月岡芳年が女性のしぐさを「~したい」と描いた美人画
見立多以尽(みたてたいづくし)より
『おしゃくがしたい』
国立国会図書館デジタルコレクション
大蘇芳年筆
詞書
割煮(かつぱう)の善悪を論ぜず 酒の多きを喜び
容貌の美醜によらず酌は髻(たぼ)に限るというは 下等の藤八社会。
料理も美がよし 酌もまた 絶世の別品に期すとは 中等の髭連中。
偖(さて)また下物(さかな)も口取の 滋味(こつてり)とした甘味を略(はぶ)き
適宜(くはれな)筋の鮮魚にとり添へ 美醜によらず清潔(こきれい)で。
調子のよいのが銚子の加減の 良(よい)に増(まさ)ると極好事(ごくしぶ)く
穿(あなぐ)る客は上等の粋(すい)といふ字が推(すい)とも通ひ
色をも香(か)をも知る人には
偶然(つい)手折(ておら)るゝ花もありなん
南茅場町 轉々堂主人禄