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今、自分が出来ること。やれること。それを精一杯やっていかなくちゃ!!

コラム記事【9/11~9/12】

2024年09月13日 02時14分20秒 | マリーンズ2024
≪9/11≫


 メジャー通算103勝を挙げ、アストロズ時代の15年にはサイ・ヤング賞を受賞したことのあるロッテのダラス・カイケルは、速い球ではなくコントロールを重視し、ツーシーム、チェンジアップを中心に打者を打ち取っていく投球スタイルだ。

 制球力に自信を持つカイケルだが、前回来日初勝利を手にした9月5日の楽天戦、先頭の小郷裕哉、小深田大翔を連続で三振に仕留めるも、小郷と小深田ともに3ボールまでいき、先頭の小郷には初球から3球連続でボール、3番・辰己涼介には四球を与えた。ただ、ボールは全て低めに集められていた。

 初回にどこまで相手打者が低め打者を振るのか、その日のストライクゾーンなどを確認していたのだろうかーー。

 「確認というか、僕のスタイルは低めにボールを集めるわけですから、頭の中には低めに集めてゴロを打たせる。そういうピッチングスタイルなので、はい」。 

 楽天戦の投球については、「5回で終わったんですけど、もっともっと長いイニングを投げるといった時には注意深く、四球の数を多くしないように。3つの四球もあの時はコントロールが悪くて、ストライクが投げられなかったという結果でしたね」と振り返った。

 反省の投球も、1-1の3回二死二、三塁で阿部寿樹を1ボールからの2球目128キロチェンジアップで完全にタイミングを外し一ゴロ、3-1の4回二死一塁で村林一輝を2ボール2ストライクからの6球目の126キロチェンジアップで泳がせる遊ゴロと、チェンジアップで右打者を翻弄。

 「チェンジアップに限らず、スライダーも武器なので、まっすぐがコントロールされていいまっすぐがきた時にチェンジアップが有効なボールになる。もっともっと精度をあげて、あの時は打ち取ったのは良かったと思います」。 

直近2試合は本拠地ZOZOマリンでのマウンド

 18時から行われるオリックス戦は京セラD大阪ドームでのマウンドだが、その前の2試合は本拠地・ZOZOマリンスタジアムでの登板だった。マリン特有の風による投球の影響はあったのだろうかーー。

 「そんなに影響というのはなかったんですけど、試合前に風が案外吹いていて、試合が始まってから少し弱まった部分があるので、そこら辺は風がある日、風がない日、関係なく自分でしっかり対応していいピッチングをしなくちゃいけないなと思っています」。

 カイケルが3つのアウトを取りベンチに戻った時に、大下誠一郎をはじめ控えの野手たちがベンチ前でハイタッチをする。「日本独特の迎え入れてくれる習慣かもしれないですけど、最初はそうなんだという感じで、みんなが自分のピッチングにナイスピッチングと迎え入れてくれたら、本当にありがたく思っています」。

 カイケルは京セラドーム大阪でのオリックス戦の先発は2度目となる。「相手も研究してくる。しっかりと対策を立てて、自分の持ってるボールをコントロールよく投げ分けて、5回以上は長いイニングをしっかり投げられるように準備していきたい」。今夜も打たせて取る投球で、チームを勝利に導く。

(ダラス・カイケル投手通訳=千葉ロッテマリーンズ・矢嶋隆文通訳)

取材・文=岩下雄太

(ベースボールキング)

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≪9/≫


 飛行機が羽田空港に到着し、機内から出るとマネージャーに呼び止められた。国吉佑樹投手は、ベイスターズからマリーンズへのトレード移籍が決まった時の事を鮮明に覚えている。あれは2021年6月13日。

「明日、球団事務所にいってくれ」

 この日までは交流戦。札幌ドームでのファイターズとのデーゲームを終えて空路移動し、リーグ戦再開に向けて気持ちを入れ直していた中で球団から呼び出された。時期的にもトレードであるとすぐに察した。

