コジタン-故事譚-

役に立つ故事や春秋戦国、三国志アーンド日常生活についてあつーく語るブログ

羊斟の恨み

2005年01月08日 | 故事
春秋時代のはなし。
あるとき鄭国は、隣国の宋国に戦争を仕掛けました。
宋の元帥は華元という人物でした。

戦争の前に、兵の士気を高めるために、羊の肉のスープを作らせ、兵士たちににふるまいました。
大将からご馳走を受けた兵たちの士気はまたたくまに高まりました。

しかし、戦争開始直前に華元の馭者(戦車を動かす者)が言いました。
「みなは羊のスープを食べていたのに、どうしてわたしだけ頂けないのでしょうか。」

華元はうっかりして自分の馭者に食べさせるのを忘れてしまったのです。
しかし、もうスープはまったく残っていません。
それでも馭者はあーだこーだ文句をいっています。
華元はとうとう頭にきて
「うだうだいうんじゃない、戦争が終わったらいくらでも食わせてやる!」
と怒鳴りました。

そして戦いが始まりました。
すると、華元の戦車は先陣を追い越し、ただ一車敵陣に突っ込んでいってしまったのです。
味方も敵もあっけにとられてしまいました。
華元はあっさり捕えられてしまい、将を失った宋軍はあっとうまに壊滅してしまいました
結局、馭者は羊スープを与えなかった華元を最後まで許さなかったのです。

後にこの馭者は「羊斟(ようしん)」と名づられ、
「羊斟の恨み」という言葉を作りました。
この話により「羊斟の恨み」は食べ物の怨みはおそろしいという意味になりました。

食べ物の恨みは怖いですね~。
部下におごるときはひとりもれないように気をつけましょうね。
中国人は食べ物に貪欲なんでしょうか。
まぁ、だから料理が発達したのかも知れませんが・・。