≪5/30≫
「結果として出ているのはいいことじゃないですかね」。
ロッテの愛斗は今季に向けて“長打”にこだわってきた中で、ファームでは打率イースタントップの.336をマークし、確実性という部分でもしっかりと結果を残して、5月27日に今季初昇格を果たした。
オープン戦では「頭から行った時にいかに内容よく行けるか、長打を打てれば最高ですし、強い打球、自分のスイングが練習から試合もできていると思っています」と、スタメン出場した3月4日のDeNA戦、6日の広島戦で本塁打を放った。
開幕はファームで迎えたが、4月は24試合に出場して打率.319(69-22)、1本塁打、10打点の成績を残すと、5月は15試合に出場して打率.356(59-21)、1本塁打、6打点と打ちまくった。
4月12日の西武二軍戦、3-1の8回無死一、三塁の第4打席、水上由伸が投じた初球、右中間を破る2点適時二塁打をはじめ、右中間に飛ばす当たりが非常に良かった。“右中間”に打っている時は好調のバロメーターのひとつだったりするのだろうかーー。
「そんなことはないですけど、僕はどっちにも打てるタイプ。右方向、引っ張る方向だけじゃなく、両方打てるような意識はしています」。
4月6日のDeNA二軍戦、2-0の5回一死一塁の第3打席、庄司陽斗に対し1ボールからの2球目にノーステップ打法で打ち、130キロのスライダーを詰まりながらセンター前に運ぶなど、“ノーステップ気味”に打つこともあった。
そこに関して「練習からやっていること。試合になったら、臨機応変に対応しないといけないので、自分の1個の引き出しとして持っているという感じです」と教えてくれた。
守っても、4月5日のDeNA二軍戦、3-0の5回二死一、二塁で度会隆輝が放った左中間の安打をセンター・愛斗が素早く処理し、二塁ベース上でオーバーランしていた一塁走者・栗飯原龍之介を見逃さず、二塁へ送球して二塁ベース上でタッチアウト。二塁走者の生還よりも先にアウトにしたため、得点を許さない好プレーを披露した。5月18日のヤクルト二軍戦、0-4の3回無死一塁で、西村瑠伊斗が放ったライトへのノーバウンドかワンバウンドで捕球するか難しい当たりをショートバウンドでキャッチし、素早く二塁へ送球しフォースアウトにするなど、ファームでも持ち前の守備力の高さを何度も見せた。
「守備は何も変えずに自分のやってきたことを出すくらいの感じでやっているので、いい感じなのかなという感じですね」。
走っても、4月25日のDeNA二軍戦の0-0の2回一死一塁で、山口航輝が放ったレフト後方のフライアウトで一塁から二塁にタッチアップすれば、5月23日の楽天二軍戦、1-0の5回無死一、二塁で角中勝也の1ストライクからの2球目に三塁盗塁を決めた。同日の楽天戦、4-1の8回一死満塁で大下誠一郎のライトへの犠飛で一塁から二塁にタッチアップし、藤田和樹の適時打で生還するなど、“隙のない走塁”も非常に良かった。
「バッティングだけじゃなく、守備、走塁も結果として見せないと上がれないのかなと。走塁は相手の隙をつくということしかできないと思うので、積極的な走塁というよりは相手の隙をつく走塁を心がけていました」。
ようやく巡ってきた一軍の舞台。「自分のやってきたことをそのまま普通にやるだけなので、それだけです」。シーズンオフから一軍で戦うための準備を怠ることなく、やってきた。後は、一軍の公式戦で発揮するだけだ。
取材・文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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ロッテの東妻勇輔は開幕から二軍で腕を振っているが、ここまで11試合・11回2/3を投げ、イニングを上回る12奪三振、防御率0.77と、一軍昇格に向けてアピールを続けている。
東妻は近年、ツーシーム主体の打たせて取る投球をメインにしているが、今季はファームとはいえ、イニングを上回る奪三振をマークするなど奪三振が増えている。
「右に対してはスライダーが絶対的に自信のあるボール。それでどんどん空振りが取れているので、どんどん投げ込んでいる状態ではあります。左に対しても今年は何球かインコースにスライダーがうまいこと使えているので、それが三振増えている理由かなと思います」。
4月5日のDeNA二軍戦では、3-0の7回無死一塁から加藤響を3ボール2ストライクから128キロのスライダーで空振り三振、3-0の7回二死三塁から上甲凌大を2ストライクから3球目のスライダーで空振り三振に仕留めた。
「去年とかに比べたらスライダーが自分の投げたい軌道になってきたかなというのはあります」と自己分析しながらも、「今からだと思うので、正直」とこの先、スライダーで空振りが取れるかがポイントと見ている。そう明かす理由について東妻は、「いつもキャンプが終わって4月、5月はスライダーがいい感じで投げられているんですけど、ここから疲れてきたり、体が変わってきたりで、多分曲がり方が変わってくると思うので、そこがキープできるかがこの先の課題かなと思います」と説明した。
