小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第332回小麦句会結果発表

2016年04月24日 10時39分45秒 | 15日句会

おはようございます。

隣の家の柿の木の若葉がみずみずしいです。

お待たせいたしました。

誤字脱字ありましたらご連絡願います。

兼題:遠

花見酒遠い国には避難民  泉

○(幹夫)何処かの国には多くの避難民が寄せて来る。今は戦争もなく四季折々特に花見酒の日本ならではの風流が嬉しい。

 

梨咲いて遠く東京競馬場   アネモネ

 

春霞遠き山巓まなうらに     とっきー

 

昭和の日向田邦子の遠くなり  瞳人

◎(吾郎)久世光彦さんとの名コンビはやはり昭和。 

◎(餡子)昭和56年に亡くなりましたね。向田邦子さんの作品はまさに昭和の家庭でしたね。

〇(宙虫)向田邦子の昭和の父親そして家族。あの姿はもうどこにもないのかも。「昭和の日」としたことに不満が残ります。

○ (多実生) 向田邦子も遠くなりました。昔、台南から台北まで飛んだ時外が急に真っ暗になり、稲妻が走り生きた心地がしませんでした。

○(珠子)向田邦子は昭和4年生まれとのこと。あの事故が無かったら今も健筆をふるっておられたに違いないと思います。昭和の象徴として数多の名前が浮かびますが、向田邦子に目がいったところが素敵です。

 

春蘭に逢える気がして遠回り  多実生

 

蛇穴を出て遠征の面構え  敏

◎(春生)「遠征の面構え」というところを捉えたのが、手柄。 

◎(まきえっと)これから生きていくという強い決心を感じました。

○(呆夢)先日、出てきたばかりの蛇を轢きそうになりました。顔つきまでは見えませんでした。穴を出るとき心構えがいるのでしょうね。

◯ (アゼリア) 本当にちょっとそこまでという面構えではないですよね。

○(珠子)穴から出てきた蛇はその日から生きるための戦い・子孫を残すための戦いが始まります。緊張の面構えになるのでしょう。きりっとしたリズムもいいですね。

〇(瞳人)面構えだけは好くても、なかなか旅には出られない、という優柔不断はもう…いやなのですが

(選外)(道人)勢いと俳諧味溢れる秀句。

 

貝寄風や遠浅の水透きとほる   ひなこ

◯(吾郎)気持ちよい句。このくらいの余韻が好きだなぁ。

○(敏)貝寄風は陰暦二月末頃に吹く風とのこと。風の名の由来と相俟って、一句を貫く透明感が素晴しい。  

○(アネモネ)「遠浅の水透きとほる」なるほどと思いました。

 

安眠を蝶が乱して遠賀郡     宙虫

 

遠近の眼鏡パナマや遠霞  藤三彩

 

水仙選ぶ寺手ぶら遠征す  吾郎

 

遠足や川を流るる照る坊主  幹夫

 

遥かなる遠距離恋愛花吹雪    あちゃこ

○(餡子)私には、経験ないことですが、少し羨ましい?ところもあります。桜の咲くたびに、そのころを思い出されることでしょう。

○(藤三彩)「去る者は 日々に疎し」散る悔恨を残し

 

レコードも昭和も遠く蔦若葉      アゼリア

○ (多実生) 子供の頃同じレコード何回も聞いたのも懐かしい思い出です。

〇(瞳人)昭和は91年になりました、我らの時代は遠くなりましたよね

○(泉)「レコード」懐かしい言葉になりました。昭和も遠くなりましたね。

○(アネモネ)「蔦若葉」の鮮やかさとの対比がなかなか。

 

葉桜やいつしか父の遠目癖   ルカ

◎(瞳人)わがおやじを、ああ、と思い出してしまう句力、を頂きました

○(道人)年齢經るほどに子は親に似て来ると云う。特に娘は癖まで父親似が多い。「葉桜」が効いている。

◯(吾郎)いつしか~がちょいと惜しい気がしますねん。

○(あちゃこ)葉桜の季節は何故か過去に誘う不思議な季節です。季語が効いています。 

○(春生)「いつしか」に時の流れ、心境の変化が出ています。   

○(泉)歳を取ると、先ず目に衰えが来ます。実感ですね。

○(アネモネ)なるほどなあ。「葉桜」がいいですね。

○(まきえっと)父のこと、何も見ていなかったなぁ。

 

春風の遠き行方を確かめる   仙翁

 

