予告編をテレビで見るたびに、気になっていた言葉。
「娘の死は事故ではない。このクラスの人に殺された。」
きっと謎解きのような映画なのかと思い、お気楽にだんなと娘と三人で観に行った。
映画を観るのは久しぶり。
ちょっとワクワクした気持ちで見に行った。
ところが、観終わって…
三人で、どんより…
映画の作りは、面白かった。
ジェットコースター・ムービーのように、次から次へと話が展開していく。
しかし、ストーリー的には…
救いようがない話。
ここから、ネタバレ。
冒頭、松たか子演じる女教師の長~い独白により本編が始まる。
私が期待していた謎解きではなく、
犯人の名は語らずとも、生徒たち(観客)にわかるように、この事故が殺人だったこと、
どのように娘が殺されたかを、淡々とこの女教師は話す。
犯人はAとB。
このクラスの男子である。
その告白をした後、女教師は教職を辞めこの学校を去る。
そして、彼女の犯人A・Bという二人の少年への復讐が、彼女は手を汚すこと無く始まっていく。
そんな内容なんだけど。
救いようのない話って、世の中にはたくさんあって、
いつも私はそういうモノを遠ざけている。
例えば、東野圭吾の「さまよう刃」。
だんなが先に読み、面白かったって言うので読み始めたけれど、
娘が少年たちに拉致されて…という部分に差し掛かると読むのを止めてしまった。
なぜなら、私には同じ年の娘がいて、その子がそんな目に合うかと思ったら感情移入せずにいられない。
そして、多分東野圭吾作品だとすると、きっと救いようがない話に思えた。
で、だんなから話の筋を聞いたら、やっぱりそうだった。
少年法に守られている犯罪を犯した少年たち。
彼らをどのように、誰が裁くか。
彼らへの憎悪を、被害者の親は、どこにどう向けたらいいのか。
かつて、宮崎勤という連続幼女誘拐殺人を犯したヤツがいた。
ヤツのニュースをテレビで見るたびに、まだ子どもがいなかった私たちはよく話した。
「もし被害者の親の立場だったら、どうするか」
だんなは「同じ目に合わせてやりたい」と言った。
犯人の一番大切な人を殺したりすることで、犯人にはツライ思いをさせてやる、と。
まさにこの映画の中での復讐は、そこにある。
Aは家庭内暴力を繰り返し、母親に心中を思い立たせるが、自分を殺そうとした母親を逆に殺してしまう。
Bは、会いたくて会いたくて仕方なかった産みの母親を、間接的ではあるが自ら殺してしまう。
彼らは捕らえられるのだろうけれど、社会復帰はするのだろう。
そして、その後???
復讐ってなんだろう?…。
フィクションではあるけれど、リアリティがあり、かなり怖い話であった。