今年は、夏の盛りが遅いのでしょうか。東日本ではやっと最近梅雨あけ。そして、立秋を過ぎて、35度を超す猛暑となっています。ほんとに暑くなりました。この暑さのせいか、日本人のあまりに歴史認識のない発言には、少々閉口しています。一部の影響力のある人の、あまりの歴史認識の欠如や独善的で一方的な理解は、ほとほと困惑するしてしまいます。まるで、どこかの人と同じレベルか、とも思ってしまいます。でも、9月になっても暑さは続くのでしょうねえ。困ったものであります。
というものの今回は、ヴァイオリンであります。最近、ヴィクトリア・ムローヴァの演奏を聴きます。この人、チャイコフスキーコンクールなどで優勝したのちの1983年に当時のソ連からアメリカに亡命して、その後多くの録音を残しています。また、演奏とは関係ないですが、一時期アバドとも親密な関係になり、女の子ひとりをもうけております。まあ、そんなことはさておき、最近では古楽器の技法も取り入れた演奏も展開しております。体格も非常にいい人ですねえ。
そんなムローヴァが、西側(この言い方も古いですねえ)に亡命したのち、最初に録音したのが、小澤征爾の指揮するボストン交響楽団と共演した録音。曲目は、チャイコフスキーとシベリウスのヴァイオリン協奏曲であります。1985年10月15~17日にボストンのシンフォニーホールでの録音です。私ごとですが、ちょうど結婚して新婚旅行から帰ってきた直後にあたります。まあそんなことはどうでもいいのですが…、すんません。
ジャケットの写真も最近のムローヴァに比べると、非常に清楚な雰囲気。田舎から出て来たお姉さんってとこでしょうかねえ。いまのムローヴァの写真は、またそのCDを取り上げるときに述べようと思いますが、なかなか変貌しました。うんうん。小澤さんもお若いですねえ。私、数あるヴァイオリン協奏曲の中で、チャイコフスキーのものが最も好きですね。以前にも触れましたが、娘がお腹の中にいるときも、この曲とメンデルスゾーンのもののLPを買って胎教だということで聴かせたことも憶えています。効果があったかどうかは不明であります。
さて、ムローヴァのヴァイオリンでありますが、非常に素直でクセがない音色。そして、たいそう強靱なイメージもあります。そして、低音も素晴らしいのでありました。このチャイコとシベリウスの協奏曲が収められていますが、ともに彼女の得意なものだったんでしょう。それで寧色自体には、暖かみを感じるところもありますが、ただ演奏はけっこう冷淡なイメージも持っています。ただ、技巧的にはなかなかそのクールさと相俟って満足度は高いのであります。
一方、小澤さんですが、ムローヴァのヴァイオリンと指揮があっているのかどうかといえば、あっているんですね。小澤さんって人はけっこう客観的であります。ボストン響の響きはなかなか充実して、弦も管もそれぞれいい音色なんです。木管もよく合ってますね。ただ、チャイコフスキーの音楽の中に埋もれてしまうなどの熱さや興奮は無縁かも知れません。私はねちっこい性格なので、音楽も粘着質のものが好きなんです。その点でいうなら、小澤さんの演奏は少々物足りないところもあります。第1楽章のカデンツアが終わってからの、フルートによる主題の再現部などは、少々あっさりしているなあ、って思うことしきりなんですねえ。ただ、その指摘がこの曲の造型からいって良いのか悪いのかと言えば、それは難しいんですね。この,ムローヴァと小澤さんの演奏は、適度な高揚感ももち、音楽の流れも非常に良い。そして、両者の曲作りもよく合っている。これ以上のものを求めるなら、それはそれでそれはちょっと嫌だなと思うのは必定のことでありましょうね。
ムローヴァさんの最近の演奏も、よく聴きます。なかなかいいなあと思っています。また機会を見つけて述べようと思います。ほんとに暑いです。
(PHILIPS ORIGINAL JACKET COLLECTION 2011年 輸入盤)
というものの今回は、ヴァイオリンであります。最近、ヴィクトリア・ムローヴァの演奏を聴きます。この人、チャイコフスキーコンクールなどで優勝したのちの1983年に当時のソ連からアメリカに亡命して、その後多くの録音を残しています。また、演奏とは関係ないですが、一時期アバドとも親密な関係になり、女の子ひとりをもうけております。まあ、そんなことはさておき、最近では古楽器の技法も取り入れた演奏も展開しております。体格も非常にいい人ですねえ。
そんなムローヴァが、西側(この言い方も古いですねえ)に亡命したのち、最初に録音したのが、小澤征爾の指揮するボストン交響楽団と共演した録音。曲目は、チャイコフスキーとシベリウスのヴァイオリン協奏曲であります。1985年10月15~17日にボストンのシンフォニーホールでの録音です。私ごとですが、ちょうど結婚して新婚旅行から帰ってきた直後にあたります。まあそんなことはどうでもいいのですが…、すんません。
ジャケットの写真も最近のムローヴァに比べると、非常に清楚な雰囲気。田舎から出て来たお姉さんってとこでしょうかねえ。いまのムローヴァの写真は、またそのCDを取り上げるときに述べようと思いますが、なかなか変貌しました。うんうん。小澤さんもお若いですねえ。私、数あるヴァイオリン協奏曲の中で、チャイコフスキーのものが最も好きですね。以前にも触れましたが、娘がお腹の中にいるときも、この曲とメンデルスゾーンのもののLPを買って胎教だということで聴かせたことも憶えています。効果があったかどうかは不明であります。
さて、ムローヴァのヴァイオリンでありますが、非常に素直でクセがない音色。そして、たいそう強靱なイメージもあります。そして、低音も素晴らしいのでありました。このチャイコとシベリウスの協奏曲が収められていますが、ともに彼女の得意なものだったんでしょう。それで寧色自体には、暖かみを感じるところもありますが、ただ演奏はけっこう冷淡なイメージも持っています。ただ、技巧的にはなかなかそのクールさと相俟って満足度は高いのであります。
一方、小澤さんですが、ムローヴァのヴァイオリンと指揮があっているのかどうかといえば、あっているんですね。小澤さんって人はけっこう客観的であります。ボストン響の響きはなかなか充実して、弦も管もそれぞれいい音色なんです。木管もよく合ってますね。ただ、チャイコフスキーの音楽の中に埋もれてしまうなどの熱さや興奮は無縁かも知れません。私はねちっこい性格なので、音楽も粘着質のものが好きなんです。その点でいうなら、小澤さんの演奏は少々物足りないところもあります。第1楽章のカデンツアが終わってからの、フルートによる主題の再現部などは、少々あっさりしているなあ、って思うことしきりなんですねえ。ただ、その指摘がこの曲の造型からいって良いのか悪いのかと言えば、それは難しいんですね。この,ムローヴァと小澤さんの演奏は、適度な高揚感ももち、音楽の流れも非常に良い。そして、両者の曲作りもよく合っている。これ以上のものを求めるなら、それはそれでそれはちょっと嫌だなと思うのは必定のことでありましょうね。
ムローヴァさんの最近の演奏も、よく聴きます。なかなかいいなあと思っています。また機会を見つけて述べようと思います。ほんとに暑いです。
(PHILIPS ORIGINAL JACKET COLLECTION 2011年 輸入盤)
このコンビ、30年ほど前に、我が群馬の片田舎へ来てチャイコフスキーのコンチェルトをやってくれました。オーケストラは新日本フィルでしたけれど。演奏の詳細は忘れましたが、圧倒的なテクニックに感動しましたね。その時は。