小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第468回小麦句会結果発表(2)

2022年01月09日 01時00分07秒 | 1日句会

つづき

 

踏切が聞こえ目のない雪うさぎ   宙虫

◎(泉)私には理解できませんが、不思議と魅力的な俳句だと思います。

〇(あき子)踏切のカンカン音が、目のない痛みを増幅する。

◯(道人)俳諧味と詩情とうまくバランスした句。

◎(珠子)不思議な感覚。音が聞こえたのは作者でしょうが、南天の実の赤い目を失った雪兎が、解け残っている耳で一所懸命「聴こう」としているとも思えます。   

◎(仙翁)今、東京は雪ですね。雪だるまのウサギもいいですね。

◎(めたもん)踏切の音は雪うさぎにも届いているのでしょうか。句から不思議な静けさを感じます。 

○(アダー女)優しい童話のような発想の句。雪うさぎは雪で作ったうさぎさんですよね、南天の実で目をつけた。踏切の遮断機が下り、チンチンチンと電車の近づく音がするのに南天の実が転げ落ちてしまった雪うさぎは電車がくるのが見えない!飛び出さないで!あ、すみません。もしかしたら目のご不自由な方が踏み切り近くにいらして、作者は「危ない、気をつけて!」と思われたのかも。

 

塩鮭を提げてちんちん電車待つ   アネモネ

◎(春生)暮の一風景で、生活感が出ました。 

◎(餡子)嘗て都内中を走っていた都電。何処に行くのも都電でした。今は早稲田—三ノ輪間のみ。年末のこの句のような景が見られた頃が懐かしいです。ちんちんという音まで鮮明に聞こえてきます。   

〇(あき子)目出度さに満ちています。

◎(瞳人)むかし、デカさん宅を夜回りした人です

〇(めたもん)現在ではなかなかない景ですが、見かけそうな気がしてきます。そこが魅力です。

○(アダー女)懐かしい光景です。昔は正月には、一家で塩引き鮭を丸ごと一尾買った様な気がします。新聞紙か何かでくるくると雑に包装され、尻尾にかけた縄をぶら下げて歩く師走の情景。ちんちん電車がまたピッタリ!これも特選にしたいのですが・・・

 

大初日高層ビルの谷を出づ   春生

〇(楊子)こう詠まれるとビルから出る初日もいいじゃないかと思える。住んでいるところから初日は拝めばいいのだ。

○(泉)大都会の初日の出ですね。

〇(珠子)現代ですからそれもすてき。我が家はご近所の屋根の上からの初日なので。       

○(敏)「大」と「高」の文字がいかにも初日に相応しいように見えました。

 

踏切やあくまで待とう去年今年    敏

○(泉)踏切はなかなか開きませんね。

○(あちゃこ)そうですね。待つしか無いことが多い一年でした。

◯(道人)このゆったり感が「去年今年」と響き合っている。

 

行く年や微熱の街に生きてゆく    あちゃこ

〇(藤三彩)コロナ感染の街は「微熱の街」に似る。

○(卯平)「男はつらいよ」のラストシーンにこのような景があった。何作目だっただろうか?

〇(楊子)そこそこいろいろあったけれどという注釈が暗に詠まれている。でもまあまあいいじゃないかという安堵と共に。

◎(あき子)街も住人も、微熱をかかえながら新たな年を生きていくという、現在の気分を捉えている。

〇(まきえっと)街を微熱と感じる感性がいいですね。   

◎(ちせい)微熱ハーバーとか、他の表現も念頭にあったのかもしれません。

◎(宙虫)良くも悪くもの微熱。次の年への期待もあれば懸念も。コロナ過での読みは複雑。

 

再就職に上京のフェリー冬萌ゆる   アゼリア

○(あちゃこ)光と希望が見えてくる一句ですね。

◎(藤三彩)地元に戻っていたが改めて都会に就職するという設定。「冬萌」が少し温かい季語。

○(餡子)人生の一齣。いろいろな場面が想起させられます。屈折した思いを抱いての上京でしょう。きっと春が来ますよ。 

 

だ句連れて愛し心地の年湯かな   瞳人

 

極月の猫遮断機の向こう側     ルカ

〇(春生)大丈夫でしょうか、心配です。   

〇(瞳人)恋しいねこは…という景ですか

○(仙翁)列車通過を待つ猫ですか。面白いですね。

〇(めたもん)「遮断機」「極月」には境界のもつ緊張感が。境界の向こうに猫はどんな顔でいるのでしょう。

 

