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宮沢孝幸先生のウイルス学関連の新書2冊

 京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授で、獣医師免許も取得されている宮沢孝幸先生のウイルス学関連の新書を2冊読んだ。

 出所:ソニーReader' Storeの私の本棚


●京大 おどろきのウイルス学講義
PHP新書 2021/4/16 宮沢孝幸

【目次】
第1章 「次」に来る可能性がある、動物界のウイルス
第2章 人はウイルスとともに暮らしている
第3章 そもそも「ウイルス」とは何?
第4章 ウイルスとワクチン
第5章 生物の遺伝子を書き換えてしまう「レトロウイルス」
第6章 ヒトの胎盤はレトロウイルスによって生まれた
第7章 生物の進化に貢献してきたレトロウイルス

【感想メモ】
 以前紹介した『予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える』に比べて、ウイルスやワクチンに関する基本的な知識が習得できる内容になっている。しかも非常に読みやすい。内容も確かに「おどろきの」部分も多い。お勧めできる本だ。

 動物にかかわるウイルスは人に関わるものよりもはるかに多く、変異して人に感染する可能性の高いウイルスもある。新型コロナウイルスについても所々に言及があり、例えば、なぜ手洗いの効果があるのかも書いてある。コロナウイルスは、脂質の膜をもっているタイプなので、石鹸やエタノールの手洗いで膜を壊して不活性化できるからだ。

 その他、新型コロナウイルスは、キクガシラコウモリ由来、旧型SARSコロナウイルスの弱毒型のバリエーション、ウイルス学的には既知のウイルスといえる等の説明が書かれている。さらに、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質のところにフーリン切断箇所があり、生物兵器の可能性を否定する訳ではないが、自然界でも起こり得る現象であるのは確かだとも書いてある。

 沿岸の海水1mlの中に1億個のウイルスがあり、ほとんどが未同定であること、地球上のウイルスの物質量(炭素量)の総量はは人類全体よりも重いなど驚くようなことも書いてある。

 新型コロナのワクチンで使われているmRNAワクチンの仕組みについての説明もあり、画期的な技術だが、あまりにも最先端技術過ぎて、何が起こるかが予測できない面がある。「長期的にはよくわからない」というのが正直なところではないかと書かれている。

 また、ワクチンは、ウイルスの侵入経路のうち、どこを防御するかによって働きが変わってくるが、新型コロナのワクチンは感染防御ではなく発症防御になっていることの説明もある。

 さらに、新型コロナのワクチンで新型コロナを防御できたとしても、従来型の風邪コロナウイルスに感染したときに重篤化するリスクが高まる可能性もあるらしい。

 宿主のDNAを書き換える能力をもつレトロウイルスの話も非常に興味深い。生殖細胞にレトロウイルスが入り込むと遺伝していく。そしてそれが環境変化に適応できるように進化を促した可能性がある。レトロウイルス由来の配列を利用して哺乳類は恐竜絶滅後に急速に多様化したと考えられる、と書かれている。

 なお、レトロウイルス由来の遺伝情報は、ヒトゲノムの9%も占めている。さらに。胎盤の形成にレトロウイルス関係していたことも解説してある。


●ウイルス学者の責任
HP新書 2022/3/25 宮沢孝幸

【目次】
第1章 国の過ち
第2章 ワクチンを打てば解決するのか?
第3章 ウイルスRNA混入事件
第4章 今市事件―獣医学者としての責任
第5章 研究者として大切なこと
第6章 私はなぜウイルス研究者になったのか

【感想メモ】
 筆者は、コロナ禍に際して、ウイルスの本態を見抜くことができ、日本がとるべき対策と将来を見通せたのにもかかわらず、世の中は筆者が描いて方向とはまったく異なる方向に向かい、社会は大混乱に陥った。それでSNSなどを通じて積極的な発信を繰り返したそうだ。

 本書のタイトルとなっているようにウイルス学者としての責任だと信じた故の行動だった。結構たたかれたりしたらしいが。私は、マスコミ(世の中)では変に煽る学者がもてはやれているように感じていたが、本書を読んでその思いをより強くした。

