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コラム備忘録【12/17】

2020年12月18日 06時46分38秒 | マリーンズ2020
≪2020/12/17≫

ファームで打率.344 来季に期待のロッテ・高部瑛斗

鮮烈な対外試合デビューも…

 荻野貴司、マーティン、清田育宏、角中勝也、福田秀平、加藤翔平、岡大海、菅野剛士、さらには若手の藤原恭大、当時育成選手だった和田康士朗といった熾烈なロッテの外野のレギュラー争いの中で、ルーキーの高部瑛斗がどこまでこの競争に食い込めるのか、開幕前の見所のひとつだった。

 春季キャンプは一軍スタートを切り、今季初の対外試合となった2月8日に行われた楽天モンキーズとの国際交流試合に、『2番・ライト』で先発出場した高部は初回の第1打席、レフト前ヒットで出塁すると、続く3番・香月一也の初球に盗塁成功。香月の浅いライト前ヒットで二塁から一気に生還した。続く第2打席では右中間を破る走者一層の適時三塁打。50m走のタイムは5秒8の俊足・高部が、三塁に陥れるまでのスピードの速さは圧巻だった。

 鮮烈な対外試合デビューとなったが、「打った瞬間にボキっとなった」と、同試合中に右手有鈎骨を骨折し離脱。同じ大卒ルーキーの同2位・佐藤都志也、同5位・福田光輝が一軍の練習試合、オープン戦に出場するなか、高部は復帰へ向けてリハビリに励んだ。3月15日の日本ハムとの二軍練習試合で、実戦復帰を果たす。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が6月19日に変更となり、6月の練習試合では一軍の練習試合にも出場した。骨折で離脱した楽天モンキーズ戦以来となる一軍の対外試合出場となった6月5日の楽天との練習試合で、『2番・ライト』で出場し、3回に則本昂大から安打。

 翌6日には代走から途中出場し、和田恋の左中間への当たりをセンター・高部がダイビングキャッチする好捕し、打っても片手一本でヒットを放った。7日の楽天との練習試合では、代走で出場し盗塁を決めた。

 10日の中日との練習試合で、「あれはサインです。確実にランナーを送って、自分も勝負できるのであれば勝負しようと思いました。サードも前にきていたので、打球を殺してピッチャーに取らせるぐらいにと思っていました」と三塁へ絶妙なセーフティバント。

 開幕はファームスタートとなったが、一軍の練習試合で持ち味をアピールした。

二軍で安打量産

 ファームでは開幕してから初安打を放つまでに12打席かかり、この時期の映像を見ると、左投手の外角のスライダーを見極められず空振りすることが多い印象を受けた。7月16日のDeNAとの二軍戦でサヨナラ本塁打を放つと、同月22日の西武との二軍戦では左に右にセンターにと、1試合5安打をマーク。この試合を境に安打を量産し、7月(.364)と8月(.308)の月間打率は3割を超えた。

 9月に入ると、その勢いは加速する。9月8日の楽天戦から6試合連続でマルチ安打を放つなど、二軍戦では17試合に出場してリーグトップの打率.431、28安打を放つ大暴れ。9月度のイースタン・リーグ「スカパー!ファーム月間MVP」に輝いた。

 9月25日のソフトバンクとの試合前には、一軍の練習に参加。この日の公示で一軍登録はなかったが、井口資仁監督は「彼の動きを見たかった。好調をキープしていますので、いつ呼ばれてもいいように準備してくれと伝えました」と話していた。

一軍の壁

 マーティン、荻野、清田、角中、福田秀、和田と外野手の層が厚く、なかなか一軍昇格の機会がなかった中で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う「特例2020」で一軍登録抹消された選手たちの“代替指名選手”として10月6日にプロ初昇格を果たした。

 「スタメンはアップの時に知りました。思ったよりは緊張はしませんでしたが守備に就いた時に緊張感を覚えました」。

 同日のオリックス戦に『1番・レフト』で先発出場した高部は、球界を代表する山本由伸に対し、初回の第1打席は152キロのストレートを前に見逃し三振、第2打席が遊ゴロ、第3打席が見逃し三振。9回の第4打席は守護神・ディクソンのチェンジアップに空振り三振で、4打数0安打3三振だった。