朧夜の心もとなき遠会釈  餡子

◯(吾郎)遠会釈がすてきだ。なんか江戸仕草。 

〇(とっきー)道の向こうから誰かが頭を下げている、良く見えないけどあの人かしら。私も頭下げておこう。そんな雰囲気でしょうか。

◯ (アゼリア) 強い近視の私は、この状況よくわかります。

○(春生)朧夜の雰囲気が見事に詠われました。

○(アネモネ)田んぼの蛙の声が聞えてきそう。

 

遠足の列ゆっくりと畑道  呆夢

○(仙翁)菜の花畑でしょうか。いい景色ですね。

○(敏)懐かしさがこみあげてきそう。思い出のアルバムの中にありそうな一景。

○(アネモネ)ゆっくりとがいい具合に効いています。

 

菜の花や遠く黒船浮かばせて  春生

◎(呆夢)菜の花の黄色と、黒い船のコントラストがパッと目に浮かびました。すっきりとして良い句だと思います。

○(あちゃこ)房総辺りの春らしい景をスッキリ表現したところに共感。

○(幹夫)園児の楽しい遠足の列が畑道をお喋りしながらゆっくり進む。呑気に詠まれている。

 

鶯の遠音ぽっくり逝かれしと  珠子

○(あちゃこ)逝く人へのレクイエム。心に深く染み込む一句。

○(泉)「ぽっくり逝く」これは、理想的な逝き方だと思います。

 

秘国より春潮寄せる遠江    道人

 

遠足や誰からとなく話だし  まきえっと

〇(ルカ)沈黙を破るのはいつもあの子だったなあと、懐かしくなりました。

 

テーマ:回る

チューリップゆつくり回る縄電車  春生

◯ (アゼリア) 縄電車ー懐かしいですね。チューリップの季語が効いて、楽しい佳句と思いました。

 

てふてふの明日へ無心海渡る  瞳人

◎(敏)明日どんな試練が待っているか、そんなことは頓着無しに一心に翅を打ち振りながら海を渡っていく可憐な蝶の姿は感動的です。

○(珠子)生き餌を狙うことのない蝶の「明日へ無心」に妙に納得できました。それなのに海を渡る習性をもつ蝶がいるのが不思議です。

 

走りきて自ら回す風ぐるま  まきえっと

○  (多実生) 物のない子供時代は何でも自作、風車も自作し風のない時は走って回しました。

 

リラ冷えの夜の回転木馬かな  ひなこ

◎(宙虫)しんとした冷たさがいいですね。少し大人な回転木馬。

◎(幹夫)人去りし公園の夜の回転木馬がリラ冷えの季語で佳く詠まれています。

 

愛された記憶の中の風車     とっきー

◎(ルカ)とってもロマンチック。春のドラマになりそう。

○(道人)甘いようで苦しい記憶も風化して来る。風車が佳い。

○(敏)まわり続ける風車から、誰からも愛されていた幼い頃の記憶をたぐり寄せてでもいるようです。

○(餡子)子供の頃のことでしょうか。風車には、そんな思い出がつながりますね。  

 

一周遅れのゴールに喝采運動会  餡子

 

花みずき回転扉を出て見上ぐ   呆夢

 

回り道して巡り会う朧月    道人

○(仙翁)都会の空か。ビルが途絶えて月が見えたか。

○(春生)朧月を見たい気持ちがよく出ています。     

 

金魚赤しちらちら鯉の列に縦き   アネモネ

 

見掛けたるペットボトルの風車  多実生

 

三月の回転木馬乗りしまま   ルカ

 

回り続く道化師の皿初燕     アゼリア

○(仙翁)面白い光景です。いいと思います。

○(餡子)燕に気を取られていると、皿をおとしてしまいますよ。上野公園の大道芸。さわやかです。  

 

循環バス車窓はずっと花水木      宙虫

○ (多実生) 福島駅で叔父の家、御山町へ行く事を確認の上乗車した循環バス、なんとひと回りして元の福島駅に戻ってしまい、文句を言うとこれから行きますとの返事。福島駅を起点に8の字に回る循環バスでした。それにしても、のんびりした時代の田舎の運転手さんでした。

○(藤三彩)街路樹に紅白のハナミズキが咲くのは税収がリッチな街なれば

 

尻尾から読んでも俳句囀れり  珠子

 

昼寝する猫を包むや花絨毯   仙翁

◎(泉)美しい俳句だと思います。それにしても、贅沢な猫ですね。

 

灯籠のめぐりは早し花の雨  敏

 

