桃太の一写一句

駄句が一枚の写真で様になるか!?

金沢市 近江町市場

2010年07月26日 | 

「蓬莱か新甫か迷ふ土用丑」

 

土用とは暦における雑節の一つで、春夏秋冬の各季節の終わりの約18日間のことをいうが、一般的には夏の土用を指すことが多い。今年の土用の入りは7月20日、ここから8月7日の立秋までが土用ということになる。この土用の間で十二支が丑の日が「土用の丑の日」ということだ。ということは、土用の間に丑の日が2回やってくる場合がある。今年は7月26日の一回だけであるが、来年は2回となる。

まあ、そんなことはどうでよく、この時期には鰻が食べたくなるものである。近江町市場にも土用の入り前から大きな看板が掲げられた。金沢の街中には不思議と鰻屋はないが、蒲焼を買って家で食べることは皆さん好みのようで、魚屋に並んでいる蒲焼は次から次へと売れていく。

鰻をたべるのならば、やはり名古屋がいい。ただ、土日祝日については人気の鰻屋は一年中混んでいるので、時間を外すか、我慢して長い列に並ぶか迷うところだ。特に夏については、日傘・団扇などの道具の準備が欠かせない。お店の好みは人によって違う。私の場合は、個人的には「まるや」か「新甫」のうな丼がいい。掲句は老舗に敬意を表して「蓬莱」と「新甫」にした。名古屋を知らない人には訳のわからない句で失礼しました。(10-7-26)


兼六園 辰巳用水

2010年07月21日 | 

「夕涼や遺構を流る水速し」

 

かっては多くの名園で自然の流水が使われていたが、栗林公園や後楽園など、現在ではほとんどの公園でポンプによる揚水が行われている。そのような状況を考えると、今なお自然の流れで水を引いている兼六園は、それこそ世界遺産レベルの価値があると言ってもよいのではなかろうか。

この辰巳用水は犀川の水を引いており、三代目加賀藩主前田利常の命により、今から360年以上前に造られたものである。取水口から約10キロ、そのうち4キロほどはトンネル構造になっている。兼六園までは水源との勾配差を使って流れ、兼六園からさらに高台の金沢城へは逆サイフォンの原理を使って水を引き入れている。大した機械もない時代に、わずか1年足らずの短期間で工事が完成したというから驚きである。

辰巳用水は今も現役で生き続けている。その水の流れは予想以上に速く、水量もある。この文化遺産、大事にしたいものである。(10-7-19)


金沢公園 三の丸広場

2010年07月21日 | 

「梅雨明けの朝日に映える城址かな」

 

日本全国、梅雨明けから一気に真夏日のギラギラした好天気が続いている。久々の連休の朝、金沢城から兼六園を一回りする散歩コースに出かけた。朝から目の覚めるような青空が広がり、木々の緑の鮮やかなこと。大げさに言えば、地球は、自然は、こんなにも素晴らしいものだったのかと、改めて認識を新たにした。

写真は、三の丸広場から菱櫓・五十軒長屋・橋爪門続櫓を望んだもの。平成13年に約3年半をかけて復元が完成した三つの建物は、述べ床面積1894㎡もあり、明治以降に立てられた木造の城郭建築物としては全国最大規模だという。

金沢城公園の中では、今春に河北門の復元も完成したが、この広々とした三の丸広場一帯のスケール感ある景色が一番気に入っている。ゴテゴテとしたところもなく、観光客目当ての賑やかしとは一線を画した凛とした雰囲気が、加賀藩の心意気のようなものを示しているではないか。(10-7-19)


奈良市「玄」

2010年07月10日 | 

「もり蕎麦もたちまちゆるむ小暑かな」

 

そばは厳密にいえば、晩秋から初冬にかけての食べ物である。新そばが出回る時期からいっても当然なのであるが、考えてみると食品としてのそばには季節性はあまりない。食欲がなくなる夏には「ざる」を啜りたくなるし、寒い冬は「かけ」に限る。しかし、夏のそばは諺にも「犬も食わぬ」とあるように、やはり旨くはない。そば粉はつながりにくいし、そば粉独特の淡い薄緑色は消えて香りも弱くなってくる。そうと分かってはいても、そば好きは夏でもついと蕎麦屋の暖簾をくぐってしまう。

久々の出張で奈良市へ、当然、昼は名店「玄」を予約した。ここは電話で予約をすると、何にするかと聞かれる。たくさん種類があるわけでもないのに、店に行ってからではまずいのかと思うが、これがスタイルらしい。まあ、文句を言うのは止めて、「もり」と「そばがき」を頼んでおいた。

梅雨も一休みで奈良町界隈は30度をこす暑さ。最初の「もり」の時はまだ良かったが、温かい「そばがき」を食べるともう我慢の限界だ。汗が吹き出で来る。古い町屋を使う「玄」はエアコンが効かない。そばも気のせいか弛みがちだ。「夏はもう来ないぞ」と、そば湯も飲まずに早々と店を飛び出したが、確か昨年の夏もそう言っていたことを思い出した。(10-7-8)


龍馬像

2010年07月10日 | 

「桂浜緑雨にかすむ龍馬像」

 

毎年の恒例となった7月初旬の高知旅行。NHK大河ドラマの「龍馬伝」に触発されて、今回は桂浜の龍馬像を見にいこうとなった。桂浜に着くと、生憎土砂降りの雨だ、「車軸を流す」という表現があるが、高知の雨はまさにその言葉が当てはまる。気のせいか、雨の粒も大粒のように思える。これでは、びしょ濡れになってしまう。我々一行は、駐車場から僅かに見ることができる龍馬像を車中から眺めて、そうそうと引き返すことになった。

ところで、この龍馬像。昭和3年に高知県の青年有志の募金によって建立されたものとのことだ。和服姿に懐手、ブーツ姿の龍馬は、はるか太平洋の彼方を見つめて設置されている。

さて、いよいよ参議院選挙の投票日がやってくる。確か、「龍馬になりたい・・・」と言った政治家がいたが、本物の龍馬は何時になったら現れるのだろうか。(10-7-3)