写真は、ボキ大好きな「はつ」の塩焼きです。はつ、好きなんです。
毎年、夏になって、スイカをみるとボキは3年前に逝った親父をおもいだす。
親父はスイカが大好きで、大きいスイカを半分に切って、それをスプーンで
くりぬいて食べる食べ方が好きだったようだ。
時には、おふくろが黙ってみていると、家族の分とかは、一切考えず、
ひとりで半分食っちまうという荒技をやってのける男。
まさかのスイカフリークだった。
ボキが小学生のころ、夏休み・・・・
ある夜中にトイレにいくと、台所から
「しゃかしゃか~~」音がする。
「????なんだ」
「やべ~泥棒か?」
そ~~~っと台所をのぞくと、人影だ。
やっぱり!
暗闇の中で
口の周りを真っ赤にしているスイカ親父が立っていた。
中途半端に開いた冷蔵庫からは、かすかに庫内灯の光がもれて、
闇夜に親父を下から照らしているから、まさに不気味、妖怪のようだった。
ボキ「何、やっているの~」
と台所の電気をつけるボキ。
親父「スイカ、食っているんだよ~お前も食うなら、いいぞ。食ったら、しまっとけよ」
親父は、スイカにスプーンをおっ立てたまま、放置して、口をふいて寝室に戻っていった。
呆然・・・・・・・・
たしか・・・・去年も夏の夜になると、台所から「しゃかしゃか・・・・」
音が聞こえてたな・・・・・
(親父だったのか~~)
翌日、親父は朝から、腹を壊したのか?
トイレを往復していた。
(どうしたんだ?)
その時だった。
台所からおふくろの声だ。
母「え~~~~昨日、半分とっておいたスイカがまるごと、ないわよ~
お前たち、夜中に何をやっているの?」
と僕ら馬鹿兄弟が怒鳴られた。
トイレからでてきた親父にもおふくろは、イライラ口調で言う。
母「おとーさん、ちょっとこの子たち、怒ってやって。夜中に全部、スイカ
たべちゃったのよ~今日、親戚が来るからみんなで、食べようと思ったのに」
親父、一言。
「うるせー。俺だよ。食ったのは。あと、テツロー(ボキの名前)も食った」
さすがにスイカフリークは堂々としていた。
母「おとーさん、スイカ半分もたべちゃったの?」
父「いや、テツローも食べた」
母「テツローは、食べないわよ、あんた、一人で食ったな~」
父「なんで、あいつは食わないんだよ~」
その時、ボキは言った。
(スイカフリークに向かって、まさかの発言をしてしまった)
ボキ「あの~ボキは、スイカ、好きじゃないから、食えないんだ~」
親父は激怒。
父「バカヤロースイカが食えないって、なんだ~バカヤロー」
(あの~お父様、好き嫌いは個人的なものなので、そこまで怒らなくても)
父「よし、今日はスイカ、買ってくるぞ」とか言って、
親父は、ボキにスイカ特訓させそうな勢いで車に乗り込んで、どこかに行ってしまった。
(やべ~~~このままでは、スイカ食わされる~~~)
ボキは逃げた。スイカと親父から
なぜ?
スイカ嫌いになったかって???
その前年、カブトムシの虫かごにいれてあって放置され、やや腐ったスイカを食べてしまったんだ。
不覚だった。
それで食中毒になって2日間寝込んで以来、スイカが食べれなくなっていたのだ。
最近になって、やっとスイカが食えるようになった。実に30年かかかったよ。
夏になって、スイカをみると、スイカ妖怪の親父を思い出す。
今でもきっと天国でスイカをスプーンでしゃかしゃか、やっていることだろう。
またね!