逃げ水はくるくる来る句弾み気に   吾郎

○(道人)逃げ水と追いかけっこしているような楽しい回文句。

○(呆夢)愉快ですね。リズムが良いです。

○(餡子)くるくるといい句が来るといいですね。降りてくるとよく言いますが、羨ましいです。

○(珠子)こんなふうに俳句が弾んで出てきたらいいなあ。そう上手くはいかないから続くのかもしれませんね。

○(まきえっと)軽快なリズムです。思わずスキップ。

 

納経の調子外れや遍路笠       あちゃこ

〇(宙虫)こののどかさがいい。ゆったりとした時間ですね。

○(春生)でも、遍路さん、頑張ってお勤めしているんですよね。       

 

風光る回転ドアの音立てて  幹夫

◎(仙翁)風の光とドアの音、いいですね。

 

遍路道がんの告知を受け歩く  泉

(選外)(藤三彩)”花遍路”と言い難い重苦しさ。”おい癌め・・”の句には反発力

を付けられる

 

夢抱き回転木馬長閑なる  藤三彩

○(幹夫)春の回転木馬が如何にもゆったり長閑に進む。

 

自由

ゆく春の遠野の炉辺に薪を足し  ひなこ

◎ (多実生) 旅をすると思わぬ季節にストーブに出会う事が有ります。炉端は利用価値も多才で昔を偲ぶに十分です。

○(藤三彩)開園の朝から煙が立ちのぼる、盛岡の岩手県立博物館にある民家「曲がり

屋」を懐かしむ

 

芋植うる村一望の山畑に  春生

◯ (アゼリア) 大変なお仕事でしょうが、村を見下ろし達成感を味わうことができるって素晴らしいお仕事ですね。

○(ルカ)景が見えました。

○(藤三彩)先祖代々築いてきた段々畑を今も守られているご様子が見えます

○(幹夫)大きな景が詠まれている。上句「植うる」は活用形推敲の余地が有り。

 

引鴨の帰心仇なすパンの耳  瞳人

○(あちゃこ)留まるも去るも辛い。人の世も同じくですね。罪深いのは何時も人間です。

(選外)(道人) 取り合わせの妙。「仇なす」が巧い。

 

花筏分かちゆく舟綿帽子      あちゃこ

 

確かなる意思あるごとく桜散る     とっきー

○(道人)儚い桜の散り際を「確かな意思ある」と見たのは新鮮かつ納得です。

 

境内の藤の香りに会いに行く   呆夢

(選外)(道人)観光ではなく、折々参拝する神社なのでしょうか?藤の香に誘われた心の高揚が伝わって来る。

 

清明の褒めれば照れてペアルック      アゼリア

〇(瞳人)どんなテレ顔をしていましたか、うらやまし

 

空っぽの詩嚢こごみの胡麻汚し  珠子

◎取り合わせの妙。詩嚢はタップリと持ち合わせていらっしゃるようです。こごみは、母と春先採りにいった馴染みの山菜。天ぷらにしてたべましたよ。

◎ (アゼリア) こんな素敵な句が出来たら詩嚢はぎっしりと思います。こごみの胡麻汚しも美味しそうです。

○(呆夢)意味はよくわかりませんが、なんかいいです。

(選外)(藤三彩)山菜採りや晴耕雨読で遊んでいても詩句は作れない。言い得て妙。

 

光陰の風に漂う飛花落花    道人

 

芝焼きのこの日の火の粉軒ヤバし  吾郎

〇(宙虫)風向きはちゃんと確認して。「軒やばし」につながるとは回文作家のすごさがわかる。

○ (多実生) 大火が多いのは春先です。芝焼も油断大敵。ご用心の程を。

〇(とっきー)危ないよ。炎上しないように、ほら気をつけて。

○(餡子)回文最高潮!火の粉が飛び火で、母屋があぶない。 

○(ひなこ)火の粉飛んできそうですよ。 

 

桜蕊月に二回の朗読会  まきえっと

 

若布採る風評被害未だあれど  泉

〇(とっきー)もう5年も経っているのに風評被害はしつこい。私の従姉妹が福島で丹精込めて桃を作っているが、風評被害に遭っている。徐々にお得意様が帰ってきているようだが、この五年間はきつかったと言っている。人の噂も75日で済ませて欲しい。

○(藤三彩)三陸沖のワカメが今、旬。買っています。

 

春の夜のひかりをこぼす鍵の穴  敏

◎(とっきー)ひかりをこぼすというあたりにドラマを感じる。鍵の穴の向こう側からひかりがこぼれたとすると、中に人がいることだし、鍵を穴に差し込もうとする一点にひかりがこぼれたのなら、その人の心象風景となるので面白い。春の夜が良く決まっている。

