名張市立病院を守りよくする会

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名張市立病院を守りよくする会が記者会見

2024-01-11 19:31:29 | 日記

独法化推進の中間報告(市議会)は撤回し、市民の意見を踏まえた議論を行うべき                  

 

名張市立病院を守りよくする会は12月21日、市役所内で記者会見し、市議会が市長に対して「市立病院の独立行政法人化が最適」とする中間報告を提出したことは市民的議論も合意もないものだとして抗議する声明を発表し、このような中間報告は撤回して市民の意見を踏まえた議論を行うよう求めると表明しました。「朝日」「読売」「毎日」「中日」「YOU」が取材しました。

 和田代表は、「中間報告は市議会特別委員会の6人中2人の委員が反対し、市民的議論も合意もないものであり、市議会の暴走というほかない」と強調。「先日も市議会議長と市長に中間報告は認められないと申し入れを行ったが、市民には何らまともな説明も市民の合意もないまま独法化を進めようとしているのは納得できない。名張市立病院は、市民の長年にわたる運動でできた公立病院だ。それを丸投げするような形で独法化して市から切り離してしまうことは責任放棄であり、認められない」と述べました。

臼井事務局長は「市議会の特別委員会では、現行の公営企業法のもとで経営改善に取り組み成果をあげている公立病院を視察してきたのに中間報告には何も書かれていない。独法化になれば市の責任は大きく後退し、市議会のチェックも遠ざけられる。そうではなくて現行の公営企業法の『全部適用』によって経営改善に取り組むべきだというのがわれわれの考えだが、それも含めて市民的議論と市民的合意によって市立病院のあり方は決めるべきものであり、市長や市議会が勝手に決めるものではない」と指摘しました。

 記者から「名張市の財政状況から独法化が必要ではないのか」との質問が出され、守る会からは「市からの繰入金は約12億円だが、救急など市民のいのちと健康を守るために必要なものだ。市の一般会計は約300億円、繰入金はその4%であり、重い負担とは言えない。しかも半分程度は国からの地方交付税で財源が保障されており、建設時の債務も2026年度でなくなる。市民のニーズに応える医療をやって患者を増やし、それで経営改善をはかっていくことが十分できるはずだ」と答えました。

記者からは、建設時の債務がなくなることを確認する質問が出され、市の財政負担を理由にした独法化が成り立たないことについて関心が寄せられました。


名張市議会が提出した『中間報告』に関するビラ

2023-12-23 21:08:59 | 日記


【声明】市民無視の「中間報告」を撤回し、市民の要求を踏まえた市立病院改革を議論するよう求める

2023-12-23 21:05:16 | 日記

2023年12月21日

 

 声明

 市民無視の「中間報告」を撤回し、市民の要求を踏まえた市立病院改革を議論するよう求める

 

名張市立病院を守りよくする会

 

 名張市議会は13日の全員協議会で、市立病院を「独立行政法人への見直しが最適」とする市立病院経営改革特別委員会の「中間報告」を了承し、21日に北川市長に提出しました。しかし、この「中間報告」は、とりまとめのやり方もその内容についても重大な問題点を抱えており、直ちに撤回して、市民の意見を踏まえた改革論議を行うよう求めるものです。

 

 ■独法化ありきで反対意見を無視

中間報告は、名張市議会市立病院経営改革特別委員会の各会派代表からなる委員6名中2名の委員が「独法化した場合の財政試算も出ておらず拙速だ」「なぜ独法化が良いのか理由が不明」「独法化を議会が推進することになるので中間報告は出すべきではない」と反対したにもかかわらず、それを無視して一方的にまとめたものです。5会派中2会派がこの報告には参加していないにも関わらず、市議会として「独立行政法人化が最適である」と結論づけることは、議会の民主的運営にも反するものであり速やかに撤回すべきものです。

 「独法化」について市長が市民にきちんと説明もせず、市民的議論も合意もないまま決めようとしているもとで、その暴走をただすべき議員・市議会が、同じように市民的議論も合意もないまま「独法化」を推し進めることは市民に対する責任を果たしているとはいえません。

 

 ■独法化する理由も必要もない

中間報告は、「独法化」が「最適」とする説得力ある理由を示さないまま、「独法化ありき」でまとめられたものです。「経営改善に取り組んできたが、十分な成果が表れていない」としていますが、救急医療や小児科など不採算医療を担い、コロナ禍で市民のいのちを守る重要な役割を果たしてきた市立病院を、財政収支だけで判断することは誤りです。

 「一般会計からの繰り出しが市財政に大きな影響を与えている」としていますが、一般会計からの繰り出し約12億円は市民のいのちと健康を守るために自治体として必要な負担であり、市の一般会計300億円にてらせば「大きな負担」などと呼べません。しかも半分程度は国からの地方交付税で措置されており、年8億円程度の建設時債務も29年度からなくなります。財政負担を理由に独法化する必要性はまったくありません。

 「独法化」の理由にあげる「自主性・迅速性」についても、現行の公営企業法のもとで自主性・迅速性を発揮してサービスと経営を改善している公立病院が全国にいくつもあり、特別委員会の視察でもそのことを確認してきたはずです。「独法化」しなければ自主性・迅速性を発揮できないということには、何ら根拠も説得力もありません。

