いつかのキャバリーマン

だらだら生きていたぐーたら大学生がキャバ○ラ経営者にのし上がる。~人生は20代をどう生きるかで決まる!~

「 苦難の新店長誕生」いつかのキャバリーマン Vol.22

2006年05月01日 | 日記
今、僕は指名係という店の司令塔として働いている。
この業界では、長い長い下積みを経て。

そして、課せられた数字もクリアし、さらに順調に伸びている。
しかし、まだまだ納得のいくサービスを作り出せているわけではない。
戦場のような1日を終え、帰路に着くとその日の出来事をフラッシュバックしながら毎日反省を繰り返す。

満足いく結果とは何なのだろうか?目標を達成してもさらに上の目標が見えてくる。この永遠とも思える回廊をひたすら走っている気がする。

まぁ、少し前までは。ダメ男のレッテルを貼られてたのだから、そのときと比べればずいぶんマシな仕事をしていると思う。良く耐えて頑張ったと思う。

ダメ男がここまでこれたのはいくつかの要因があると思う。

1.つまらない仕事も工夫して楽しむように心がけ熱心に取り組んだ。

これは僕にとってはほとんど無意識だが、今思えばそう簡単にできるものではない。何事も人は楽しむ事を見出さなければ力を発揮できないのだ。また、つまらないことも直向に続ける事が重要で、どんなつまらないことでも得るもはある。そして、つまらない仕事を続けられる人は、土壇場での力を発揮
  
2.仕事の基本ともいえる、優先順位付けと業務の先を読むことを覚えた。
  
どんな仕事にも通ずることだと思う。お客様は優先できても、チームプレイを優先できない人は周りからの信頼を得ることはできない。いかにチームに貢献できるかがチームにおけるその人の価値なのだから。

3.自分の置かれた立場は低くとも、店全体を社会の投影と考え鳥瞰する視点を 持った。

人が何処にモチベーションを持つかはその人の視野で決まるのだと思う。僕は世間知らずだったため、キャバクラを日本の縮図と思えた。それによって、店で起こる様々な問題も社会現象と照らしあわせて鳥瞰した視点で見れるようになり、人間や組織を理解することができた。こういった視点を持たずに、単なる給料を稼ぐ場としてみていると、それぞれの問題が自分の業務と関係ない場合は見てみぬ振りをしていただろう。逆に言うと、人のモチベーションを高く維持するためには、できるだけ広い視野を共有することが肝要だ。

4.常に仕事を生きるための勉強と思って何事からも学び取ろうとした。

僕は学校の勉強は大嫌いだった。中学校ぐらいから意識し始めたのだが、嫌いな科目は授業に行かないことも多々あった。なぜなら、その意義を説明できる先生がいなかった為だ。何のために一生使うこともない暗号のような人名を覚える必要があるのか?そんなことより、歴史的な背景から人や組織がどう判断したか、世論がどう動いたか?人がどんな苦労をしたかなどを理解し、そこから自ら未来を予知、推測する思考力をつけることのほうがはるかに重要だ。業務においても同様で、勉強は将来役立つ思考を生むものに他ならない。その勉強はダイレクトに業務成果につながる。ひいては生きるために勉強するのだ。少なくともキャバクラでは、いくら
高い役職についたところでその勉強を怠った者には将来は無い。


5.お客さま、従業員と区別なく誠意をもって耳を傾け、相手の心理状態を正確に把握することに努めた。

人の話に誠心誠意を持って耳を傾けることは、組織を動かす上で最も重要なことだ。たとえその話が100%嘘だったとしても。そして、その話を聞くだけではなく、その人がいったい何を考え、その発言をしているのか?また、何を意図しているのか?を正確に把握する必要がある。そのためには、ある程度人の心理パターンを把握し人の心がわかるようになる必要がある。人の心が理解できてはじめて人を動かすことができるのだ。

6.そして、最後に人から馬鹿にされ続けても、我慢し自分のやるべきことに集中した。
 
人の目は把握する必要はあるが、気にする必要はない。本来やるべきことをやり遂げることが先決なのだ。ただし、周りの人間を動かすには自分のブランドが必要。できる人、できない人の周りからの評価は初期段階でつく。それを覆すことは至難の技なのだ。つまり、スタートダッシュが成功の道ではないか。僕は大失敗したが・・・・

と、まぁこんなところだろうか?
後からまとめてみると、カッコいい言葉でまとまるが、そのときは目の前の苦難のハードルを越えるために必死になっているので、無意識の場合が多い。
いろいろ苦労が多かったが、僕なりに良く頑張ったと今でも思う。

ある日、僕は、いつもの出勤時間より1時間ほど早く店長から呼び出された。
店に行くと、掃除のまだできていないボックス席に一人店長がいた。
見慣れない書類がたくさんテーブルにあった。
店長は神妙に話始めた。

「俺は、今月一杯で、店を辞めることになった。君に引き継ぎたいのが・・・・」

「ええーっ!!」

青天の霹靂とはこのことだ。面々の先輩や同待遇の同僚を差し置いてなぜ僕なのか???店長は続けて話した。

「お前、初めて見たとき、この子大丈夫なの??って思ったよ・・・」
「使いものにならなかったので、どうやって辞めさそうか本気で考えたぐらいだ・・・」
「いろいろ怒鳴り散らして、スマンかったのぉ・・・」
「でも、この店始まって以来一番成長したのがお前だ・・・」
「もう大丈夫だろう」

こんなこと言われて、断れるわけがない。
このとき僕はひどく驚いたが、その後の心境は覚えていない。
ただ、店長が卒業していく生徒を見守るようなあたたかい目で見ていた事は良く覚えている。

そして、そのとき。
平成×年8月31日 18:30 新店長は誕生したのでした。

さらなる苦難は待ち構えている。

つづく。


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