中央大学 VS 東京大学
その49は、
刑法クロスオーバー
すなわち、
大場茂馬 VS 草野豹一郎
大場茂馬先生(1869年生まれ)
は、中央大学の前身の
東京法学院卒(入学時の名称
は英吉利法律学校)。
大審院判事、弁護士、
刑法学者。
新派刑法学が全盛の時代に、
(新派で特に著名なのが
東京帝大教授の牧野英一と
牧野の研究室にいた
東北帝大教授木村亀二)
自由主義的でありながら道義
も重んじる旧派の立場から
論争を繰り広げた。
そして、
この大場茂馬先生の立場が、
東大の小野清一郎、
京大の瀧川幸辰の両先生に
継承され、
それが現在の東大・京大の
刑法学に受け継がれている。
(小野清一郎は、牧野英一の
一番の高弟であったが、
小野が大場説の方に行って
しまったために、
牧野・小野の師弟関係が
断絶した。
牧野・小野の師弟関係断絶
については、
様々なエピソードがある。)
大場先生には、
「刑法総論 上巻」
「刑法総論 下巻」
「刑法各論 上巻」
「刑法各論 下巻」
という大著があり、
小野清一郎先生の高弟である
団藤重光先生の
「刑法綱要 総論・各論」にも大きな
影響を与えている。
草野豹一郎先生(1886年生まれ)
は、東京帝国大学法科大学卒。
大審院判事、刑法学者。
中央大学教授時代に下村康正を
弟子として育て、
また、早稲田大学講師として
齋藤金作、西原春夫を育てた。
それが現在の中大・早大の刑法学
に受け継がれている。
中央大学と早稲田大学の
両法学部にて伝統的な学説である
共同意思主体説は、
まさに草野先生から継承された学説だ。