≪12/7≫
ロッテのセットアッパーとして今季8勝1敗1セーブ26ホールド、防御率1・26の好成績をマークした佐々木千隼投手(27)。桜美林大時代に特別コーチとして2年間指導した野村弘樹氏(52)=本紙専属評論家=がリモートで対談し、昨季0勝から復活を遂げた要因などを探った。「やりがいのあるポジション」と口にする右腕に、かつての師匠は「俺にはできない」と脱帽した。(取材構成・松尾雅博)
■桜美林大時代に特別コーチ
野村弘樹氏(以下、野村) 「一年間、お疲れさま。復活のシーズンを終えて、どんな気持ちかな」
佐々木千隼投手(以下、佐々木千) 「リーグ優勝できなかった悔しさ、日本シリーズに進出できなかった悔しさは本当に大きくて。その悔しさを来季に生かせるように、と考えています」
野村 「オフにやりたいことは?」
佐々木千 「まずは以前に痛めた箇所などの再発予防や強化。あとは全体的に足りないところの強化、フォームの見直しなど、いろいろやることがあります」
野村 「チームの結果は残念だったけど、個人的には手応えがあったんじゃないかな」
佐々木千 「(プロ入りから)4年間、1軍でシーズンを通して投げられたことがなかったし、いいポジションで投げさせてもらったので充実していました」
野村 「自己最多を大きく更新する54試合に登板。コンディショニングで一番難しかったのは」
佐々木千 「どんな状況、体の具合でも毎日試合があるので、先発で中6日で回るのとは別物だなと感じました」
野村 「体がつらい時期はあった?」
佐々木千 「特に前半戦の最後ですね」
野村 「じゃあ、約1カ月間の公式戦中断は助かったね」
佐々木千 「体をリフレッシュできたので大きかったと思います」
野村 「その期間に取り組んだことは」
佐々木千 「前半戦の最後は体がきつくて思うように追い込めなかったので、ランニングやトレーニングの量を増やしました。それが良かったのかなと思います」
野村 「毎日投げることできつかったのは体全体? それとも…」
佐々木千 「肩と肘ですね。投げた翌日の方が調子が良い日があったり、逆に投げていないのに悪い日があったり、不確定だったので。投げてきつくなれば、分かりやすいのですが…」
■「充実」の自己最多54試合登板
野村 「開幕前にセットアッパーをやると想像していたの?」
佐々木千 「しなかったですね。自分はビハインドのポジションだったので、どうやってチームに貢献できるか、このチームで生きていくために立ち位置を決められるかが大きかったです」
野村 「優勝争いの終盤戦は緊張感がすごいよね。チームと先発投手の勝ちを背負ってマウンドに上がるなんて、俺は嫌だし、できない(笑)」
佐々木千 「やりがいを感じているので、嫌ではなかったです(笑)。やりたくても、なかなかできるポジションではありませんから」
野村 「緊張感と達成感がいいバランスで一年を送れたのかな?」
佐々木千 「どちらもありました。先発は先発で勝てばうれしいし、達成感もありますけど、また別の感じです」
野村 「セットアッパーの難しさは、一球が命取りになることだよね。よくやったよ。来季の目標は?」
佐々木千 「やっぱり、今季できなかったリーグ優勝と日本一。チームの目標に、しっかり貢献できるように頑張りたいと思います。もちろん、良いポジションで貢献したいというのはありますけど、どんな役割、ポジションでも、とにかく貢献することですね」
野村 「来季も期待しているよ」
★初対面は大学2年「少し警戒(笑)」
対談は桜美林大時代の話にも及んだ。初対面は佐々木千が2年生の冬。野村氏は「千隼の体に馬力とスピードを感じて、すごく楽しみだなと思った」と振り返り、右腕は「どんな人なのか、少し警戒しました」と笑った。当時、佐々木千は練習にウエートトレーニングを取り入れ、「やっと体ができた頃。そこで野村さんに出会って、フォームのことなどを考えることができました」。それまで140キロ台中盤だった直球は、3年生になると150キロが出るようになったという。
★高校都選抜で僚友の鈴木誠也にエール
