月の照る夜に

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喪服のランデヴー~思い入れ

2006-05-31 20:00:00 | nao過去ドラマ・映画

ストーリーが最後まで書いてありますので、その点ご了承の上お読みください。


♪ひちりきの音色と、もの哀しくも美しい旋律の東儀さんの音楽で始まる
(夢の跡~こちらで試聴も♪)



あのガス灯がすごく印象的で、
あの駅前が変わってしまう前に一度行きたかったな~(ガス灯はないけど)

その街では、毎日日没きっかりにガス灯に灯りがともる。
2人は毎晩8時にガス灯の下で待ち合わせ、逢っていた。
雨の降る日も、雪の降る日も、月の照る夜も照らぬ夜も、
2人はただ逢っているだけで満足だった。
多くのものは望まなかった。できるだけ長い時間を2人で過ごしたい、
それが2人の夢だった。だから結婚を約束した。
8時に逢って12時にサヨナラをいう毎晩のデートも、
あと少しで終わることになっていた。
6月になれば、2人は結婚式をあげることになっていた。
6月の花嫁が誕生しようとしていた。
だが・・・この2人に6月はめぐってこなかった・・・



手を繋いで歩く姿が微笑ましくて・・・。
悟史は、恥ずかしそうに笑う青年だったけれど、
彼女の死を受け入れられないその表情はうつろ。笑顔との違いにドキッとします。



4人の人間によって、恋人を殺され、埋められた悟史。
その犯人への復讐が始まる。
犯人の大切な人に密かに近づいて、信用を得てから殺していく、
恋人の命日に一人ずつ・・・

原作では、彼がどうやって犯人たちにたどり着くかは書かれていたけれど、
ドラマではその部分は描かれず・・・。
悟史は、様々な人物になりすまし、犯人たちの一番大切な人に近づく・・。
これだけの表情を見せてくれる・・・ホスト姿は、ステキだわ~




毎回、エンディングは悟史が歩く姿で終わる(3話は、バイクで走る)
これがとても印象的でした。2話では、夜のガス灯の下にたたずむ彼の姿も。
待てどこない人を待っているのか・・・。



彼の復讐には共感はできない。
彼を愛した千夏を、彼を信頼していた盲目の娘・ひなこの命を奪い・・・。
彼女たちは最後の最後まで、何故自分が殺されなければならなかったのかわからなかったのだから・・・。
でも、その姿には、どうしようもない哀しみがあり、見ていて、胸がキリキリ痛む。

彼を追う大柴刑事は彼に問う
君は3人の女性を殺した。何の罪もない人間を殺した。
彼女たちは君に殺される瞬間、どういう顔をしていた?
どうして自分が殺されなければならないのか、わからなかったはずだ。
君の恋人がそうだったように・・。
全てをやり遂げたら、君はどうするつもりだ、死ぬつもりか?
飯田聖美さんがいる場所へ去っていくつもりか、
そんな人間ばっかじゃないか。
罪を犯した人間は一生逃げ続けるか、死んで責任を取るかどちらかだ
償うことをどうしてしない。俺、そんな人間ばっかの世の中が大嫌いなんだ。
だから、必ず生きている君に手錠をかける。君を絶対死なせはしない。
答えてくれないか、憎しみだけで生きていけるのか、
そんな毎日、どうやって耐えてるんだ


悟史の答えが哀しい・・・。




このシーンがとても悲しく、切なかった。
憎しみだけを胸に、自分でも生きているのか死んでいるのかわからない毎日を過ごしていても、生きていくためには食事をし、そこには日常がある・・。
その日常が淡々と描かれているだけに哀しい。




待つ姿~このまま拾って帰りたい(笑)
回想シーンで、悟史に駆け寄る聖美の笑顔に涙が出そうになる・・・。




最後の標的、由海・・・聖美に似た娘。
最初は、近づくためだった・・・でも、いつか愛し始めていた? 彼の中での混乱・・。
彼女の心もまた揺れ動く・・・

「もし私を殺すことで母の罪が償えるなら、
もし私を殺すことで、あなたの哀しみが癒されるなら・・・殺して!」
「他の誰でもなく、私のことだけ愛してるなら、どこかに連れて行って。
愛してないなら、今すぐ殺して」