すぐに察したトレード

「その場では何も言われなかったけど、トレードだなとは分かりました。(行く先が)どことは分からなかったけど、自分の中で、ああそういうことだろうなあと思った。翌日、事務所に行くとマリーンズの有吉(優樹)さんとトレードが決まったからと言われて、すぐに発表になりました」 

 09年ドラフトの育成1位でベイスターズに入団。11年に支配下登録され先発、中継ぎとして活躍してきた。トレードが発表となった際に国吉はこんなコメントを出している。

「育成で入団して様々な経験をさせていただき感謝の気持ちです。突然のことで正直寂しい気持ちと、まだ実感が湧いてこないです。リーグは違いますが、野球をすることに関しては変わらないので、移籍してもしっかり自分らしいパフォーマンスを発揮できるように頑張ります」

心機一転のチャンス

 この年、ベイスターズでは18試合に登板して1勝1敗の防御率5.16。「主に先発が早い回に降板した時に試合を立て直す役割を担っていた」と振り返る。決して本人も満足いく成績ではなかった中で、このトレードは気持ちを一新する良い機会と捉えることができた。同じ関東が本拠地のチームということで、引っ越しなど家族への負担が少ないことも嬉しかった。ただ一つ、不思議に思うことがあった。この年の交流戦で国吉はマリーンズ相手に2試合に登板して、いずれも打たれていたことだ。

「レアードに打たれて、(佐藤)都志也にも打たれた。とにかく打たれた記憶があります」

 横浜スタジアムでの6月4日、初戦は1回3分の1を投げて2安打、2失点で負け投手。翌5日も1回を投げて2安打、3失点していた。

「勝ちパターン」を意気に感じて

 しかしZOZOマリンスタジアムに初めて足を運んだ時には球団からこう明言された。「勝ちパターンで使う。その気持ちで準備をして欲しい」。目の前の数字ではなく、高い角度から繰り出される威力十分のストレートを評価されての移籍だった。そこまで満足いく成績を出すことが出来ていたとは言えない中で、いきなり勝ちパターンを任されるほどの期待をかけてもらえたことを意気に感じた。

「トレードに関してネガティブな気持ちは元々なかった。寂しかったけど、選手としてはいい機会だと。7回の勝ちパターンでと言ってくれたことで役割が自分の中で明確になった。これまでは先発が崩れた時とか、どこで投げるか試合展開次第で分からなかった。勝ちパターンで投げる機会もなかなかなかった。それだけにありがたかった」

 もう一つ、プラスに思えた材料もあった。「元々、変化球でかわすタイプではなくストレートで押していくタイプだったこともパ・リーグに向いていたかも」。自己分析通り、トレード後は25試合に登板して2セーブ17ホールドで防御率1.44。最後の最後までバファローズと優勝争いを繰り広げ、最終的には2位となったチームの快進撃をブルペンで支えた。

「イップスのような状態」

 ただ、その後は苦しんだ。一昨年は登板6試合。昨年はわずか3試合の登板に終わった。ある時をキッカケに突然、投げ方を忘れたかのようになった。ボールが指にかからず、コントロールがきかない。二軍でもストレートがホームベース手前で大きくワンバウンドするなどボールが乱れる痛々しいシーンも見られた。

「思うように投げられなくなった。最初、投げるのにちょっと違和感があって、それがどんどん大きくなった。谷底に転げ落ちるような感覚。コントロールがきかなくなった。いわゆるイップスのような状態。

 投げられたのに投げられない。もどかしい。怪我をしていない。身体は元気。だけど指にかかる感じがほとんどない。今まではあった感覚がない。思うように投げることができないから投げるのが気持ち悪い。昔、軽いのはあったけど……ハマってしまった。小さいことを気にしてそれを直そうとしたら他のところまで崩れて、投げ方全て崩れてしまった」

苦境から脱した「大改造」

 どん底から立ち直る契機になったのは、わずか6試合の登板に終わった22年のオフだった。思い切って開き直った。すべてを忘れ、フォームを一から作り直した。ピッチングの動作ではなく、もっと前。身体の動かし方から着手した。

