早池峰神社の宵宮(7月31日)には、2~3年おきに出かけている。ダムが出来てから道路事情もよくなり、盛岡市内から1時間半弱で神社に到着する。今年は、東京と神戸からの来客も一緒だった。
今年の見所は、大償神楽の重鎮、佐々木隆さんの三世代競演。20年ほど前に、佐々木隆さんの舞いに初めて接したとき、その華麗さと動きの早さに感激した。素晴らしかった。近年は、宵宮でも権現舞にでてくるほかは、太鼓打ちに専念し、なかなか踊らなかった。今年は、近くの席に座っていた地元のお客さんから「競演するらしい」という話を聞き、心が躍った。
何を舞うのか楽しみに待ち、競演は「鳥舞」と「権現舞」。なんといっても驚いたのが佐々木隆さんの十八番ともいうべき「山の神」を本人が独演したのである。舞の決め所でひときわ大きな拍車があり、声もかかる。そして流れるような舞に場内は息を呑んで見つめる。静けさと拍手が交差した。
帰りの車の中で、どのように伝承されるか、話がでた。プロではない、勿論である。しかし、心持はプロの高さと違いがあるわけではない。生活を得るためではなく、暮らしの必需品として芸能がいきづく。賢治の農民芸術概論を思い出した。
さて、今日から4日までは盛岡さんさ踊りが始まる。盛岡の暮らしから生まれた芸能が今の都市生活の中に定着した。これもひとつの形。
今年の盛岡さんさ参加者は延べ33,000人。史上最高だ。