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安藤美姫

安藤美姫選手を応援している方々の素晴らしいメッセージに彩られたブログです。

音楽の精霊...☆Elle avait 16 ans...

2008年04月24日 | 安藤美姫
 2004年、NHK杯のフリー・プログラムで、私は初めて安藤美姫を観た。燻し銀のような名曲、タンスマンの協奏曲で舞う16才の少女の内から漂う色香に戸惑いを感じ、尋常ではない少女の才能に目を見張った。空を仰ぎ見るような表情は若く悩ましい女豹のようであったが、空に向かって真直ぐに強靭に伸びていく若竹のような清々しさと凛々しさもまた、この艶かしい16才の少女の魅力であった。
 このNHK杯では、安藤美姫の演技以外、私は何も覚えていない。その演技にだけ心を奪われたということだろう。とりわけ、エンディングのポーズに驚嘆した。
 過去を旅して、最近、その時の映像を繰り返し観たが、大人の女性のような少女、安藤美姫の演技は端整な美しさに満ち溢れている。続けて、当時のショート・プログラムの映像を鑑賞して、さらに愕然とした。爆発的なエネルギーを発散させる溌剌とした少女、安藤美姫の大人の成熟と洗練に目が釘付けになる。心の噴火口から炎のような情熱が溢れ出なければ、情熱的な「ジプシー・ソウル」は踊れない。いやむしろその楽曲で踊っているというよりも、マリナ・クリモワがそうであったように、安藤美姫もまた、音楽をBGMとして舞っているのではなく、音楽が彼女の体を突き動かし、その美しい体の中を音楽が通り過ぎ、舞姫が音楽の精霊そのものになっている。エロスとタナトスを知っているかのような氷上の若きヴィーナスの指先から滴り落ちる情熱の音色の雫は妖しく煌き、音楽と合体したヴィーナスは「透明な時」の中で、もはや音楽以外何も感じていないかのように陶然として、しなやかに体を動かしている。ヴィーナスがスピンを舞うと、その腕は風のように揺れて、官能が迸る。ヴィーナスは軽やかに音色と戯れ、音色に溶け込み、音色そのものになる。
 安藤美姫自身はかつて、「四回転が跳べた頃のジャンプの安藤」に戻りたいと語っていたが、彼女は「音楽の精霊」になって、すべてを忘れることの出来たあの「透明な時」に戻りたい、最愛の人の魂に抱かれていたように感じるあの「神秘的な時」に再び戻りたいと願っているのではないだろうかと私には思えてくる。それほど、情熱の音色とリズムに揺り動かされて、昂揚した恍惚の舞姫の姿は美しい。この「美の世界」は新採点法では評価し切れるものではないであろうが、だからこそいっそう、私はこの「美の舞」をいとおしみ、愛でる。
 演技が終わった後、あどけない表情で、きちんと揃えた膝の上にぬいぐるみをのせて行儀よく座っている笑顔の安藤美姫の傍らには佐藤信夫コーチがいるが、この可愛い少女に畏敬の念を抱いているかのように、コーチは少女に程よい距離を置いて座り、静かに微笑んでいる。佐藤コーチは、いかにも控えめな紳士だが、その内心では、あどけなき天才が紡ぎ出す「豊麗の美」に心地良く驚き、酔いしれているのではないかと想像して、こちらもまた微笑みたくなる。
 アスリートにしてはあまりに繊細な安藤美姫は、年齢を重ねるにつれ、自己矛盾と葛藤を抱え、心が定まらず、揺らぎ、迷い、悩むことも増えた。その心的状態が試練の時をつくり、その試練がまた、繊細な舞姫を悩ませ、苦しめる様を目にするのはファンにとっては辛いことではあるが、しかし、そのような資質もまた、天才の証だと感じる。何故なら、その苦悩によって、舞姫の人格も演技も深みを増して、舞姫自身、いっそう艶かしく凛とした大人の女性へと成長を遂げているのだから。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ハジメマシテ (mikiluv)
2008-04-25 13:13:21
ハジメマシテ. mikiluvと言います. ^^
勿論 安藤美選手の大ファンです.

このブログを通じてミキティの新しい面を分かるようになったり 文を読みながら共感もしています.

今後もたびた来るのでよろしくお願いします*^^*
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初めまして!(^-^) (mikittyfan)
2008-04-25 13:54:06
mikiluvさん、こんにちは。
優しいお便り有難うございます。

私も最近、安藤美姫選手の過去のいろんな映像を観て、新たな魅力を発見して、嬉しく驚き、感動しています。とても幼い頃から、安藤選手は音楽を体で感じて、しなやかに踊っているのを観てびっくりしました。大人でも主旋律が覚えにくいような楽曲とも気持ち良く戯れるように舞っているミキティを観ると、やはりミキティは伝説の天才少女ですね。ジャンプも当時から華麗で、溌剌とした躍動感に観ている人の心も躍りますね。
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