続き
黄砂を来て黄砂へ向かう定期券 宙虫
〇(楊子)がんばれー!という気持ちです。「24時間戦えますか」はもう古いですよ。8時間でいいですから。
◯(アゼリア)省略が効いていると思います。黄砂や漁船ありがたくないものがやって来てしまいます。
〇(珠子)黄砂とコロナ禍の中の淡々とした出勤。私は定期券を持ったことのない人生だったことに初めて気が付きました。
◎(餡子)今回の黄砂・・。西日本は大変だったようですね。「定期券」が常の暮しを省略、象徴していて妙!
〇(まきえっと)今年の黄砂は結構酷かったようですね。定期券の使い方が面白いです。
◯(ルカ)どこへゆけども黄砂を逃れられず。
ビル映す濠は青空鳥帰る めたもん
◯(道人)作者の視点とおり読み手の眼も動く。季語がとても効いている。
○(幹夫)美しく大きな青空の中、一点を鳥が帰る。お濠が煌めています。
○(敏)濠に映った青空と鳥。映像が目に浮かぶ。
万愚節右も左も回り道 敏
◯(アネモネ)「右も左も」が上手い。
◎(あちゃこ)世の中も、そこに生きる人々も、愚かにも回り道を余儀無く選択させられている気がします。嘘に振り回されて笑っていられませんね。
○(餡子)回り道をしたり、道に迷ったりした方が面白い人生になります。
〇(まきえっと)取り合わせが面白いです。
○(仙翁)エイプリルフール、騙されたように回り道。
春夕焼生活に多きまわり道 まきえっと
〇(藤三彩)買い物のついでに投函とか、クリーニング屋に寄るとか確かに多きまわり道。
○(餡子)急がば回れといいますから、いいんですよ。回り道の方がいろいろなことに気付いていいもんです。
白蝶の付かず離れず迷い路 あちゃこ
〇(多実生)蝶の世界も恋の季節です。
○(めたもん)「付かず離れず」ふらふらと飛ぶ蝶のさまは、(人生の)路に迷っている焦燥のようにも。
◯(ルカ)人間も蝶も迷いそう。
〇(ちせい)二頭のその後が気になりました。
起重機の轟音止みて初蛙 アゼリア
四月馬鹿と密偵盗賊耳覆う 瞳人
柔らかき日差しの中の木の芽かな 泉
そもそもは旅にいた頃花筏 珠子
〇(藤三彩)桜散る頃にどなたが旅にいたのでしょう。芭蕉や西行法師、旅に行けない近頃。
〇(メイ)「そもそも」と誰に文句を言えばいいのか・・・。
◎(めたもん)時間の流れの末にたどり着いた今。それがこうなっているのは…、という思いに「花筏」が寄り添います。旅にいた頃のことって何でしょう?
〇(宙虫)コロナ禍で、予定が次々変更になって・・・。
ヘアカラーライトマゼンタ春ショール 楊子
〇(メイ)華やかなヘアカラーに春ショール、身体が浮き上がりそう。
赤錆の鉄路の果に蝶生まる めたもん
◯(アゼリア)当方のような長閑なところでしょうか?
○(仙翁)そんな所にも、蝶は生まれるのでしょうね。
◯(ルカ)詩情があります。
〇(ちせい)独特な解釈だと思いました。
春宵や駅前開発すすむ家郷 餡子
騒めきの消えて四月の線路かな ルカ
○(餡子)別れの3月、出会いの4月。四月も半ばを過ぎるとそれぞれの暮しが落ち着きを見せる。いつまでもさわいではいられないのでだ。
○(仙翁)花見が終われば、静かになる駅もあるでしょうね。
枕木を照らす工夫に春の雨 幹夫
◯(道人)鉄道の修理工は大変な仕事。春雨にけぶる鉄路の緊急修理を想像した。
◎(泉)恐らくは夜間に、枕木を調べている工夫だろう、と思います。工夫の真剣さが、良く伝わって来ます。
○(あちゃこ)鉄道マンの姿と優しい雨の取り合せがいいですね。
花曇りグレーの川にビルは揺れ 仙翁
しげき芽や河原の石に鳥の糞 ちせい
晩年やまわり道して花の雨 メイ
◎(アネモネ)「晩年や」がいいですね。「花の雨」に救われます。
◎(藤三彩)どこからが晩年?という問いもありましょうが、人それぞれ色々とあります。
○(幹夫)さまざまな人生。「花の雨」が佳いですね。
〇(珠子)回り道の人生を花の雨が癒してくれます。短いスパンでは回り道だったと感じることはあっても、人生単位での回り道というのは分かりません。回り道をして元の道に出る人もいるでしょうが、別の道には別の到達点がある気がします。
◎(敏)「まわり道」に人生のそれを重ねての感慨が読み取れる。
◎(ルカ)まわり道が人生の醍醐味。
〇(宙虫1)花の雨がすべて。まだはっとすることがある人生。
★★★
それでは次回句会の告知をお待ちください。
桜は満開になりましたが、肌寒い日々が続いています。新型コロナの感染拡大は、広島でも目立ってきました。しかし、プロ野球は始まり、すぐに暑くなるでしょう。今年の広島カープには期待しています。特に森下投手が良いですね。