こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

「歌に生き、恋に生き」のカバリエ

2009年12月20日 00時04分07秒 | プッチーニ
先日、私の職場でもボーナスが支給されました。このご時世、ボーナスもきちんともらえるということでも感謝しなければならないのでしょうが、毎年毎年、減額となる状況には、ほとほと困っております。長い俸給生活の中、今から10年ほど前がもっともたくさんもらえたかな、と思っております。そのころは、毎年の増額が当然のことと思っていました。それがこんな状況になるとはねえ。この先、満足にCDも買えなくなったらどうしようか、などとなんとも小市民的な発想をしてしまうのであります。そんな中、新聞で神戸市の支給額についての報道を読みました。神戸市職員ってけっこういい額をもらってるんですねえ。毎年のように減額しているらしいですが、もとが高かったんですねえ。あーうらやましい。とまあ、さもしい発想でありました。

それで、今回はまた『トスカ』です。プッチーニ。11月の初旬に三宮の中古やさんで見つけたCDです。演奏はコリン・デイヴィス指揮コヴェントガーデン。モンセラート・カバリエとホセ・カレーラス、それにイングヴァル・ヴィクセルであります。1976年7月の録音です。プッチーニはいいですね。トスカにボエーム、そして蝶々さん、どれも大好きであります。カレーラスとカバリエは、この時期さかんに共演しておりました。イタリア歌劇の公演でも、巨大なカバリエと小柄なカレーラスがともに歌う場面は幾度か見ました。若さあふれるカレーラスと、円熟の極みのカバリエ、なかなか聴き応えがありました。

まず、この演奏、ディヴィスの指揮です。たいそう明るい。これによって、プッチーニの甘美で美しいメロディが非常に明確に演奏されています。それは、このオペラが主役3人が死ぬ悲劇であるにも関わらず、それほど深刻にはならない。むしる、プッチーニの旋律を明快に、また劇的に表現しているようなのです。そのところは、カバリエとカレーラスにも共通項があります。カバリエは、持ち前の美声とテクニックを駆使して、トスカの女性としての美しさを十二分に現出しているようですし、カレーラスも若さの勢いでカヴァラドッシを朗々と歌いあげています。それは、一種快感を感じます。私は、カバリエはかなり好きです。彼女の比類なき高音でのピアニッシモは、このトスカでも健在です。これは彼女でしか聴けない美しさですね。そして卓越したブレスコントロールは極めて安定した歌唱を生み出しています。ここでカバリエは、トスカとしてふさわしい歌唱かどうかは別にして、その技巧と美声によって極めて存在感のあるトスカを演じていますよ。また、カレーラスです。後年に聴けるような渋みはないですが、たいそうストレートで伸びやかな美声は、イタリアオペラの醍醐味とも言えましょう。特に、第1幕とトスカとの二重唱では若い恋人同士の機微を瑞々しく歌いきっています。まあ、カヴァラドッシはそれほどの出番があるわけでないのが残念な気持ちです。そして、忘れてはならないもう一人。そうです、悪役スカルピアであります。このヴィクセルですが、まあ今イチです。美声なんですが、安定感を欠き、面白みもありません。スカルピアは第二幕でのトスカとのやり取りが大事なんですが、トスカに押されているという感じが、なかなか残念です。まあ、偉丈夫カバリエに勝てるスカルピアのほうが珍しいのかも知れません。

しかし、このCD、やたらにトスカの声が大きく聴こえるようなんです。それだけ、カバリエが大したものなんですね。こんなソプラノ、なかなか聴けません。
(Philips 412 885-2 輸入盤)

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