニースの海岸に到着した。今日は土曜日で晴れている所為か、海水浴客、行楽客が多く来ていた。しかし、海水が冷たいのか泳いでいる人は、殆んどいなかった。彼等の多くは海に入らず裸になって、波打ち際で日光浴をしているだけであった。
 私は、海(ブリストル海峡スウォンジー湾)に入って泳いだが、案の定冷たく、5分と入っていられなかった。直ぐに上り、2度と海に入る気はしなかった。私とケネスは、海を見ながら日光浴していたが、それでも裸で長くいると寒くなって来たので、私は服を着てしまった。
この小さな玉砂利の浜辺近くに、小さめの遊園地があった。ダディ、マミとシーラは、そちらの方へ行って、海水浴は勿論、日光浴もしなかった。
過去、洋画のシーンでセーターやコートを着ているのに、ストーリーの中で海水浴のシーンを見た事が何回かあった。しかしその時は、そのシーンの季節・時期が寒いのか、海に入るほどだから暑いのか理解出来なかった。しかし今日の様な状況だと、日本の海水浴とイメージが全く違う、と言う事が分ったのであった。
 私がウェールズに来て、2日目が過ぎようとしていた。モーガン家の様子も分るようになりつつあった。
 
  △ヘンドリッドの滝(PFN)