goo blog サービス終了のお知らせ 

桃太の一写一句

駄句が一枚の写真で様になるか!?

内宮参道

2009年10月27日 | 

「玉砂利を踏みしめ歩む秋日和」

 

神社に行くと必ず参道に玉砂利が敷き詰められている。この玉砂利は革靴をすぐに傷めてしまう。特に女性の場合のハイヒールなどは危ない。我々は準備万端。車での旅ということもあるが、妻と娘はしっかりと履き替え用の靴を持ってきていた。

年間700万人を越える参拝者が訪れる伊勢神宮。参道の玉砂利は一年もすれば埋もれてしまうそうである。その玉砂利を34年間も、毎年ボランティアで納め続けている奇特な人がいる。砂利を採取する会社を経営していた鈴鹿に住む方が、なんと昭和51年から毎年年間トラック20台分もの玉砂利を献納しているとのこと。内宮の参道は約400m。敷き詰めて砂利の厚さは2センチ。この厚みがザクザクという音がしてちょうどいい厚みとのことだ。

伝統を守るのは大変である。河川法の規制もあり川からの採取が出来なくなっていると聞く。果たして玉砂利の確保の問題は、今後どうなっていくのだろうか。(09-10-23)


五十鈴川

2009年10月27日 | 

「秋澄むや清めの水の美しき」

 

俗界と聖界との掛け橋といわれている宇治橋を渡り参道をしばらく進むと、内宮の広大な敷地を流れる五十鈴川に作られている「御手洗場(みたらしば)」が右手方向に現れる。大きな切石で造られた石段を降りて河畔に立つと、澄んだ川の流れに心が洗われる思いを抱く。

川の岸辺にうずくまり、川水に手を差し入れて洗う。かっては手洗いだけではなく、口濯ぎまで行なわれたそうであるが、現在は禁止されているとのこと。

それにしても、五十鈴川の美しきこと・・・。この川は平安時代から多くの歌人によって詠われている。そんな中から、後醍醐天皇の歌を紹介しておく。「照らし見よ御裳濯川(みもすそがわ)に澄む月もにごらぬ波の底の心を」(09-10-23)


宇治橋

2009年10月27日 | 

「秋晴れや宇治橋渡る人の波」

 

江戸時代の庶民にとっては一生に一度の伊勢参拝が夢だったとか。ちょうど、「一度はハワイへ」のスローガンに始まる、戦後高度成長期の海外旅行ブームのようなものとでも言ったらよいだろうか。仲間と費用を積み立てる伊勢講が広まり、集団参拝の「おかげ参り」の大ブームが起こる。

江戸からは東海道五十三次を西へ向かい、四十三番目の宿場町である四日市日永から伊勢参宮街道に分岐する。そこからは伊勢湾沿いに白子・鈴鹿・津・松阪を経て、ようやく伊勢に到着。復路まで考えると、気が遠くなる行程である。我々は金沢から車で北陸道を進み、米原から名神・東名阪と乗り継いで伊勢道を南下。途中の休憩を含めて約5時間のドライブ。あっという間に伊勢に到着した。

宇治橋は2013年の式年遷宮を前にして建替え工事が終了し、11月3日に行われる宇治橋渡始祭を待つばかり。数日の差で新しい宇治橋を渡ることが出来ずに、横に設置されている「仮橋」を通って、日本人の心の古里である神域に足を踏み入れた。(09-10-23)


武蔵ケ辻

2009年10月15日 | 

「人生には汚点もあらん秋の空」

 

今朝の金沢は雲1つない真っ青な青空が広がった。通勤路の武蔵ケ辻の信号で止まると、交差点にそびえ立つデパートとマンションのビルの姿が、気のせいかいつもとは違って見える。澄み切った空の青さは、街の景色まで変えてしまう。

ところで、気象条件は街の景色どころか、その土地の風土まで定めてしまう力を持っているようだ。気候温暖な太平洋側や南の地方と日本海側や北国とは、そこに住む人間の個性にも明らかな差を与えている。

金沢に暮らして5年目。根がのんびり屋のせいか、冬の陰鬱さにも気が滅入ることなく、古都の四季折々の風情を楽しんでいる。北陸の秋は短く、11月に入ると天候は移り変わりの激しい冬に一気に突き進んでいく。つかの間の青空を仰ぎ見ていると、仕事や人生の煩わしさに、くよくよしても始まらないぞ、という気分になってきた。(09-10-15)


福井市片町 「三婆場」

2009年10月13日 | 

「秋鯖や〆と炙りの競ひをり」

 

福井市の片町に「三婆場」という割烹がある。ご婦人3人でお店をやっているところから「三婆場」などと謙遜した名前をつけているが、ご3人、お年こそ若くはないがなかなかの美人揃いである。家庭料理っぽいメニューが中心ではあるが、といって普通の家庭ではなかなか出来ないプロの技が加えられており、その旨さと居心地の良さが口コミで人気を呼んでいる。

裏メニューの1つに鯖の炙りがある。鯖の新鮮さが必要なため、予約の時に注文しておく必要がある。鯖がこんなに旨かったのかと、目から鱗の感激ものである。三婆々に行ったらまずは炙り鯖であるが、最近しめ鯖も絶妙なことを知った。どちらが良いか甲乙つけがたい味わいであり、是非、両方を食べ比べすることを勧める。

