ぷくーっ

ふぐをたらふく食べ終え、じーっと水槽を眺めていたところ、『ふぐと記念撮影できますがいかがですか?』と店員のお兄さん。そいつぁ縁起もんでぜひ、とうきうき撮影してもらうことに。水から上がった途端、みるみる風船のように膨らんでいくフグさん。息がゼェゼェハァハァあまりにも苦しそうだったので『お、お兄さん、早くしないと今にも息絶えそうです』とわしがあわあわ慌てまくっているのに、悠長にカメラを構えながら『大丈夫です、どうせ明日さばくヤツですから』とクールなお兄さん。ぬぅむ。そうねそうなのよね。食べられちゃうのね。さっきわしも仲間の一匹を食べたのね。トボン、と水槽に戻され、ふぃー、危なかったぜ、といった風情でぐるぐる泳ぎ始めたフグに撮影のお礼とお別れを告げつつ、食物連鎖についてしばし考える。そして近所の呑み屋で甘露煮になる寸前のフナを数十匹救出買い取りしてきて育てていた父上をふと思い出す。わしも出来ることならこのフグ買い取りたいもの。ほんのちょっとでも触れ合いの時間を持っちゃうと、愛しくてだめね。そんな甘いこと通用しないのは分かってるのに。などと色々考えたマスターなのでした。ごちそうさまでした。
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