スライダーで空振りを奪えている反面、今季はカットボールをほとんど投げていない。それは、スライダーが良いことも関係しているのだろうかーー。
「ツーシームとカットボールを両立されるのが僕の中では難しくて、どっちにも合わせちゃうと中途半端なボールになってしまう。どっちか消して、スライダーだったら全く別の投げ方で投げるので、速球系のボールというのは1種目に絞った方が良いのかなという理由で、今回カットボールはあまり投げないようにしています」。
また、オープン戦の時期に「クイックにすると球が弱くなってしまうところがあった」と話していた部分に関しても、「基盤というか、こういうときにこうしようという算段が固まってきたので、それは実戦で何回か試して、バッターがいることなので逆になっちゃう時もあるんですけど、それはそれで勉強しながらできていると思います」と話した。
今はファームで過ごしているが、「結果を見てもそれなりにやりたいことはできている気はします。球速の数字自体も150という数字を超えてこれれば、他のボールの威力も上がると思うので、今はそこを目標にしていますね」と自信を見せる。
「自分は任させられたところで多分いけるピッチャーだと思うので、適応力というもので適応できればと。右バッターはしっかりスライダーで三振が取れて、ゴロアウトも数増やせるように強みを出せるようにと思います」。一軍昇格を目指して、自身の課題、武器を磨いていく。
取材・文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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≪6/1≫
「繋いだチャンスで打つことができて良かったです。嬉しいです!」。
ロッテの山口航輝は5月31日の日本ハム戦、今季初打点となる2点適時二塁打を放った。
『7番・レフト』でスタメン出場した山口は、0-1の5回一死二、三塁の第2打席、先発・山﨑福也が1ボール2ストライクから投じた134キロのカットボールを、レフトへ一時逆転となる2点適時二塁打。山口は二塁ベース上でガッツポーズを見せた。
◆ 開幕は二軍スタート
22年から2年連続二桁本塁打を放ち、長距離砲候補と期待された山口だが、昨季は51試合の出場にとどまり、放った本塁打数もわずか2本に終わった。
今季に向けて、自主トレでは妥協できない環境を作って、厳しい練習で体重も3、4キロ絞った。石垣島春季キャンプでは、「先頭に立ってやることは大事だと思いますし、アップとかもなるべく前にいくようにはしています」と、ベースランニングでは先頭で行うなど、今季にかける強い思いが伝わってきた。
練習試合・オープン戦では12試合に出場して、打率.200(30-6)、2本塁打、4打点と、熾烈な外野手争いを勝ち抜くことができず、開幕をファームで迎えた。
「見返したい、やり返すという気持ちが強いので、はい」。3月15日の日本ハムとの二軍開幕戦から8試合連続安打と猛アピール。3月終了時点で打率.364、2本塁打、10打点と打ちまくった。4月5日終了時点で.350あった打率も徐々に下降し、4月19日ヤクルト二軍戦終了時点で打率.257まで下がった。
「いろんなことを自分にハマること、何かいい形で見付かればなと思ってやっていました」と、4月29日の巨人二軍戦では、バットを構えた時に投手方向にバットを向けて構えたり、5月3日のヤクルト二軍戦では3打席目まで、バットを寝かせた構えなど試行錯誤。
「本来の自分ではまだないかなと思います」と話しながらも、5月5日の西武二軍戦、0-2の5回無死走者なしの第2打席、糸川亮太が1ストライクから投じた2球目の129キロスライダーをレフトスタンドへの一発、5月11日のDeNA二軍戦、4-0の3回二死走者なしの第2打席、森唯斗が投じた初球のツーシームを打った瞬間のレフトスタンドへの本塁打は素晴らしかった。
「あれ(糸川からの本塁打)は振ったら引っかかったくらいで、森さんから打ったのは結構、完璧で今年で一番良かったかなと思います」。
状態が上がらない中でも、森から本塁打を放った5月11日のDeNA二軍戦は3安打、続く5月13日のくふうハヤテ戦では2試合連続本塁打を含む2安打7打点の大暴れ。
満を持して5月14日に今季初昇格。5月22日のオリックス戦で今季初安打を放ったが、この日以降出場がなく、ベンチを温める日々が続いた。それでも、久しぶりの出場となった5月31日の日本ハム戦で2点適時打を放ち、少ないチャンスでアピールした。
ロッテの外野陣は藤原恭大、髙部瑛斗、岡大海、山本大斗、愛斗、石川慎吾、ファームにも角中勝也、西川史礁、和田康士朗などがおり、競争が熾烈。
「普通に見ていて、全然僕より技術があると思うし、だからと僕が出られないと思うので、素直に良いところは真似して、負けたくはない。自分を信じて頑張るだけかなと思います」。一軍でプレーするため、打ち続ける。
取材・文=岩下雄太
(ベースボールキング)
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