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国際法資料集(日本評論社)

2010-08-28 23:40:16 | 出版文化

同一出版社で書評(○セミ)がでてしまうのは、これはちょうちん記事と疑われても...という皮肉は脇においておく。
web国際法の草分けでもある、西谷元教授の資料集でずっしりとくる。
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ページ数と情報量を増やすために、破れにくくにじまない軽量紙を使用した関係者の英断には敬意を表したい。
1.資料の膨大さ(地図(プレアビヘア・低潮基線等)・新聞記事引用)は緻密で、これまでの蓄積を十分感じる。
引用資料について、若干疑問の残る点がいくつかある。
2.国際法の法源説について、オースティンを引用し、日本の学界で支配的なケルゼンやハートをすっ飛ばしていいのかよくわからない。
3.新聞記事引用は多いが、国内裁判の引用の際には、判例タイムスや判例時報などが適切ではないか?国会答弁を国家実行であると認識・評価するか、次の機会にご議論願わねばならないのか?「脚注」は、編集者が意見していい領域だろう。「時報」の蓄積がある以上は。
4.安全保障について国連と人道・武力紛争法の間を埋める部分(非軍事的措置?)の資料は弱いかもしれない。
これを読みながら「戦略原論」(日本経済新聞出版社)の第15章を読むと基本文献の引用が抜けて、残念な結果になっていることを並行して思い出してしまう。##