 翌7日から同じく“代替指名選手”として昇格した藤原恭大がスタメン出場し、高部はベンチスタート。代打で出場した9日のソフトバンク戦で、高橋礼からレフト前に弾き返す安打で嬉しいプロ初安打を放った。ただ、プロ1年目に一軍で放った安打はこの1本のみで、16日に一軍登録を抹消された。

内野安打

 再びファームに戻ってからは、一時イースタン・リーグ打率トップに躍り出るなど、安打を積み重ねた。リーグトップの打率.351で最終戦を迎えたが、4打数0安打で打率.344でフィニッシュ。チームメイトの加藤翔平が最終戦、3打数1安打で打率.345となり、高部は惜しくも首位打者を逃した。

 ファームに落ちてからの打撃を見ると、しっかりと振りきった安打だけでなく、大学時代も得意にしていたセーフティバントを3本も決めるなど、自身が持ち味とする俊足を活かしたプレーも見せた。

 ルーキーイヤーの今季は、10月に一軍昇格したときにチャンスをモノにすることはできなかったが、ファームではきっちりと結果を残した。今年の経験、反省を来季に活かし、外野のレギュラー争いを盛り上げて欲しいところだ。

文=岩下雄太

(ベースボールキング)

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≪2020/12/17≫

ロッテ石川、佐々木朗希にみる「プロ選手の影響力」

<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>

ロッテ石川歩投手(32)が5月に発したひと言が、知らぬ間に地元富山を“熱く”していた。球団SNS上での言葉だった。「辻わくわくランドです」

Q&A企画で「富山のおすすめスポットは?」と聞かれての回答だった。ファンを「???」と困惑させた辻わくわくランドは、石川の故郷、魚津市にある温浴施設だ。球界きってのサウナ好きは「整いますよ」とサウナ用語を使い、地元愛を発信した。

愛には愛を-。当時のネット記事を見た同店の総責任者・阿川直樹さん(50)がすぐに人知れず動いた。95度だったサウナの基本室温を100度に改造した。維持費は少し増えるが、それでも上げた。「シーズンオフに魚津に帰っていらしたときに、喜んでいただければと思いまして」。

この展開にワクワクし、記者も聖地巡礼に赴いた。開店は朝9時。近所の人がマイおふろ道具を持参し集まってくる。「サウナに12分から15分、水風呂を2、3分。外気浴で休憩10分弱。この3セットです」。せっかくだからエースのルーティンを疑似体験した。最高103度にまで達したサウナから、一気に13度の立山連峰伏流水へイン。血流と毛穴がボワッと来て、いつもの自分でなくなり、生命力が上がった気がした。

石川がお願いをしたわけではない。店側が好意で温度を上げただけ。私も、誰かからお願いされたわけではない。興味をもって、勝手に魚津を訪れただけ。それでも、全てのきっかけは石川のひと言だった。

同じQ&A企画で、もう1つのブームが生まれた。「関東に来て恋しくなった食べ物は?」との質問に、佐々木朗希投手(19)が隠しダマを取り出した。

「酢の素という、大船渡のしょうゆ店で作られたお酢があるのですが、とっても酸っぱいです」

岩手県内でも多くは出回らない謎のご当地調味料。県内外の多くのメディアが紹介し、ちょっとしたブームに。製造・販売する水野醤油店の水野一也さん(56)は「まさか好んで使っていただけているとは」とビックリ。酢の素の電話注文は例年の10倍以上に増え、年間販売数も例年の2倍に達したという。

佐々木朗は12月の契約更改で「自身が注目されていることをどう感じるか?」との問いに「大変ですけど、注目されているからこそ自分の発言とか発信ができると思います。すごく影響力があると思うので、自覚をもって発言、発信していきたい」と口にした。

今回の2例のように、第三者も前向きになれるような「プロ野球選手の影響力」であってほしいと願う。今年のドラフト2位・中森俊介投手(18=明石商)も、郷土の兵庫・丹波篠山市への思いが強い。先輩にも負けない、素晴らしい価値を発信してほしい。【ロッテ担当=金子真仁】

(日刊)

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