蜥蜴のツボ

ひねくれ者の独り言

角を曲がるまで

2006-05-29 23:44:34 | 
 4歩5歩と歩みを進めては
 振り返る父
 父に遅れて振り返り
 そのたびに手を振る母

 角を曲がるまでの
 永遠に近い間
 いくつかの明かりも
 ぼやける二人の表情を
 映し出してはくれない

 今生の別れでもあるまいし

 幼き記憶から
 ついさっきまでの出来事が
 ぽろぽろと涙となって
 両の目から落ちる
 
 見えるわけもないが
 気付かれないように
 大きく大きく
 角を曲がりきるまで
 二人に手を振る

 ずっとずっと一人ぼっちではなかったのだと
 抱きしめられた
 今日の日を
 忘れない