経営コンサルタント・プロ経営者として多くの企業の成長や経営改革等を実践・支援してきたフィロソフィ経営の皆木和義ブログ

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6月26日の日本経済新聞の「創業精神継承の正統性、大戸屋に軍配 株主総会、コロワイドと対立解消遠く」という記事を読んで

2020-06-27 18:26:27 | 日記
2020年6月26日の日本経済新聞朝刊の「創業精神継承の正統性、大戸屋に軍配 株主総会、コロワイドと対立解消遠く」という記事を読んで、その印象や感想等を兄弟のようにしてきた盟友の故三森久実氏の志や思い、経営理念等をふまえながら、箇条書き的に備忘録として書き留めておきたいと存じます。
この記事の執筆者は田辺静記者と井上航介記者で、とても良くポイントを押さえられた的確な記事だと思いました。

①まず「大戸屋に軍配」という点ですが、一般論として、現職、現経営陣が有利なのは従来からの通例的傾向なので、第一回目の戦いともいうべき今回の株主総会で大戸屋側が勝つのはある意味当然だったといえるでしょう。
現経営陣はあらゆる手を駆使してコロワイド社に対抗したというような印象です。
しかし、第2回目の戦い、第3回目の戦い、あるいは、それ以上の戦いがあるかどうかはわかりませんが(敵対的TOB等も含め)、その場合は、どういう軍配になるかは予断を許さないでしょう。
いずれにせよ、今後の業績を含め、これからが本格的正念場といえるでしょう。

②また、記事には「創業精神継承の正統性、大戸屋に軍配」とありますが、軍配は今回の株主総会での一時的なかたちであり、長年大戸屋をみてきた筆者から見ると、真に大戸屋の現経営陣が正しく創業精神を継承しているかどうか、正当性があるかどうかは甚だ疑問に思っています。
というのは、三森久美氏と筆者が議論を重ねた「大戸屋 ごはん処」の理念を含めた基本型を現経営陣は崩されたように考えるからです。
一時的にせよ、大戸屋ランチを廃止したのはそのエビデンスの象徴的な一例ですし、基本型から逸脱したような価格設定の商品を出されたことなどもその証左といえるでしょう。また、そのことによって大戸屋らしさや大戸屋ブランドの魅力が様々なかたちで毀損されてしまったといえるのではないでしょうか。
また、なぜ「大戸屋 ごはん処」が誕生したのか、という根本的な理念や存在理由を現経営陣が発信されていないのも疑問に思う理由です。
現経営陣は「大戸屋 ごはん処」の原点、本質を真に理解されているのでしょうか?
三森久美氏と筆者が学び研鑽した松下幸之助翁のお考えのように「企業は社会の公器」なので、筆者は創業者の三森久美氏の創業精神、お客様第一主義(お客様本位)、お客様目線で考えて経営を貫徹してきた三森氏の理念を真に継承される企業を応援したいと考えております。

③記事には『株主からも「今回は大戸屋に入れたが、経営陣はあまり評価していない。コロワイドがTOB(株式公開買い付け)で良い条件で示せば売ってもよい」(60代男性)との声も聞かれる。』と記されていましたが、株主の皆様の重要なお声の反映のように存じました。
現経営陣は新型コロナ以前から長きにわたって経営を悪化させて前期には11億円以上の最終赤字に転落させ、また、本年4月、5月の既存店売上高が前年同月比4~5割減という惨憺たる数字を見れば、上記の株主の方のお声の通りかと感じます。その意味で、今回の株主総会は現経営陣の経営力が高く評価されたわけではなく、三森久美氏が心血を注いで創り上げた基本型(店内調理を含む)や大戸屋らしさ等への信任と言っても良いかもしれません。
同時に、「経営陣はあまり評価していない」というような株主の皆様のお声を現経営陣がどれだけ真摯に受け止めて、経営再建を正しく実践できるかどうかが今後大きなカギとなるでしょう。
「大戸屋 ごはん処」がなぜ誕生したか、その存在理由、三森久美氏の創業精神にその大きなヒント、解決策があるでしょう。
その点を謙虚に真剣に学ばれ実行されないと、また、従来的な流れのままで行くと、大戸屋HDの今期業績は20~30億円の最終赤字になってしまうおそれがあるのではないでしょうか。

記事や大戸屋HDのニュースリリースなどを読む限りですが、極論的にいうと、今回の株主総会はプロパガンダも含め大戸屋が総会テクニック的に勝ったということだけだったかもしれません。
いずれにしろ、社会へのお役立ちとお客様第一主義を追求した三森久実氏の経営理念や思い、経営の遺伝子が正しく継承されて大戸屋が発展し続けることを願ってやみません。



〈ある日の大戸屋のランチ時のテイクアウト(お持ち帰り)のお弁当。近隣では以前より価格競争を含め競争が激化しています。〉







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