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コラム記事【11/15~11/16】

2022年11月16日 20時21分05秒 | マリーンズ2022
≪11/15≫


 14日に2022年度の三井ゴールデン・グラブ賞の受賞選手が発表され、ロッテからは髙部瑛斗外野手が初受賞を果たした。

 髙部は球団を通じて「プロ入りの時からずっと目指してきた賞ですので、皆様に選んでいただき受賞することが出来てとても嬉しいです。これからもこの賞を受賞できる選手になるためにしっかりと練習に精進して取り組んでいきます」とコメントした。

佐藤、松川が好守備

 今季はゴールデン・グラブ賞を受賞したのは髙部のみだったが、今季も随所にロッテの選手たちの好守備が光った。

 捕手では高卒1年目ながら76試合でマスクを被った松川虎生が4月23日のオリックス戦、2-1の10回無死一、三塁で、益田直也が1ボールから紅林弘太郎に投じた2球目低めのカットボールを前に弾いてしまうも、スタートを切った一塁走者・佐野皓大を素早い動きで二塁へ送球しタッチアウトにした。

 6月26日のオリックス戦では1-0の3回無死一塁から伏見寅威のキャッチャー前の送りバントを二塁へ送球しアウトにすれば、同日の試合で2-2の8回一死三塁から福田周平の空振り三振(ファウルチップ)で飛び出した三塁走者の小田裕也を刺そうと三塁へ送球し三塁タッチアウトにした。

 佐藤都志也は捕手でチーム最多の84試合でマスクを被り、ゴールデン・グラブ賞の有資格となる71試合に届いていないが、一塁でも50試合に出場。佐藤は捕手でリーグトップの盗塁阻止率を誇り、一塁の守備では4月1日の西武戦で2度、素早いバント処理で三塁へ送球しフォースアウトにしたこともあった。

安田の成長、中村の気合の入った守備

 内野手では、三塁手・安田尚憲が守備で成長した姿を見せた。4月1日の西武戦で森友哉が放った三遊間の鋭いゴロをダイビングで捕球し素早く一塁に送球しアウトにすれば、7月30日のオリックス戦では紅林が放った三遊間の打球に、後ろに下がって捕球し反転して一塁へ送球してアウトにした。8月16日のオリックス戦では吉田正尚が放った三遊間への難しいバウンドをうまくすくい上げ一塁に送球しアウトに。

 得票数を見れば、ゴールデン・グラブ賞を受賞した宗佑磨(オリックス)の189票に対して安田は58票だったが、筆者としてはもう少し安田に票数があってもよかったのではないかと感じるほど、特にシーズン中盤以降は安定していた。

 2年連続ゴールデン・グラブ賞とはならなかったが二塁手・中村奨吾は、守備で何度も投手陣、そしてチームのピンチを救った。5月11日の楽天戦では3-0の7回一死一塁から炭谷銀仁朗が放った一、二塁間のゴロに追いつき難しい体勢で二塁へ送球し、4-6-3のダブルプレーを完成させれば、7月18日のソフトバンク戦では谷川原健太のセンター前に抜けていきそうな打球をダイビングキャッチし座ったまま一塁へ送球しアウトにする超スーパープレー。

 筆者が個人的に印象に残っているのが、8月4日の楽天戦。0-10の4回無死走者なしで岡島豪郎が二塁ベース付近にはなった打球を逆シングルでキャッチし一塁へジャンピングスローでアウトにした守備は見事。10点ビハインドという展開でも、気合の入った姿勢は素晴らしかった。

 ゴールデン・グラブ賞の有資格となる71試合に届いていないが、三木亮は今季も一塁で16試合、二塁で4試合、三塁で21試合、遊撃で6試合と、4年連続で内野の全ポジションで出場。スタメン出場した5月1日の日本ハム戦で1試合2失策ということがあったが、途中出場した試合での失策は0。これは20年から3年連続で継続中の記録だ。今季は若い選手たちが最後までゲームに出場することが多く、守備固めでの出場は減ったが、試合終盤のミスが許されない場面で無失策というのはさすがだ。

フェンス際に強い荻野

 外野手はゴールデン・グラブ賞を受賞した髙部をはじめ、荻野貴司、岡大海、藤原恭大、和田康士朗など俊足を活かした広い守備範囲、そしてケガを怖れぬフェンス際でのガッツ溢れるプレーで何度も投手陣を助けた。

 フェンス際での守備と言えば、荻野だろう。7月6日の日本ハム戦、近藤健介が放ったレフトフェンス付近のあたり、フェンスにぶつかりながら好捕し、8月7日の西武戦では呉念庭のレフトライン際の打球をフェンスに激突しながらランニングキャッチ。さらに8月24日の西武戦では源田壮亮が放ったレフト線に切れる打球に対し、フェンスを怖がらずにキャッチした。

 岡はレフト、センター、ライトと3つのポジションを高いレベルでこなした。3月25日の楽天戦では左中間の飛球をセンター・岡がスライディングキャッチすれば、8月14日の日本ハム戦ではライト後方の飛球をスライディングキャッチする超美技。