 本書では、コロナ禍とワクチンについて総括しているが、入ってくる情報に対して合理的な判断理由で説明していて納得感が高い。そして筆者は、感染率(基本再生産数)、致死率、無症状の人の多さなどから浴びる(目・鼻・口に付着する)ウイルス量を1/100にすれば対応できると考え、1/100作戦」を提唱した。1/100作戦では手洗い、マスク、換気の3つを実行するだけだ。

 致死率が高くないので、一般の医療機関でインフルエンザと同じような診療をして、重傷者だけを専門病院で治療するというやり方で対応可能だが、そういうやり方はとられなかった。国や自治体のとった対策がどのように不適切(過剰)だっかもよく分かった。

 コロナワクチンについても解説されている。mRNAワクチンは従来のワクチンのようにマクロファージや樹状細胞といった免疫細胞だけがそれらを取り込み、抗体や細胞性免疫が誘導されるのではなく、全身の細胞に入り込み、スパイクタンパク質がつくられる。そのため、過去のワクチン接種とか感染経験があると、ワクチンを取り込んだ細胞が感染細胞と誤認されて攻撃されてしまう可能性がある。

 厚労省のHPで心筋炎や心膜炎のリスクの記述があるように、心臓、神経への影響が懸念される。子供や妊婦への接種は慎重であるべきことも書かれている。

 オミクロン変異体はスパイクタンパク質に変異が32箇所も入っているが、多くの人にワクチン接種をしたために、ウイルス側のスパイクタンパク質の変異が急速に蓄積したと考えられる。

 筆者が以前かかわった事件の話を取り上げているが、世界的な試薬会社、ワクチンメーカー、農水省を敵に回すような内容とか、検察側の鑑定とか裁判の信ぴょう性に疑問を抱かざるを得ない内容が書かれている

 筆者の正義感、学者としての責任感が伝わる話だが、学者としての人生では不利益を被ってきたのだろうなと思った。筆者が未だに准教授なのはそのせいかな?

 最後の2つの章では、筆者の研究感と研究歴について書かれていて、筆者の人となりが分かる。プロジェクト研究の問題点等についても書かれている。


 本の紹介はここまでで終わり。


 私はコロナのワクチン接種は、昨年の夏に消極的な気持ちで2回は受けたが、3回目以降は受けていない。ワクチンの効果とか長期的影響については疑問があったし、3回目の案内が来た頃には4回目接種の話も出ていてエンドレス接種になるのもいやだった。さらにイスラエルで4回目の接種の効果が出てないというニュースなども見ていた。

 今回この2冊を読んで、3回目以降を受けないという判断でよかったのだと改めて思った。もちろん各人が自由に判断すればよい話だ。私が受けるつもりはないと言った後で、妻は3回目を受けている。


 動物にかかわるウイルスの方がはるかに多いため、ウイルスに関しては人間にかかわる医師・学者よりも獣医学関係のウイルス学者の方が基本的に幅広い知識をもっている。先日、産経のニュースでも紹介されていた。



 コロナワクチンの効果については、厚生労働省の集計の仕方が間違っていて、再集計された結果、効果の曖昧さが明らかになった


 この事実は、5月11日に厚労省の専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」に提出された資料で明らかになったらしい。以下は、日経ビジネスのアクセス上位の記事なので、ワクチンの効果の曖昧さが認知されてきたと思う。もしワクチンに効果がなければ「半数世代で未接種上回る」のは普通だ。確率50%なので。ただ、 重症化率とか、少ない超過死亡率との関係等もあるので一筋縄では判断できない



 3回目のワクチン接種をしていたのに、コロナに感染した知人が複数いる(4回接種した岸田首相も感染した)。 幸い重症化はしなかったようだが、このような例はニュースでもよく聞く。紹介した本に書いてあったように、コロナワクチンは感染防御ではなく発症防御になっているので当然かもしれない。一方、基礎疾患がなければ元々重症化しにくいのかもしれない。

 コロナワクチン接種にかかわる後遺症に関する話もある。後遺症と認定されるか、発生率(ごく稀にしか起こらない?)とか正確さは判断できないが、ワクチン後遺症患者に対する臨床経験の詳しい話は以下にある。



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