彼の答えは抱擁だった。でも由海と結ばれても、悟史の心の中には死んだ恋人が生きている。
彼の心を手に入れること、それが彼を救うことにもなる。
由海は決意を持って警察を訪れる。
大柴刑事は悟史のことを理解しようとしているからこそ、生きて罪を償ってほしいと願う。

この海辺のシーンの色合いが好き。少し乾いたような質感が・・・。
美しいけれど、とても哀しいラブシーン。




ここの表情や目の変化がとても好きです!
こういう微妙で細やかな演技をする人なんだな~と改めて思うし・・・。

雨の中、亡き恋人聖美(由海が扮している)をいつもの待ち合わせの場所に見つける悟史。
「待っててくれたんだね、聖美・・・。寂しかったろ、1人にしちまってゴメンな」
喜びの表情から、聖美でないことに気づき、混乱・・・「違う・・・聖美じゃない・・・」

が、その姿の中に由海の姿を認める悟史~ 「ゆみ?・・・」

このとき、表情の変化だけでなく、目の色まで変わって見える・・・
2人の心が、真に通い合った瞬間、銃声が・・・。
娘・由海を守ろうとした母が銃弾を撃ち続ける。



キッチリ「さようなら」と言って息絶えるけれど・・・
その手に握られていたのは、ナイフではなく由海の写真。
止まっていた悟史の時計が動き始めたのは、直くんのアイディアだとか・・・。
失った愛を見つけた悟史は幸せの中、死んでいったのだろうか。
彼の罪への償いは・・・
聖美がかわいそうな気もするけれど・・・。
残された由海には厳しい現実が・・

(大柴のモノローグ)
彼らの長い闘いが終わった。
だけど、人間にとっては、汚れずに生きていくことが、
そもそもの闘いなのだ。
数年後、私はこの同じ場所で目にすることになった、
生活という手ごわい相手と闘い続けている人間の姿を・・・


ガス灯の下に一人たたずむ由海
ママ~と駆け寄る小さな男の子。「やっぱりここだったんだ」
「だって、今日は、パパの命日だもの。
パパとママが1年に1度デートする日」
「七夕さまと一緒だね」
「そうだね」  幼い子と手を繋ぎ歩き出す由海。

・・・雨の降る日も、雪の降る日も、月の照る夜も、照らぬ夜も・・・
その街のガス灯は、闘いに疲れた人々を優しく見守っているという・・・


原作・コーネル・ウールリッチ
脚本・野沢尚
音楽・東儀秀樹
監督・渡邊孝好

全編ロケ映像で、スタッフも映画畑の人が多かったというドラマ。

役者さんたちも素敵な方ばかりでした。
敵役の吉田日出子さん、寺田農さん、岸部一徳さん、塩見三省さんは皆さん味のある深い演技をする方々だし、役柄もそれぞれにドラマがあり・・。
聖美と由海の2役を演じた麻生久美子さんの、聖美の笑顔はそれを見るだけで泣けてきて、由海は美しくも切ない。
更に印象深いのは、大柴役の吉岡秀隆さんのナレーション。最初と最後を締め、泣かせます。大柴と悟史、ある種光と影的な対比が、よりドラマに深みを与えているかと・・・。根本は繋がっている部分があるのか、だからこそ、大柴は悟史を理解しようとし、救おうとしていたのかもしれない。

番組HP 2000年放送当時(こちら) 2002年再放送時(こちら)

ナビ(こちら)  火曜日の男

私のこのドラマとの出会い(こちら) ロケ地巡りこちら)

このドラマに関する記事は少ないけれど、
こんなのありました(笑) キリヌキ写真だけれど、制作発表の時の写真も~。
最終回エピ(こちら)
クライマックスシーンには雨が重要だったので、過去の統計から雨が降りやすい日を選んでロケしたとか、リハーサルの時は、周りに人垣ができて、集中しようにも、黄色い声援で戸惑ったとか(笑)

カト○ーヌさんには「置き去りにされたその子犬のような瞳でひたすら待たれてみたい!」と描かれてるし~(こちら

監督の渡邊さんは「彼との仕事はすごく楽しかった。とても気に入っているので、また仕事をしたい。面白い役者だから、今度は壊してやる」なんて仰ってましたが・・(笑)
ほんと、いつかまたお願いしたいものです。