◎(アネモネ)陰影のはっきりした絵画的な句。

○(道人)「鍵の穴」が見える幻想的な朧の夜、独り住まいのような孤独感も感じる。

◯(吾郎)さりげなくて好きです、こういう俳句。  

○(仙翁)月明りかそれとも部屋の明かりか。面白い景です。

○(ひなこ)鍵穴からのひかり、見てみたいです。

○(まきえっと)春の夜の美しいワンシーンです。

 

あの瞬間の地震思ひ出す春の海  幹夫

 

春牧場嘶く馬にある戸籍  多実生

〇(宙虫)いつかここから消える馬にも故郷がある。牧場ののどかさが伝わる。

○季語は別の方が面白いかと。馬の戸籍とは、血統の事でしょうか?

○(ルカ)春らしい、一句。牧場、いいですね。

〇(瞳人)穴になっても、やっぱりデープインパクト強し、です

 

清正の虎より地震に地虫出づ  藤三彩

○(泉)今回の熊本の地震には、地虫も驚いたことでしょう。

 

蝶の客そっと窓から出してやり   仙翁

◎(道人)「蝶の客」が優しい。迷い込んだのは車の中なのか家なのか?「そっと」の措辞が繊細でいだたきました。 

○(ひなこ)そっとそっと逃がしてやりましょう。

〇(瞳人)もう、殺生はできるだけ、いやというこころ、です

○(春生)その場の様子と作者の優しさが的確に表現されています。

 

風光る高校生のジャズバンド   ルカ

○(呆夢)新入生を迎え、校庭で練習する姿が思い浮かびます。風光るの季語がとても合っていると思います。

 

分水(みくまり)の水は春田へ金魚田へ   アネモネ

◎(ひなこ)吉野から大和郡山の田へ水の旅、その道を辿ってみたくなりました。

◎(藤三彩)苗代を育ててからの五月の引水は生の息吹と活力を感じさせる。金魚で有

名なのは奈良産。

○(仙翁)田植えの水にしては早そうな。金魚の水ですか。

○(珠子)金魚田へという転換に惹かれます。 

○(ルカ)水音が聞こえてきそう。

○(まきえっと)小さな流れから金魚田に。一つの水がこんなに大きな景にするとは。

 

目薬のこぼれて春を見失う  餡子

◎(珠子)こういう発想はすてき!

◯(吾郎)目線が素敵。このくらいの距離感がいい。

○(敏)思いがけないことが出来した瞬間の、あっといった驚きが表現されています。

〇(とっきー)目薬を差すあとさきの感じが鮮やかに描かれている。

○(ひなこ)目薬の冷たさで、見失ったのかしら。

○(ルカ)着眼点が新新鮮。

○(まきえっと)目のつけどころが素敵です。

 

余震つづく朧夜どこまでもおぼろ      宙虫

○(呆夢)なかなかおさまらない余震。不安は増すばかりですが、前向きに生きたいものです。

○(敏)終息のおぼつかない熊本地震の有様を、「どこまでもおぼろ」と言い表されたのでしょう。

〇(とっきー)熊本の地震、余震が長引いて大変ですね。精神的にまいります。周辺が霞んで来るでしょう。おぼろに留まらずどこまでもおぼろが、途方にくれる心情を映し出しているようです。

◯ (アゼリア) 予測のつかない余震の終息ー祈るのみです。

○(ひなこ)そうですね。早く元の生活に戻れますように。

○(幹夫)何時終わるとも知れない余震は心の闇だ。4月14日震度7の熊本地震は南海トラフ巨大地震の前兆かもしれない。

○(泉)今回の熊本大地震の終わりは、まだ見えないようです。余震が続きますね。



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4 コメント

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有難うございました (ルカ)
2016-04-24 19:48:36
まきえっと様、お世話になり、有難うございました。

麦、本誌に掲載していただく句ですが、

風光る高校生のジャブバンド
で、お願い致します。
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訂正 (ルカ)
2016-04-24 19:49:55
ジャブ→ジャズ

でした。
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余震でもご無事で (藤三彩)
2016-04-25 03:19:08
なにより宙虫さんがご無事で選句・講評をされていることがわかり、安堵。でも”ほっと”する間もない 余震は心配

東日本大震災3・11から5年、熊本地震4・14、4.16を支援できるような句ができたらと願う。
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ご苦労様でした ()
2016-04-25 15:07:28
まきえっとさん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

やっと春らしくなって来ました。暖かくなりました。ツツジが咲く季節ですね。ツツジと若葉に囲まれた原爆ドームを毎年、見学に行くのですが、今年はどうなりますか。原爆ドームには、不思議な力がありますね。
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