「立っている時の姿勢。バランス。そこから見直した。歩き方。一歩目。走る時もまず立って歩いてそこから走る。だから立つことから考えた。一回すべて分解して、一から組み立てた。オフから。毎日、身体の動かし方をチェックしてメカニックを整えて。それくらい抜本的なことをしないといけないと思った。一つを直すのではなく、ピッチングでもなく、もう身体の動かし方、全部だった」

 最初にピッチングへの違和感を感じてからは1年半ぐらい経過していただろうか。昨年、夏前くらいにある程度投げられる手ごたえを掴むことができた。9月18日に一軍昇格すると3試合、3回3分の2を投げて無失点。気がつけば自慢のストレートは威力を取り戻しゾーン内に押し込むことができるようになっていた。

クールな男の熱いガッツポーズ

 その後、インフルエンザに感染する不運もあり登録抹消となったが、京セラドーム大阪で行われたバファローズとのクライマックスシリーズファイナルステージ第3戦の大舞台で登板。5回から投げて2イニングを無失点に抑えてシーズンオフを迎えた。

「最後の最後で一軍に上がって結果を出すことが出来て、自分にとって自信になった。来年はやれるという手ごたえを掴むことが出来た」と国吉は振り返る。

 迎えた24年シーズン。悩み抜いた男は華麗に復活した。9月5日のイーグルス戦(ZOZOマリンスタジアム)。2点リードの7回にマウンドに上がり1回を無失点に抑えた。3アウト目を浅いサードフライに打ち取るとグラブを右手で荒々しく叩いて喜びを表現した。クールな大男にしては珍しいガッツポーズだった。それもそのはず。これで球団新記録となる22試合連続無失点を達成したのだ。

「意識したくなくても…」

「19試合無失点くらいの時、球場から帰りのタクシーを待っている時に記者に言われて初めて球団記録を知った。その後、20試合連続無失点で勝ち投手になってヒーローインタビューで言われて、意識したくはなかったので、そこはあえて『全く知りませんでした』と答えました。それからはもうヒーローインタビューでも話題になっているので周りの人もみんな知っています。意識はしたくなくてもしてしまう。色々と考えてしまったけど、抑えてホッとした。あのガッツポーズは安堵から出た感情。自然と出ました」

 すべてを一から直す。悲壮な決意を持って、日々の身体の動かし方も含めて見つめ直したあの日。まさか、その後こんな偉業を達成できる日が来るなんて想像出来なかった。陰極まり陽に転じた。行くべきところまで行ったからこそ、開き直れて人生が少しずつ開けていった。2年間苦しんだからこそ得られた大きな喜び、悩みに打ち勝った男へ、それは神様からのご褒美だった。

「本当に幸せだと思った」

「記録を達成して本当に色々な人から連絡がきた。同級生、先輩、後輩。ベイスターズの人。昔からの友達。こうやって連絡をもらって改めて色々な人がボクのピッチングを見てくれていることを実感した。自分のピッチングに凄いリアクションがある。応援してくれる人がいる。本当に幸せだと思った」。翌日、球場に姿を現した国吉は嬉しそうにしみじみと口にした。

 マウンドに立ち続ける日々は変わらない。ブルペンでは10球から15球で肩が出来る。そこからマウンドに向かう。ストレートを中心にフォーク、カットボール、カーブ。ゾーン内に強いボールを投げ込む。打者と、次々勝負する。チームの勝利のため、そして応援してくれる人のために0を並べる。新しい自分を見つけた196cmの長身右腕はこれからも、マリーンズの伝説を作り続ける。

梶原紀章(千葉ロッテ広報)

(Number)

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≪9/12≫


プロ初セーブ

 ロッテの菊地吏玖が11日のオリックス戦、3イニングを無失点に抑えプロ初セーブを記録した。

 菊地は12-3の7回に登板し、1イニング目の7回はわずか7球で三者凡退に抑えると、2イニング目となった8回は二死走者なしから杉本裕太郎にレフト前に運ばれたが、セデーニョを145キロのストレートで空振り三振。3イニング目となった9回は先頭の頓宮裕真に死球を与えたが、続く紅林弘太郎を二併。最後は代打・来田涼斗を126キロのフォークで空振り三振に打ち取り、試合を締めた。