ドラマの撮影時のエピソードが、佐野のフリーペーパーに載っていました。休憩場所を提供してくれたあのお店~(こちら   
本当にお世話になって、その後も交流が続いてるんですものね。

ビデオからDVDにダビはしたけれど、元のビデオが繰り返し見すぎて劣化してるからな~。再度の再放送、してくれないかしら。DVD(ビデオ)化されないんなら、せめてそれくらい・・・。

このページは直リンや2次配布はお止めくださいね。






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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
モフランの再放送、DVD化 (kan_mikami)
2012-01-18 09:49:39
音楽のよさ、
http://www.youtube.com/watch?v=7plNiPog_vA
脚本のよさ、
敵役のよさ、
吉岡のよさ、
全てのよさが凝縮された作品。
これをこの世から抹殺してしまったNHKの罪は重い、日本の文化の発展の支障になっている暴挙だと思う。再放送、DVD化是非!
もう一度見たい、もう一度見たい!!
返信する
kan_mikamiさん (shin)
2012-01-20 14:05:44
全てにおいて、素晴らしい作品だと思います。
ストーリーも映像も役者さんたちも音楽も。
ひちりきの音色が聞えてくるだけで、泣けてきます。
DVD化はなにやら権利関係の問題とかで難しいようですが、
再放送ならできるのじゃないかな~と思い、
時々NHKに要望を送っています。
予定はありませんの返答ばかりですが、
今できることはそれくらいなので。
ぜひ、再放送してほしいです。
返信する
ワタシも好きです! (kabo)
2012-10-27 21:32:45
はじめまして!
ワタシも「喪服のランデブー」好きなのです。
ネットでもう一度観られないかな~と検索していたら、ここにたどり着きました!
すごく詳しくあらすじが書かれているので、当時、夢中になって毎週楽しみに見ていたのを思い出しました。
DVD化されていたら、何度も細かい演出とかセリフとか見られるのに残念です。脚本、構成、演出、音楽、観る者をひき付けますよね!ワタシも、ぜひ、もう一度観たい!
韓国ドラマをネットで見ている事が多くて、ブログでもそれ中心に書いています。「喪服のランデブー」について触れている記事もあるので、良かったら読んでみてください。
突然の長文、お許しくださいませ。
返信する
kaboさん (shin)
2012-10-30 14:59:46
コメントありがとうございます!
いいドラマですよね。
私は、藤木さんのファンなので、あらすじなども悟史中心になっていますが、
脚本、演出、音楽、役者、すべてがいいドラマでした。
NHKさんにはお願いメールしてるんですけどね。DVD化が無理なら、せめて再放送を。
一度再放送したんだから、またできるんじゃないかと思うんですが。
はい、私も後ほど読ませていただきます。
返信する
初めまして。 (ゆりえ)
2012-11-23 00:15:36
子供のときに見たドラマのワンシーンとそのとき流れていた物悲しい音楽が忘れられず、ふと探してみたら、こちらのブログにたどり着きました。

詳しくドラマを書かれていて、探していたものがこれだ!と思い、感謝してます。

わたしも、最後のワンシーンしか見れず、でもそれが今でも残っているので、それほど魅力的なドラマだったと思います。

今度はぜひ再放送から見たいです 笑

失礼しますm(_ _)m
返信する
ゆりえさん (shin)
2012-11-25 12:11:03
初めまして、コメントありがとうございます!

本当に、心惹かれるいいドラマです。
私は藤木さんのファンなので、ドラマも悟史中心に書いていますが、このドラマは、他のキャストも皆ステキで・・。音楽も映像も全て、大好きです。
一度再放送されているので、できないことはないと思うのですが・・NHKにお願いするしかないですね。
ぜひ、再放送してほしいです!
返信する
Unknown (通りすがり)
2019-07-25 18:56:57
このドラマ、ホントに好きだったなあ。
いまだに心にズシンとくる。
確か本放送日はフジで『ナースのお仕事』も放送されていて、私にとっては藤木直人dayだった(笑
同日にまったく正反対のキャラを演じる藤木さんを観て、俳優ってすごいなあ…と、しみじみ感じ入ったあの頃でした。
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