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頭の中を整理しながら次へとすすむ

表現力を身につけるため

(問)民法 種類債権

2009-08-04 02:18:39 | 民法
問:申し出と了承という当事者の合意によって、種類債権の特定が生じるか

⇒この点、私的自治の原則にかんがみ、両当事者の合意により、種類物の中から一定数量の部分を他の部分から区別しうる程度に分類した場合に特定が生じると解する


問:債務者の側から、特定の生じた種類債権について、債務不履行が発生した場合に他の種類物を新たに調達し、給付するという変更権が認められるか

⇒思うに特定(401条2項)の趣旨は、本来種類債権は履行不能にならず、調達義務を負うが、その責任を「その物」の善管注意義務(400条)に軽減させ、もって債務者の利益を図る点にある
 だとすると、債務者が特定の利益を欲しない場合にまで強制する必要はない
 しかも、変更権を認めるほうが本来の契約の目的を達成でき、債権者の利益にもなると考えられる
 そこで、種類債権の特定後であっても、債権者に不利にならない場合、信義則上(1条2項)、債務者に変更権が認められると解する



問:現実の提供(493条本文)をなしたとして、履行遅滞に基く遅滞利息の請求を拒むことができるか(492条)。現実の提供の方法・程度が問題

⇒思うに、弁済の提供の趣旨は、債務者が単独で完了することのできない給付について、その給付に必要な準備をして債権者の協力を求める点にある
 かかる趣旨にかんがみ、現実の提供は、定められた時期・場所で、弁済できる状態にあれば足りると解する




補足:ほとんどの債務はその履行について、債権者の受領協力が必要となる。そのような協力が得られない場合に、受領がないといって常に債務者に履行責任を負わせるのでは酷である。そこで、債務者を履行遅滞責任から解法する制度として、弁済の提供を規定し、一方の債権者には受領遅滞責任が生じるとした。
 
 そのような趣旨によるから、弁済の提供は債権者に受領遅滞責任を負わせる程度のもの、すなわち、原則として現実の提供をしなければならず、例外として、口頭でもなしえると規定している。



(問)民法 抵当権(不法占有者に対する妨害排除)

2009-08-03 23:19:41 | 民法
問:AはBに対する債権を担保するため、B所有の甲建物に抵当権設定を受けた。弁済前に、無権限者のDが不法に占拠。AはDにいかなる請求をなしうるか、弁済期到来前と到来後で考える

到来後
 抵当権者は不法占有者に抵当権に基き妨害排除請求できるか
(1)確かに、抵当権は非占有担保物権。原則として使用収益に干渉できない
しかし、不法占有によって抵当権者の優先弁済権が侵害される事実は無視できない
そこで、第三者の不法占有により、抵当権者の優先弁済権の行使が困難となるなどの状態があれば、抵当権に基き妨害排除請求できると解する

(2)本問では、Dが不法占有することでAの優先弁済権の行使が困難
よって、Aは抵当権に基く妨害排除請求によりDに退去請求できる


到来前
(1)確かに、抵当権は交換価値を把握する権利であるから、抵当権者は抵当権設定当初から交換価値を把握
 だとすると、弁済期とわず妨害排除なしうるとも
 しかし、弁済期前は、まだ抵当権設定者による弁済を期待できる
 そこで、抵当権に基いて妨害排除なしうるのは、債務者が履行遅滞に陥った時以降など抵当権の実行が現実的な問題となった時以降に限られる

(2)本問では、妨害排除請求を根拠として、Dに退去請求できない


(問)民法 抵当権(物権的妨害予防請求)

2009-08-03 22:49:23 | 民法
【問】抵当権設定者が、抵当権設定建物内の設備(ボイラーなど)を第三者に売却、第三者が運び出そうとしているとき、抵当権者はいかなる請求ができるか

(1)本問において、抵当権者が何らかの請求をするためには、抵当権がその設備に及んでいる必要がある。
まず、ボイラーなどの設備は「常用に供するため」のものといえ、従物であり、主物の処分に従う。(87条)
そして、抵当権の設定は「処分」にあたる(同条2項)
それゆえ、抵当権の効力は設備に及ぶ。

(2)そうだとして、抵当権者は妨害予防請求権として、搬出の禁止を主張しえないか、抵当権者は抵当権の効力として物権的請求権を行使しうるか、明文の規定なく問題
ア 思うに抵当権も物権の一種だから、物権的請求権を行使しうる
イ そして、目的物の価値の減少の可能性があれば足りる
ウ 本問では、第三者の搬出により甲建物の価値の減少の可能性あり
よって、抵当権に基き、搬出の禁止を請求しうる

(3)次に、抵当権者は第三者に不法行為に基く損害賠償請求権(709条)を行使することも考えられる
 しかし、「損害」(709条)が生じたといえるためには、目的物の価値の減少により実際に抵当権を実行しえなくなったなど、被担保債権を担保しえなくなることが必要
 本問では、そのような事情はなく、「損害」はない
 したがって、不法行為に基く損害賠償はできない