大学での研究は、修士の場合で高々2~3年です。社会に出てからの20~30年と比べると、単なる学習期間のように思えるかもしれません。
ところがそうではないのです。企業は、即戦力且つ将来その道(とかとかとか)の権威になれる人材を求めています。
ですから、、『マッチング面談』で、
- ロボットの姿勢制御の研究をしてきた学生が、産業用ロボットの姿勢制御をする部署とマッチングをする。
- 画像信号の圧縮伸長の研究をしていた学生が、MPEG2コアと情報家電用マイコンコアを集積した最先端のLSIの設計部署とマッチングをする。
ようなことが沢山起きるのです。進んだ企業では学生の8割近くがマッチングで指定配属になっていると思います。
実は、私自身も、学生のときに『マッチング面談』と『指定配属』をしてもらいました。当時としては相当珍しいことでした。
会社見学をするとき、見学する開発部門をこちらから指定しました。
見学で私に説明をしてくれる人は、一年後に私の上司や先輩になる可能性がありましたので、現在の開発課題や開発方針を聞き、かなり専門的に突っ込んだ議論をしました。それは、その部署の技術レベルを知るためと、自己PRのためでした。
そうなのです。私の場合、『会社見学=マッチング面談本番』だったのです。
お蔭様で見学した全ての会社からラブコールを頂きました。しかも『部署指定』でのオファーでしした。嬉しい悲鳴でしたが、自分が最も活躍できそうな部署に決めさせてもらいました。
選んだ会社の採用試験が終わった日も、挨拶方々、私が選んだ部署を表敬訪問したところ、当時その部署で課題だった『璧開』という技術を教えてくれと頼まれ、社員の方々の前で実演しました。
私としては、筆記試験でMaxwellの方程式を書き損ねるというミスを犯したため、指定配属の駄目押しのつもりでした。そして一年後、ちゃんとその部署に配属になりました。
このように超大手電気メーカを相手にして、自分の方が相手を品定めし、自分の希望通りに就職『部門』を決められたのは、自分の努力もありますが、もっと重要なことがあります。
それは、私の教授の存在です。この教授は半導体レーザや光通信の業界では世界的にかなり著名で、しかも業界事情に詳しく、各社のキーパーソンと親交がありました。その教授からいろいろな内情をを教えてもらえたのです。
この教授は今でも私の『師匠』です。『師匠』を見つけることの重要性は、いずれお話します。