(選外)(道人)この猫は何かの暗喩であろう。極月の急かれるような、曖昧な心模様が「向こう側」に託されいそうだ。気になる句。

(選外)(ちせい)ペルシャ猫だったのかもしれません。

 

年の瀬や路面電車の音忙し   仙翁

 

空っ風逃避行めく船の旅  まきえっと

◎(アネモネ)演歌ですねえ。「逃避行めく船の旅」なかなかです。

○(仙翁)推理ドラマにありそうな景色ですね。

◯(ルカ)逃避行が効いてます。

 

(選外)(道人)季語が微妙だが下十二の措辞が素敵。

 

初孫を見せに帰るや大晦日   泉

◯(アネモネ)ご両親の嬉しそうな顔が目に浮かびます。

 

初晴れの港寅さんの啖呵売   餡子

◎(あちゃこ)新年の挨拶句ですね。寅さん映画は正月封切でした。明るさがいいですね。

〇(珠子)元日の港に寅さんを置きましたか。寅年ですからね。   

〇(まきえっと)すがすがしいです。 

〇(藤三彩)言わずと知れた『男はつらいよ』シリーズの第20作『寅次郎頑張れ!』のロケ地が長崎県平戸。寅さんの啖呵売が観られる。

◯(アネモネ)「寅さんの啖呵売」懐かしい景です。

○(泉)正しく映画のワン・シーンです。

○(アダー女)全国津々浦々、神出鬼没の寅さんが熊本港に現れましたか!万年筆などイカサマ商売でも憎めない寅ちゃんですね。

 

輪飾りや路面電車の準備よし  藤三彩

〇(春生)いよいよ、初電車の出発です。   

○(餡子)コロナに翻弄された去年。清々しい新しい気持で年迎え。いい年になって欲しいです。 

〇(あき子)「よし」と言い切る清々しさ、全体の勢いが新春の気分に満ちている。

◯(道人)正月最中の仕事初めは大変。公共機関で働く矜持が「準備よし」に垣間見える。

 

(選外)(ちせい)レディーゴーって感じですね。

 

市電発つフロントガラスに初空   めたもん

 

ロボットのごとき握手や悴めり   春生

◯(道人)握手の背景は読み手の想像に任せる手法が効いている。「悴む」の句として斬新。

◯(ルカ)発想がいいですね。

○(宙虫)面白い。季語が体温に繋げてしまうのが惜しい。雪や北風などで感情までふくめてみたいなと思う。

 

数え日や来ぬ人を待つ昇降機    道人

〇(楊子)踏切や昇降機はよく心象的に詠まれがちだが、季語の「数え日」を据えて落ち着いた句になった。

○(仙翁)エレベーターも、乗る人がいないとただの箱でしょうか。

○(敏)一句のかもす物語を色々考えたのですが、具体的な景がなかなか見えてきません。ですが、興味を捨て切れないでいます。

◎(ルカ)職場のビルか、はたまた故郷の両親が住むマンションか。色んな物語が生まれます。

○(あちゃこ)この句も待つをテーマにした一句。ドラマが見えます。

 

踏切にドラマありけり古日記   あき子

◯ (アゼリア) どんなドラマでしょうか。良い出来事だといいですね。

〇(瞳人)というわかれ? ではないでしょうか

〇(ちせい)毎日日記をつけていたのかもしれません。踏切にドラマが工夫したこところかもしれません。

 

(選外)しばらくぶりに偶然見かけた元カノがさっと遮断機抜けるように渡って、あっという間に電車が通過。もうそこには思い出の人の姿は見えず・・・

(選外)(卯平)踏切にドラマがあるだけでは報告でしかない。踏切そのものがドラマ性を帯びている。だからこの踏切で展開される具体的なドラマ(作者の経験など)があれば詩になるであろう。

 

トラックと市電裸木過ぎる人   ちせい

 

 

 

★今月の写真

熊本港の島原ゆきのフェリー

熊本市のJR豊肥本線の踏切

熊本市九品寺交差点の様子



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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ご苦労様でした ()
2022-01-10 11:56:45
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島は一月になっても、暖かく穏やかな日が続いています。三連休も良い日よりでした。それにしても、広島でのオミクロン株の感染拡大は非常に心配です。先が見えません。
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