思想家として精力的に評論活動を続ける傍ら、神戸市東灘区に昨年11月、自宅兼合気道の道場「凱風館」を新築し指導している。
75畳もある一階のスペースで、門弟ら約150人が汗を流す。
念願の道場を「武道と教育研究の拠点にしたい」と考えている。
小さい時から体育の成績は悪かった。
武道に憧れ、剣道や空手、少林寺拳法をかじったが長続きしなかった。
大学卒業後に進路を決めあぐねていた75年、東京・自由が丘の古びた合気道の道場をふと覗いた。
「中に入ってご覧下さい」と声をかけられた。
合気道創設者の教えを直接受けた多田宏師範(82)だった。
古武士のようなたたずまいに引かれて入門。
「何事も許して熱心に教え続けるてほどき」に心酔した。
都立大助手時代は「稽古の合間に授業をしていた」ほど。
90年に神戸女学院大教授になるや大学に掛け合い、翌春、愛好会を設立し初心者約50人と稽古を重ねた。
見えてきたことがあった。
合気道の極意は相手に勝つことではなく、敵を作らないこと。
会得するには一人一人が心身の動きを探求し、それを粘り強く支援するしかない。
「学校体育にはマッチしなかった、小さい、細いどんくさい子がめきめきと変わる」
だから教育現場への競争原理導入には真っ向から異を唱える。
「才能がいつ開花するかなんて分からない。それを楽しみにいつまでも待ち続けている」
七段の道場主の信念だ。
東京都出身
内田樹(61)さん
75畳もある一階のスペースで、門弟ら約150人が汗を流す。
念願の道場を「武道と教育研究の拠点にしたい」と考えている。
小さい時から体育の成績は悪かった。
武道に憧れ、剣道や空手、少林寺拳法をかじったが長続きしなかった。
大学卒業後に進路を決めあぐねていた75年、東京・自由が丘の古びた合気道の道場をふと覗いた。
「中に入ってご覧下さい」と声をかけられた。
合気道創設者の教えを直接受けた多田宏師範(82)だった。
古武士のようなたたずまいに引かれて入門。
「何事も許して熱心に教え続けるてほどき」に心酔した。
都立大助手時代は「稽古の合間に授業をしていた」ほど。
90年に神戸女学院大教授になるや大学に掛け合い、翌春、愛好会を設立し初心者約50人と稽古を重ねた。
見えてきたことがあった。
合気道の極意は相手に勝つことではなく、敵を作らないこと。
会得するには一人一人が心身の動きを探求し、それを粘り強く支援するしかない。
「学校体育にはマッチしなかった、小さい、細いどんくさい子がめきめきと変わる」
だから教育現場への競争原理導入には真っ向から異を唱える。
「才能がいつ開花するかなんて分からない。それを楽しみにいつまでも待ち続けている」
七段の道場主の信念だ。
東京都出身
内田樹(61)さん