お月様の目 2006-05-31 21:57:41 | 詩 商店街の明かりの隙間 お月様は正面から 目を細めこちらを見ている こちらが目を細めると お月様はウインクする こちらが目を凝らすと まわりのモヤモヤで お月様は涙をにじませる 今夜のお月様は赤いので きっと人影に隠れ泣いていて 目を腫らしているのだろう 今日は一日五月晴れ 風はそよそよと お月様を照らす お月様泣かないで 明日雨が降っても 傘をたたんで あなたを見つけるから
角を曲がるまで 2006-05-29 23:44:34 | 詩 4歩5歩と歩みを進めては 振り返る父 父に遅れて振り返り そのたびに手を振る母 角を曲がるまでの 永遠に近い間 いくつかの明かりも ぼやける二人の表情を 映し出してはくれない 今生の別れでもあるまいし 幼き記憶から ついさっきまでの出来事が ぽろぽろと涙となって 両の目から落ちる 見えるわけもないが 気付かれないように 大きく大きく 角を曲がりきるまで 二人に手を振る ずっとずっと一人ぼっちではなかったのだと 抱きしめられた 今日の日を 忘れない
また会えるかな 2006-05-25 23:44:46 | 詩 また会えるかな また会えるかな ほんの少し交わした言葉 ほんの少し触れ合った時間 また会えるかな また会えるかな 一度か二度見つめ合ったその瞳が すべてを奪い 金縛りのように心を離してくれない また会えるかな また会いたいな
マグマ 2006-05-23 23:30:06 | 詩 顔を真っ赤にして 奥歯を食いしばり この目から落ちそうになる涙を ぐぐっと喉の奥に押し込めて 拳に握り締めた 悔しい思い 悔しさが私を奮い立たせる 何度この思いを 胸に閉じ込めただろう 何度あの涙を 呑み込んだだろう 悔しかった分 幸せになれ マグマのようなこの感情を 与えてくれた人を 追い越すくらい 幸せになれ そうなれるまで 絶対に根をあげるな 絶対に投げ出すな 絶対に諦めるな
スケッチブック 2006-05-23 00:52:18 | 詩 目を閉じると 広がる世界 あたたかくて 優しくて 口元が少し緩むような そよ風のような 姿を露わにする花の傍らで 息を潜めるような くだらないイライラや 小さな小さなプライドを 忘れていいよと言われたような この脳裏に焼きつく世界を みんなに伝えられたらいいのに 世界中のみんなに 伝えることが出来たらいいのに
どうせ 2006-05-23 00:45:56 | 詩 知っている ほんの少し口癖になっている 「どうせ」が いつでもこの胸の中に 潜んでいること 知っている 「どうせ」をかき消すように 大丈夫っていつも 言い聞かせていること 知っている 言い聞かせるたびに 「どうせ」は大きくなって 追いかけてくること それでも もっと強く大きな声で 叫んで言い聞かせる もう後には引かないから もう自分を閉じ込めることは やめたから
わたしにないもの 2006-05-21 00:29:47 | 詩 太陽にあって ひとにないもの 月にあって ひとにないもの 山にあって ひとにないもの 桜の木にあって ひとにないもの あのひとにあって わたしにないもの 生きる力 明日を歩き出す脚力 探し物は 明日になったら 見つかるかもしれない あのひとが知ってること わたしにないもの 勇気と名づけた また新しく生きる力
空 2006-05-21 00:25:13 | 詩 ねぇ どこへ行った時でも 一番最初に空を探してね ただ歩いていては 空が見えないの どの道からも 空は見上げた隙間を埋めるようにだけ この街では 空の事きっとみんな忘れてしまっているの 立ち止まって真上を見上げないと 空に気付かないの 泣いている 空は泣いている 僕がつくった大地なのにって 僕がつくった花たちなのにって みんな みんな 僕が君たちにオクリトドケタノニって