楽しむことが最優先

庭で花や野菜を育てて楽しむ北海道民です。
趣味関連を中心に日々のあれこれを、
マイペースに綴って行くつもりです。

海苔巻きは物理属性武器

2023-10-04 22:39:00 | 日記
本日も無事に仕事を終え。

お客さんから誘われるがままに、
お茶の時間を楽しんでいました。


「僕は海苔巻きづくりが趣味なんだ
 体をうごかしてお腹がすいたでしょ?
 遠慮せずに、どんどん食べてね」

お茶請け……というよりも。

もはやこっちがメインとばかりに、
止めどなく出てくる海苔巻きたち。

その勢いたるや。

わんこ蕎麦ならぬ、
わんこ海苔巻き状態


「中のカンピョウも僕が煮たんだ」

「ふふ……アナタったら、
 朝から張り切っていたものね」

「基本的に在宅ワークだから、
 家族以外と話すことが滅多になくてね
 今日は久しぶりに人がくるから嬉しくて」


おっとりとした、優しそうな老夫婦。

場に流れる時間も、
なんだか穏やかに感じられます。

平和だなぁ……

目の前の海苔巻き以外は


「さあ、どんどん食べてね‼︎」

「ははは……」

あの
お客さん……

自分、もう4本目なのですが
あと何本、出てくる予定ですか


『丸かじりが1番美味しいんだよ』と。

季節外れの恵方巻きのごとく、
大皿に乗った黒光りする海苔巻きたち。


恵方巻きは海苔巻きを、
鬼の金棒に見立てて食べる儀式らしいけれど

納得した。
いま、すごく納得しました。


確かにこの破壊力、
金棒レベルのダメージあるわ

胃が張り裂けそうだもん……

しかも翌日にひびく、
胃もたれという継続ダメージ付き。


「海苔巻き……というか……
 太巻きだね、具沢山でさ……」

「社長、大丈夫ですか?」

この海苔巻き。
とにかく具が大量に入っています。

このズッシリ感……
まさに鈍器

初めて見ましたよ、
キュウリ丸ごと一本入り海苔巻き

その中に、さらに玉子焼きやカンピョウ、
カニカマやシーチキンまで入ってるんだ……



「よく巻けましたね、キュウリ……」

「出来るだけ、まっすぐなキュウリを
 選ぶことがコツなんだよ
 あと、軽く浅漬けにしてるんだ

「へぇ……」

「こうやって野菜が多いと、
 サッパリと食べられるでしょ?」

限度があるわ‼︎


「ここ数年、孫を預かっていてね
 夜遅くまで勉強を頑張る孫に、
 栄養がある夜食を作ってあげたくて

「孫は大学で音楽をやっているのよ
 作曲家志望なんですって」

「それは凄いですね」

「作曲しながら食べられるような
 夜食を考えた結果が海苔巻きなんだ
 おむすびだと栄養が偏るし、
 パンはパンくずが気になるからね」


ああ、なるほど。
だから具沢山なんだ。

野菜、玉子、魚に米、海藻……
確かに海苔巻きなら一度に食べられる。

思ったより、いい話だった。




「おじーちゃん、お腹すいたー」


パタパタと階段を降りてくる足音。
噂をしていたらご本人の登場らしい。

祖母似かな?
優しそうな雰囲気がよく似ています。


「あっ……お客さんきてたの⁉︎
 やだ、恥ずかしい……‼︎」

「今ちょうど、お前の話をしていたんだよ
 せっかくだから一緒に食べないかい?」

「え……でも……」

もじもじしながら、
うつむくお孫さん。

どうやら内気な性格のようです。
しかし、我々にとっては救いの女神。


頼む
助けてくれ

具代的に言うならば、
食ってくれ

目の前の海苔巻きを、
一本でも多く減らしたい。


「「どうぞ」」

自分と社長の声が綺麗にハモった瞬間でした



「作曲は順調なの?」

「ちょっとスランプかも
 何か新鮮な刺激がほしいな……」


スランプか……

何かを生み出すという行為に、
必ずといって良いほど立ちはだかる壁。

自分も物作りを手がける身として、
少なからず共感できるところがあります。


「お嬢さん、良かったら、
 ミルくんと話してみない?
 見た目よりも面白い人だよ」

どういう紹介の仕方だ


「黙っていると怖そうに見えるけど、
 意外と体を張ってネタに走るタイプでね」

主な元凶は社長ですが


「ほらコレ見て
 先日のミルくんなんだけど、
 ゴスロリだって着こなすの

何見せてんの⁉︎

失敗した。
社長に写真を送ったのは間違いだった。

これ、今後もネタにされるやつだ……‼︎


「あはは……
 ギャップ萌え」

そこに萌えられても困る


「他にもあるよ、ミルくんの写真」

だめだ……っ……‼︎

このままだと社長の口から、
更なる黒歴史が飛び出す

なんとかして話題を変えないと……‼︎



「い、今、学校では何が流行ってるの⁉︎」

「今ですか?
 ん〜……内輪でですが、
 アバター作りです」

「アバター……
 似顔絵とか?」

「はい、アプリによって、
 個性が出るから面白いんです
 好きなアニメやゲームのキャラを、