佐々木千が日野高時代に東京都選抜で一緒にプレーした広島・鈴木誠の米大リーグ挑戦について「凄いなという感じです」と目を輝かせた。2017年6月4日の交流戦では3打数無安打に抑え、今年7月に自身初出場の球宴で再会した。ロックアウトで移籍交渉が停止中だが「アメリカで活躍している姿をテレビで見られたら」と吉報を心待ちにした。
(サンスポ)
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イースタン最多の18セーブ
「こんなに投げられると思っていなかった。34試合投げられたこと、疲れはあったんですけど、充実した1年間になったと思います」。ロッテの育成・小沼健太はプロ1年目をこう振り返った。今季は開幕からファームで抑えを任され、イースタン・リーグ最多の18セーブをマーク。前半戦を終えたときのオンライン取材で「去年も(茨城で)抑えをやっていましたが、チームも勝っていなくて、ちゃんとした抑えをやったことがない」と話していたが、シーズン最後まで抑えを全うした。
素晴らしかったのが、4月24日の西武戦、3-3の9回に綱島龍生に適時打を浴びサヨナラ負けを喫したのを最後に、1度も負けなかったこと。セーブ機会は全て成功させた。
「最後の方になって(記録は)気づいたのですが、そこに対してのプレッシャーはなく、結果終わってみればそういう感じだったので、よかったのかなと思います」。
フェニックス・リーグでは先発を経験
フェニックス・リーグでは、10月28日の日本ハム戦で先発し4イニングを投げるなど、シーズン中よりも長いイニングを投げるケースが多かった。シーズン中は基本的に短いイニングでの登板が多かった関係で、最も長いイニングでも7月13日の西武戦の2イニング。首脳陣も小沼にイニング跨ぎや先発の練習もさせたいという狙いがあったようだ。
「2年前は先発で1シーズン戦い抜いたんですけど、1回抑えとか1イニングを経験すると、体的にはきついなと思いますね。3イニングで精一杯かなとフェニックスで感じました」と、その難しさを口にした。
11月14日から25日までZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では、佐々木千隼、小島和哉、岩下大輝といった一軍で活躍した選手たちと汗を流した。秋季練習の期間中、小沼は「二軍の秋季練習中に投球フォームなど試行錯誤していた部分を、小野コーチ、大隣コーチと話し合って練習していた。そこの部分を自分なりにさらに練習していったという感じです」と、課題克服に励んだ。
今季の小沼の投球を見ていると、34試合・34回2/3を投げて、与四球は10個、奪三振も20個と与四球は少ないが、奪三振も少なかった。
「今までも三振が取れる方ではなかった。結果的に三振も少なく、四球も少ないんですけど、一軍に上がるためには三振数というのを、防御率以上に僕自身大切にしないといけないと思っています」。“三振”にこだわっていく考えを示した。
「まっすぐは一番自信をもてるようになったんですけど、変化球に関してはどれも精度不足というか、完璧ではない」。
変化球を磨くことが奪三振数アップにつながっていくのかーー
「まっすぐだけだと、どうしても無理だと思う。カットボールは安定して投げることができるので、フォークとカーブをしっかり磨いていこうと思います」。
もちろんこのオフは、「技術的には、変化球の精度を一番大事にしている」と、変化球のレベルアップを目指す。それに加えて「体は大きくなったんですけど、まだまだ大きくならないといけない。しっかり筋力アップしていきたいと思います」と筋力トレーニングもしっかりとやっていくつもりだ。
来年、今年以上に“充実”したシーズンを送るためにも、シーズンオフの過ごし方が非常に重要になってくる。「ここまでオフシーズンもしっかり休むことなくできている。そこを継続しながらやっていきたいと思います」。来年2月1日にレベルアップした姿を首脳陣に見せるために、このオフは目的意識を持ってトレーニングを積んでいく。
取材・文=岩下雄太
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