ところで鯖は夏の魚だが、秋になると脂がのって更に旨くなる。まさに今が食べ頃である。温め酒にも合いますぞ。(09-10-2)

 


ソーキそば

2009年10月01日 | 

「秋初め島は食い気でめんそーれ」

 

所用で沖縄まで1泊2日の日程で出かけてきた。北陸の朝夕はすっかり秋らしくなってきたが、那覇に到着すると、観光客こそ少なくなってはいるが、気候はいまだ夏真っ盛りといった状況だった。今年の9月の沖縄の最高気温は連日30度以上となり、9月としては記録的な暑さとのこと。

ところで沖縄の食といえば、まずは「沖縄そば」となるだろう。「そば」とはいっても蕎麦粉ではなく小麦粉100%の麺でかん水を用いるため、製法的には中華麺に分類されている。和風の出汁を使い食感はラーメンというよりうどんに近い。具はいろいろあるが、骨付きのあばら肉(ソーキ)がのった物を「ソーキそば」といい、個人的にはこの「ソーキそば」が好みである。という訳で、昼飯は2日とも「ソーキそば」である。初日は恩納村にある「恩納そば」、翌日は万座の「なかむらそば」。どちらもあっさり味のスープで、「なかむら」の方がよりあっさりとしている。このあっさり味のスープに豚のあばら肉がよく合う。沖縄そばランキングでお店の情報を調べてみたら、「恩納そば」は人気ランキング50位、「なかむら」は22位(調査対象店128店)だった。この2つの店がベストではないかと思っていたが、沖縄そば、なかなか奥が深いものである。

「なかむらそば」は目の前に国定公園の海が広がっている絶好のロケーションにある。30度をこえる暑さとはいっても、青い空と白砂のビーチには何となく秋の気配が漂っていた。(09-9-28)


金沢港

2009年09月14日 | 

「秋澄むや世界一周夢の旅」

 

朝の通勤時、いつものように駅西の50m道路を金沢港に向かって進んでいると、正面に異様な大型のビルがそびえているではないか。

世界最大級の豪華客船の「飛鳥Ⅱ」が10日、金沢港に寄港。乗船客は青森港からの700人で、この日は夕方までの時間、1日金沢観光というスケジュールとのこと。一般公開された戸水埠頭には、大型豪華客船を一目見ようとするマニアや家族連れが集まってきていた。

稀に見る不景気といわれているこの時代も、飛鳥の人気は衰えることなく、世界一周の超豪華企画などもあっという間に予約が埋まってしまうと聞く。日本人のレジャーの在り方も変わってきたのか、リタイア族がお金持ちのせいか、ともかくも羨ましい限り。ただ、一度名古屋港から東京湾までの1泊クルーズを仕事で体験させていただいたが、生憎の低気圧到来で、とても優雅な旅ではなかったことを記しておく。(09-9-10)


京都 松下美術苑「真々庵」

2008年11月25日 | 

「侘助ににわか茶人を見破られ」

 

パナソニックグループの迎賓館となっている松下美術苑「真々庵」を訪問した。

真々庵は日本有数の庭師である7代目小川冶兵衛により1909年に造園された。それを1961年に松下幸之助が一時中断していたPHP研究活動を再開するために購入し、庭師の川崎幸次郎に大改造を依頼。型破れの杉の木立を配置するなどして現在に至っている。

庭も素晴らしいが、苑長を勤める樋野氏の朗々とした説明も見事。庭を一通り案内してもらった後は、茶席に通されてお茶を一服いただいた。庭から採集したと説明のあった一輪刺しの白侘助が、にわか茶人の危なっかしい作法をジロッと眺めていた。(08-11-20)


京都「南禅寺」

2008年11月25日 | 

「秋晴れに絶景かなと南禅寺」

 

 見事な秋晴れの中、京都の南禅寺を訪れた。禅宗の臨済宗南禅寺派の大本山。さすが京都の寺はスケールが違う。創建当時の伽藍は3回の火災に会い、現在のものは桃山時代以降の再興だとか。

法堂の前方に堂々と聳えるのが三門。江戸時代建築の重要文化財建造物。藤堂高虎が大阪夏の陣で戦死した臣下の菩提を弔うために寄進建立したものである。

歌舞伎の「楼門五三桐」で、石川五右衛門が「絶景かな」と見得を切る。当時ほど見晴らしはきかぬが、東山から臨む京の町は「今も絶景かな」であった。(08-11-20)


京都「俵屋」 翌朝

2008年11月24日 | 

「秋色の日々刻々と深まりぬ」

 

 前回は2階の部屋だったので、今回は1階を希望。「泉の間」という部屋をあてがわれた。俵屋では各部屋が独立しているかのような巧妙な設計になっており、泉の間も玄関の直ぐ横とは思えぬ静かさであった。

この部屋の特徴は、和風モダンな土間が設けられていること。一見ミスマッチかなと思うがそこは俵屋。床暖房付きの土間は冷たさを感ぜず、大きなガラス戸を通じて坪庭との広がりを見事に演出している。

二度目の宿泊も期待を裏切らず、部屋・食事・応対等々、すべてに満足のゆくものであった。(08-11-10)