歌う狸ブログ

街角狸マニアがあらゆるマニアについて歌う「マニアソングス」誕生秘話

ついに誕生!初タヌキソング「化かされたなら」

2020-04-02 20:19:11 | タヌキソングス
ポンポコと音頭という2大タヌキソング要素をあっさり放棄して曲作りに着手した私でしたが、やはりどうやってもタヌキらしい曲は生まれません。
そんな時、ふと立ち寄った道の駅で一冊の薄い本に出会いました。


ふと立ち寄ったというのはかなり端折ってしまいましたが、この道の駅というのは徳島県三好市にある道の駅大歩危でした。
四国は狸伝説が色濃く残る土地で、狸スポットが山のようにある聖地です。(狸好きにとっては。)
そんな聖地巡礼の途中に立ち寄ったのが大歩危でした。
(ちなみにトップ画像は大歩危近くの祖谷渓谷に立つ超開放的な小便小僧です。)

この本はこの道の駅発行ということで、一般の書店には並んでいないようですので、この出会いはまさに奇跡でした。

おもしろ やましろ たぬき話

さて、内容ですが、この本には65個のリアル狸化かされ話が収録されています。
しかも体験者の実名付きなのがリアルで、中にはなんども化かされている人もいます。
何となく不思議な出来事があって「あれは狸に化かされたのかな」と思うことはあると思いますが、実際に狸に化かされた人の証言を直に聞くことができる機会は貴重です。

化かされ方もくすりと笑えるものからかなり恐ろしいものまであるのですが、
特にお気に入りのエピソードは、女性に化けた狸につられて行方不明になり、翌日満身創痍で見つかったおじさんの話と、夜釣りをしていたら急に岩場に汽車が止まったと言い出して岩を押しはじめたおじさんの話です。
もちろん女性や子供が化かされたエピソードも満載ですし、狸が畑仕事を手伝ってくれた、みたいな話も載っています。
それでもやはり化かされるおじさんの話が気になってしまうのは、自分がおじさんだからでしょうか。

不可解なことや忌むべきことが起きた際、その正体を狸のせいにして、いつまでも悩んだり、恐れたりしないというのが厳しい自然の中で共同生活を営む人々の生活の知恵だったのではないか、あとがきの中で筆者の下岡先生は、何故この地に狸話が語られてきたのかについてこのように考察されています。

化かされたなら

そんな狸話からインスパイアされて作ったのが初のタヌキソング「化かされたなら」です。
考えてみると「騙される」というのはネガティブな言葉ですが、「化かされる」という言葉には人知を超えた力に対する諦めとおかしみが感じられる気がします。
心のどこかで化かされて現実世界から逃避したいと思っているのかもしれません。
上手くいかないことが多い世の中ですが、全て狸に化かされていると思えばやり過ごせるという意味と、なんでも狸のせいにして反省しない人(自分)ってどうなの?という自戒を込めて歌詞を考えました。
2017年7月の初演の時の録音が残っていますのでお聴き頂けたら幸いです。


化かされたなら(作詞作曲むらたぬき)

街の灯りに誘われて
腹鼓でも打ちながら
飲めや歌えの大宴会
気がつきゃ一人徳利かかえ
暗い夜道を歩いていたら
物陰手招き美女の影
抱き寄せてみたは良いものの
お尻の尻尾は隠せない

化かされたならしかたなし
化かされたならしかたなし

今日から俺も大金持ちと
あり金集めて出かけたが
狸にゃ馬は当てられぬ
お札が木の葉に早変わり
これではねぐらに帰れない
飛び乗ったのは狸列車
あっちへ行ったりこっちへ来たり
化かされ狸は帰れない

化かされたならしかたなし
化かされたならしかたなし

そうこう楽しく過ごしてきたが
このごろ君の姿が見えないと
はては遠くあの山の
そのまた先のその先の
極楽とやらに行ったのか
いつか世界がまどろんで
目の下のクマもふくらんで
君との大事な思い出も
全部忘れてしまっても
もう誰も気にしない
世の中すべて化かしあい
世の中すべて化かしあい

化かされたならしかたなし
化かされたならしかたなし


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