 色々なアプリで再現するのが楽しくて」


笑顔で語ってくれるお孫さん。

良かった……
話題が逸れてくれた……


「そうだ、ミルさんを作りましょうか」

「え」

「さっき見たゴスロリ姿を参考に──……」

それだけは勘弁してください


「ぜひ今の姿でお願いします」

「そうですか?」

「せっかくだからミルくんも、
 彼女をモチーフに作ってあげたら?
 スマホのアプリで出来るやつでしょ?」

「無料アプリですからミルさんもぜひ‼︎」

「あ、はい……」


そんなわけで

何故かお互いのアバターを作って、
交換することに……

まぁ、きっかけを作ったのは自分です。
ここは頑張って挑みましょう。

とは言え。
難しい……


初見のアプリ。

しかもアバターそのものを、
自分は作りなれていません。


「うーん……
 何というか、新鮮な体験……」

「ミルくんは自分で描ける分、
 逆にこういうのに縁がないんだね」

「縛りがある創作そのものは、
 わりと好きなのですが……」

「あえてマイナーなアプリで作るのが、
 最近の私たちのブームなんです
 荒削りなアイテムや微妙な操作性に、
 なんだか中毒性を感じてしまって……」

初心者に厳しいよ


「数少ないパーツをいかに駆使して、
 キャラを再現するかという挑戦も好きで‼︎
 アバター作りも奥が深いんですよ」

極めてる……⁉︎

お嬢さん……

初心者の自分にとって、
その縛りはキツいです。

意外と容赦ない


そして

慣れないながらも、
なんとか完成したのがこちら。





いやぁ……難しいね。

何が大変って、
目の前にモデルがいるプレッシャー‼︎

ちなみに

彼女が作ってくれたのが、
こちらになります




仕事で来たからね
思いっきり作業着だね……

なんか、ごめん
飾りっ気がなくて……

でも
ゴスロリ再現は回避したかった



「あはは……
 ミルくん、なかなか似てるよ
 目力の強さとか癖毛っぽいところとか」

「作曲をする上で曲の中に、
 物語を盛り込むことが大切なんです
 情景をリアルにイメージするためにも、
 アバターを使うことが良くあって……」

「確かにこのアプリなら、
 絵が描けなくても人物像が浮かぶね」

「アバターアプリで塗り絵も作れるんです。
 あえて自分で彩色することで、
 初めて気づくこともあるんですよ」


なるほど……

そう聞くと、確かにアバター作りには、
なかなか奥深いものが感じられます。

自分には難易度高めですが……


「ミルさんもぜひ楽しんでください」

「ははは……」

「初心者向けで手軽なのは、
 キャラットがおすすめです
 ダウンロードすら必要ないですし、
 有名なだけあって使いやすいですよ」


いや、待て

そんなオススメがあるなら、
最初に使わせてください

なんで初っ端から、
マイナーなアプリで作らせるの……



「今作曲している曲なんですが──……
 パフォーマーを目指すはずが間違って、
 パフューマーになってしまった内容で」

ギャグかよ


「首をかしげたり頭をかきながら、
 慣れない作業と格闘する姿……
 まさに私が求めていたものです‼︎」

鬼ですか


「しょうがないよ、ミルくん
 だって彼女は──……
 新鮮な刺激を求めていたから

客観的に刺激を得るな


「今出されている課題が、
『禍を転じて福となすサクセスストーリー』
 というもので、それを曲で表現します」

「そ、そうなんだ……」

課題を出した先生も、
こんなオチは想定外なんじゃ……?


「優秀作品は演劇部などで、
 使ってもらえたりするんです
 私もいつかコラボしたいな……」

落ち研の方が採用率高そう


「お2人のおかげで、
 スランプから抜け出そうです
 どうもありがとうございます……‼︎」

作曲に取りかかります、と。
海苔巻きを手に階段を駆け上がるお孫さん。

彼女の脳内で今、
どんな曲が生み出されているのか──……

本気で想像できねぇ……


「孫がごめんなさいね
 あの子、音楽のことになると、
 ちょっと強引になっちゃうから……」

「いえ、お役に立てたなら光栄です」

「一度やる気モードになると、
 部屋で缶詰めになるんだよ
 あれはしばらく出てこないかもね」


あー……

漠然としたイメージだけど、
確かに芸術家ってそういう一面がありそう。

時間も忘れて仕事部屋に延々と、
こもり続けるシーンって良くあるね。


お孫さんの退出に便乗して、
帰りの車に乗り込んだ社長と自分。

おっとりとした雰囲気とは裏腹に、
わりと高ダメージを与えてくる3人でした。

それにしても──……


「あのお孫さん……
 海苔巻きを皿ごと持っていったけどさ
 いったい何日、缶詰になるんだろう?」

「まだ半分以上、残ってましたからね……」


本数もさることながら、
食べ飽きないのだろうか

それが今日1番の疑問かもしれません……