5月の終わりは、ジャズ・スタンダード曲から、ジャズ界のメスゴリラ、じゃなくて、『Divine One』(神から授かった声)の異名を持つ、サラ・ヴォーンが歌う『時さえ忘れて』です。
歌詞の中に『貴方が私の手を取ってくれた時、その時はまるで5月のように暖かくて、本当に素晴らしいひとときだった。それがいつ何時だったなんて(あまりに恋に夢中になってたので)どうでもよかった。(それぐらい自分がまだ青かった)』という一節が入っています。アメリカでも5月はとても良い時期なんですね。
でも、曲の終わりは、『でも今はもう、その頃みたいにウブじゃないから、今何時かちゃんと分かってるの(もう浮かれすぎたりしないわ)』というオチがついています。ジャズ・スタンダードになるミュージカルって大抵、恋の始まりや真っ最中のウキウキ感を歌っている単純なものが多いのですが、この曲は恋にちょっと冷めかけた頃の事を歌っていて(タイトル自体が過去形ですし)、どっちかっていうとひねりがきいていて異色な作品ですね。