 

 それでも「独法化」に固執するのは、市の直営では「職員定数の制限や給与決定権限が限定的」だと中間報告で述べる通り、市の財政負担を減らすために、サービスや人員、人件費の削減がもっと自由に迅速にできるようにしたいということにほかなりません。すでに市議会では、「独法化」を主張する議員から、診療内容や病床の再編などの主張が出されています。市立病院の「独法化」は、国や県が計画している病院・病床の再編・削減への突破口ともなる危険を抱えています。

 

 ■「安全・安心の医療」に背く

 「独法化」とは、市民の意見が反映できる市の直営をやめ、議会の関与を遠ざけ、収益・効率優先で経営するものです。医療サービスの切り捨てや患者の負担増などが予想され、安全・安心の医療を求める市民の願いに背くものです。

 実際、各地で「独法化」された病院経営では、理事長によるワンマン経営も加わって、不採算の医療サービスの切り捨てや職員の賃金カット・非正規雇用の拡大、患者の負担増が行われたり、数々の不正行為も横行し深刻な問題になっています。

 「独法化」になれば、市民から託された市議会の役割・チェック機能も大きく後退します。これまでは予算・決算の審議・議決をはじめあらゆる問題についてただすことができましたが、「独法化」になれば予算・決算審議もできなくなり、病院責任者を議会に呼んで直接質問することもできません。議会の役割が形骸化し、市民に対する責任を果たせなくなります。

 「中間報告」は撤回し、市民の意見・要求が反映されるように市の直営で、市議会の役割も維持できる、現行法(公営企業法)のもとで改革論議を行うよう求めます。

 

 ■守りよくする取り組みはこれから

 名張市立病院は市民の願いと運動で18年余の歳月を経て生まれた「市民の宝」とも呼ぶべきものであり、これからも市立病院として維持・発展させていくことこそ市民の願いです。このような中間報告を市長に提出して、市民的議論・合意もない「独法化」を推進すれば、市民からの批判や市民との矛盾は避けられません。

 「独法化」を許さず、名張市立病院を守りよくしていく取り組みはこれからです。そのために市民のみなさんが声をあげていただくことを呼びかけるとともに、私たちはその先頭に立って奮闘することを表明するものです。

                                          以上


名張市立病院のあり方を考える集い【ご報告】

2023-12-13 21:42:44 | 日記

名張市立病院を守りよくする会は12月3日、名張市立病院のあり方を考える集いを武道交流館いきいきで開きました。講演とシンポジウムの発言(要旨)などを紹介します。

 

■開会あいさつ 和田四十八さん 名張市立病院を守りよくする会代表世話人

 名張市立病院は市民の願いで1997年にでき、救急医療など役割を果たしてきました。しかし、身売りの話が持ち上がったため、2021年に市立病院を守りよくする会をつくり運動してきました。市立病院に対する意見を出し合っていただき、市民にとってよりよい病院になるよう取り組んでいきたい。

 

■講演

「公立病院の使命と名張市立病院の改革課題」 立命館大学講師(医療福祉生協法人勤務) 大松美樹雄さん

 2000年代に入り「小泉構造改革」路線以後、医療費を厳しく抑制する政策が行われ、公立病院の経営が厳しくなっています。市立病院が公設民営の「指定管理」にされ徳洲会が受託した大阪・和泉市では、高額医療機器の購入は市が全額負担し、減価償却費も徳洲会の負担は半分で、機器購入先も徳洲会グループです。そこまでしても病院を「外部化」したいというのが自治体当局者の本音です。

 これに対し、住民の視点に立った真の公立病院改革が各地で取り組まれています。長野県松本市では、コロナ対応で市立病院が軸になり地域医療の連携で日常医療と災害医療を追求し、「松本モデル」と呼ばれました。

 名張市でも市民参加で市立病院のあり方を探求していってほしい。名張市立病院の収支をみるとコロナ前で医業収支は赤字ですが、帳簿上の減価償却費をのぞけば1億円余にすぎません。病院の収支や課題をしっかり把握するとともに、「市立病院フェスタ」なども交えて病院と住民のつながりを広げながら、それを力にして名張市にふさわしい地域医療づくりに取り組んでほしい。

 

シンポジウム「市民に親しまれ、信頼される市立病院をめざして」の発言から

 

市立病院が命を救ってくれた 橋本みちよさん 市立病院で治療・入院 

 2年前に脳出血を起こして市立病院に運ばれ、脳外科の先生がすぐに診てくれました。18日間入院しましたが、リハビリも受けられ、大きな障害も残ることなく感謝しています。懸命に働いておられる医師や看護師の姿を毎日見ていて大変な仕事だと思いました。元気に働いてもらえる市立病院であってほしいと思います。

 