 外野の守備で、今年忘れてはならないのが、福田秀平の魂の守備だろう。8月24日の西武戦、2-2の7回無死一塁で森がライトフェンス際に放ったあたりをライト・福田がフェンスに激突しキャッチ。起き上がれなかったが、すぐにセンターの髙部にボールを投げ、ボールを受けた髙部が中継の二塁・中村に送球。二塁を狙った一塁走者を刺そうと中村はセカンドベースに入ったショート・小川に送球しダブルプレー完成させた。当時チームが停滞していた中で、再び勢いを与える好守備だった。

 一部の選手のみの紹介となったが、この他にも素晴らしい守備はたくさんあった。当然、来季に向けての課題もある。今年はロッテからゴールデン・グラブ賞を受賞した選手が1人だったが、来年は複数の選手が受賞するような“鉄壁な守備陣”を作っていきたいところだ。

▼ 三井ゴールデン・グラブ賞有資格者
<投手>
小島和哉
東條大樹
益田直也
ゲレーロ

※投球回数143以上
※試合数47以上

<捕手>
佐藤都志也
松川虎生

<一塁手>
なし

<二塁手>
中村奨吾

<三塁手>
安田尚憲

<外野手>
髙部瑛斗
岡 大海
荻野貴司

※試合数71以上

文=岩下雄太

(ベースボールキング)

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≪11/16≫


得点に繋がる犠打が多かったのは?

 ロッテは今季のチーム犠打がリーグ5位の94犠打だったが、昨季まで2年連続リーグトップの犠打数を記録するなど近年、攻撃において犠打は欠かせない。その一方で、SNSなどでファンから犠打が得点に結びついていないのではないかと指摘されることも多い。実際に今季は、犠打がどれだけ得点に結びついたのだろうか。

 調べてみると、今季94犠打中得点に繋がったのは48犠打。ちなみに昨季は106犠打中得点に繋がったのは48犠打と、数字だけ見れば昨季よりも得点に結びついている。今季得点につながる犠打が最も多かったのは、開幕前の取材で犠打について「(昨季までは)セーフティバントは得意でしたけど、バントは得意ではなかったですね」と話していた髙部瑛斗の15犠打。 

 そのうち決勝点に繋がる犠打を3個決めている。7月20日の西武戦では2-3の5回無死一、二塁から西武先発・エンスが投じた初球のカットボールをピッチャー前に転がし、二、三塁とすると、続く中村奨が逆転の2点適時二塁打を放った。なお、この回先頭打者の松川虎生の左安、荻野貴司の左安、髙部の投犠、中村奨の2点適時二塁打まで全て初球攻撃。4球で逆転に成功した。

▼ 得点に繋がる犠打を決めた選手トップ3
1位 15犠打 髙部瑛斗
2位  8犠打 佐藤都志也
3位  6犠打 中村奨吾

送って“還す”ことが多かった打者は?

 一方、送りバントで得点圏に走者を進め、“還す”ことが多かったのは中村奨吾だ。

 中村奨は先程紹介した7月20日の西武戦をはじめ、8月2日の楽天戦では初回先頭の荻野が四球で出塁し、続く髙部が送って先制の2ランを放つなど、送りバントで走者を進めた場面で打席を迎えたときの中村奨の打点数は15。その内訳は、本塁打による打点が5、適時打が8打点、犠飛が1打点、内野ゴロが1打点だった。髙部の犠打から中村奨の一打で得点に繋がる機会が非常に多かった。

 つまり1番を打つ荻野の出塁も多かったと言えるだろう。犠打とは関係ないが、中村奨が今季打率.257ながらシーズン自己最多の68打点をマークできたのも1、2番の出塁の高さが要因の1つといえそうだ。

スクイズで得点も

 また今季はスクイズで得点というシーンが何度かあった。5月13日のオリックス戦では、2-1の8回に先頭の髙部が四球で出塁し、続く中村奨の打席中に髙部が二塁盗塁を決め、中村奨がきっちり遊ゴロで三塁へ進めると、佐藤都志也が1ボール1ストライクからの3球目に一塁へスクイズを決めた。シーズン序盤、なかなか得点ができなかった中で、無安打で挙げた1点だった。

 7月2日の楽天戦では0-1の5回一死三塁の場面で、岡大海が1ボールからの2球目、外角のストレートに体を投げ出しバットに当てるバントで三塁走者の山口航輝が生還したこともあった。

 送りバントから得点という場面を振り返ったが、今季はバント失敗が昨季に比べて多かったことに加え、送っても得点に繋がらなかったケースが何度もあり、課題点が多かったのも事実。犠打に頼らず、打って繋いで得点できるのが一番良い。ただ送りバントから1本の安打で1点を奪う攻撃が、マリーンズの武器のひとつであることも忘れてはならないだろう。

文=岩下雄太 

(ベースボールキング)


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