安定した投球

 菊地は8月3日に再昇格後、12試合・15回1/3を投げ、イニングを上回る17奪三振、1失点と安定した投球を披露する。

 「場面が場面というのもありますけど、最近は僅差の負けている場面でも行かせてもらっていますし、そういう場面で投げさせてもらえるようになってきたというのは僕としてもちょっとずつではあると思うんですけど、信用を得られているのかなというのもあります」。

 「上がってきてから何試合か続けて点数を与えずにランナー出ても粘って抑える試合、簡単に3人で終われた試合もありましたし、そういった試合を作れているのは前回上がった時はそんなことがなかったので、その辺は成長しているかなと思います」。

 ファームでは“3球以内で追い込んで、そこからきっちり1球で仕留めること”、“三振をしっかり奪うこと”を頭に入れて取り組んできたが、再昇格後の投球を見ると、1イニングを15球以内で終える登板が多く、8月20日と22日の日本ハム戦は1イニングをわずか8球で終えた。

 「四球は(8月14日の)日ハム戦とかくらいしか自分で出したところはそんなにないのかなと。そのあたりが球数を多く使わないことにつながっているかなと思います。ボールが続いても落ち着いて投げられているのがいいのかなと思います」。

 少ない球数で抑えていることに加え、三振も増えている。再昇格後の奪三振率は9.98、シーズンの奪三振率は10.35を記録する。

 「決め球を1球で決め切る。決め球の質が良くないといいバッター、一軍のバッターはみんな振ってくれなかったりファウルになったりしてしまう。その中で三振をしっかり取れるようになったのは確実に成長しているところなのかなと思います」。

 フォークで空振りを奪える時もあるが、フォークを見極められボールになることもある。

 「おそらく見送られる時というのはその前に投げた真っ直ぐが効いてなかったりとか、ストレートと同じ軌道でフォークを投げられていないから見送られることが多いと思います。空振りが取れている時というのは真っ直ぐの軌道から入ってスッと落ちてくれている時だと思うので、その確率もだいぶ上がってきたかなと思います。一歩ずつではありますけど、良くなっているのかなと思います」。フォークで空振りが奪えていない時の理由もしっかり自分の中で自己分析ができている。

 「映像を振り返って、ここのボールがちょっと不用意だったなとか、フォークの落ちが甘かったなとか、だったら次の日フォークの落ち具合を確認したりとか、基本的にたくさん1試合では多く投げるわけではないので、全部フェンス際のあたりを打たれようが抑えればOKなポジションではある。あまり固執しすぎないというか、割り切る重要性も中継ぎをやってから身についたかなと思うので。そこは気にしすぎないように、でも振り返りは怠らないようにはしています」。

 そういった考え方は一軍にいる先輩方に教わったのだろうかーー。

 「主に先輩だったりコーチに言われてそういう考えになっていきました。元々は完璧に抑えられないと嫌でした。ファームの時は大谷コーチをはじめ、大隣さん、松永さんもそうですけど、中継ぎはランナー3人だそうが0で抑えて帰ってくればいいねとか、グダグダになっても結果0でOKだからという声掛けもたくさんしてもらいました。だんだん自分の中で割り切れるようになっていたきっかけかなと思います」。

 与えられた登板機会で結果を残し、首脳陣の信頼も上がっている。小野晋吾投手コーチは「菊地は特にチャンスを掴んで、しっかりモノにしつつある。まだまだ経験している段階ですけど、その中で自分のモノを出してくれている。考え方としてもゲームに入っていけるというものが見えている。今は頼りにしていますね」と評価する。

 菊地は「チャンスをもらった、もらっていないとかではなくて、とにかくいけと言われたところで、しっかりと仕事をするというところを継続していければ、自ずとチームのためになると思いますし、結果自分のためにもなる。そこだけ考えてやっていきたいと思います」と意気込む。日に日に存在感を高める2年目の右腕。残り試合、チームの勝利のため必死に腕を振っていく。

取材・文=岩下雄太

(ベースボールキング)


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