5月に湖北を旅した友人の子のA子ちゃんが結婚したと聞いて
別れ際のことを思い出した
彼らが引っ越していく当日、荷物を運び出したり
手伝いの人が来たり、息もつけないような大騒ぎの時
1歳半か2歳のA子ちゃんの口の中に、いくつもの口内炎が
できて、痛くて何も口にすることができなくて具合が悪かった
親は私にはできないと連れてきたから、私は心を鬼にした
あれは何という薬だったか・・・
紫色した液体の薬を口の中に塗った
嫌がり、暴れ、泣き叫ぶA子ちゃんを私の両足で抑えつけ
「このお薬を塗ると痛いのが治るのよ」とか
「お腹すいたでしょう、お薬付けてごはん食べようね」とか
「いい子のね、もう終わりだから」とか言いながら
これからの道中を考えると、楽にして出発させたかったから
いよいよ車に乗り込むという時に、友人に抱かれていた彼女は、
両手を伸ばし、身を乗り出して私にだっこねだった
まだ何も解からない赤ちゃんだったのに、あんなに泣かせたのに
判ってくれるものなんだ
ついこの間だったように思い出したけれど、もう30年以上も前だ
お祝いに、ギリシャ神話の守り神の絵柄のお皿を送ったら
礼状と共に、結婚式の時のスナップ写真が送られてきた
弾けそうに幸せいっぱいの笑顔で写っている
それを見て、私も幸せに浸れた
幸せの笑顔は他人をもしあわせにするものなんだ