市民が経営する病院に 田岡康秀 すずらん台二区自治会長 

 市民と行政、議会が協力してできた市立病院を市民全体で守らないといけないという一致点があると思います。独法化については市民から多くの疑念が出されており、市民的議論なしで進めないでほしい。名張市は色々な形で地域の協力を得ており、市民を信頼して協力を得たらどうでしょうか。市から独立した経営者に任せるのではなく、市の直営で市民も経営に参加する名張型の市立病院をめざしたい。

 

市民的議論・合意なく決めないで 深山直人 名張市立病院を守りよくする会 

 守る会の市民アンケートでは民営化よりサービス充実を求める声が過半数となり、職員アンケートは7割の人が独法化で経営は改善されないと回答しました。市民的議論や合意なしに勝手に決めないでほしい。問題が多い独法化ではなく、市民の声が反映できるよう市の直営で議会のチェック機能も維持しながら、サービスと経営の改善をしてほしい。

 

市立病院のままで経営改善はできる 三原じゅん子議員(市議会経営改革特別委員会) 

 市立病院への支出は12億円、半分は国の補助金が入っており、300億円の一般会計を圧迫するものではありません。市議会の委員会で名張と同規模の兵庫県芦屋市立病院と香川県坂出市立病院を視察しました。独法にしなくても公営企業法の全部適用で管理者を置いて、医師を確保し、市と職員が一丸となって経営改善を果たしています。名張市が安心して住める街としてあり続けるために市立病院として守りよくしていくことが重要です。

 

公務員だから住民のため頑張る濱本捨男さん  介護施設・やわらぎの郷

 市の検討委員会の答申は、公務員では意識改革ができないから独法にといいますが、その考えがおかしい。公務員だから住民のために頑張るのだと思います。独法化にすれば賃金を安くし非正規雇用にできるというのもおかしい。介護では40代でも賃金は20万円少し。国の制度が悪いためですが、医療や介護に金を出さない姿勢こそ変えるべきです。

 

患者中心の医療が損なわれる 市内の開業医 

 医療機関は行政指導を受けています。その際、一部の診療報酬の不正請求事例をとり上げ、高点数イコール「悪」であるかのような選別によって、事実上の萎縮診療が強いられています。大多数の医師が真摯に患者と向き合って医療にとりくんでいる実態を無視したこのような指導は、「医者は不正をするもの」という敵意を持った決めつけともとれますが、大局的には過度な医療費削減政策からくるものと思われます。

市立病院の独法化の動きには、患者中心の医療が損なわれる等多くの問題点が指摘されますが、戦後築かれてきた民主主義的権利を1枚1枚剥がす狙いとして、民主主義を守る重要なたたかいと思います。

 

労働条件改善、パワハラ根絶を 伊賀名張ユニオン 大塚偉介さん 

 名張市立病院職員から、「残業を申告しにくい」「年休をとりにくい」「産休で嫌がらせを受けた」「スキルアップ研修を受けさせてもらえない」との訴えが寄せられました。守る会の職員アンケートでは、ハラスメントを受けたり見たことはあるかとの質問に77%が「ある」と回答。メンタル不調病休者が異常に多いことも明らかになりました。こうした実態を考慮せず、独法化を進めることは問題です。

 

閉会あいさつ 臼井照男名張市立病院を守りよくする会事務局長

 公立病院の重要性が改めて明確になりました。市長は年内もしくは年度中に結論を出すといっており、運動への参加を呼びかけます。

 


名張市議会市立病院経営改革特別委員会 市立病院「独法化」の中間報告へ  三原議員らが反対

2023-11-12 17:14:42 | 日記

名張市議会の市立病院経営改革特別委員会(6人)が10日開かれ、市立病院を「独法化」すべきとの意見が多数を占めたという中間報告をとりまとめることを、三原、柏両議員の反対を押し切って決めました。

市民不在で国や県のいいなりに独法化にアクセルを踏もうとする危険な動きです。「名張市立病院を守りよくする会」が12月3日に開く「名張市立病院のあり方を考える集いー公立病院として拡充をー」を、〝市民の議論・合意もなく独法化を勝手に決めるな〟という市民の意思を示す場として成功させる意義が大きくなっています。

この日の委員会では、永岡、吉住、常俊、川合の4氏が「独法化が一番リーダーシップをとって経営改革できる」などと「独法化」を主張し、永岡委員長が中間報告を出すことを提案しました。

これに対し、三原氏は、「民間でできない医療を提供するのが公立病院の一義的任務。同時に収支改善を進めていく必要もある。そのためには直営で市の施策が反映でき、議会のチェックもできる公営企業法の全部適用がふさわしい」と主張。その上で、「市の独法化の財政シミュレーションも出ていないなかで中間報告を出すのは拙速だ」と反対しました。

柏氏も「独法化でなぜよくなるのか示されていない。経営者が悪い方向にいった時に誰がチェックするのか。千歳市民病院は一部適用でも経営改善をした。まずは全部適用で経営者をおいてやるべきだ」と主張し、中間報告に反対しました。

これに対し、永岡氏は「マイナスばかりいうと何も進まない。独法化で暴走する管理者を知らない」と強弁し、中間報告を行うことを一方的に決めました。11月20日に開く市議会全員協議会で報告を行う構えです。