【新しい政府を作ってダム撤去】【矢作ダム緊急放流】矢作川における平成12年9月「東海豪雨」の影響 田中 蕃
矢作川の東海豪雨での緊急放流は、平成12年(2000年)9月11日から12日にかけて発生した東海豪雨の際、矢作ダムで初めて実施されました. この豪雨では、矢作ダムの貯水池への流入量が増加し、ダムから水があふれてしまう可能性がある緊急時に、下流域への洪水被害を避けるために、緊急放流が行われました.
東海豪雨における矢作川関連の死者は、東海地方全体で10名、うち矢作川水系は3名とされています。これは、平成12年9月11日夜に発生した、記録的な大雨によるものです。
矢作川における平成12年9月「東海豪雨」の影響
田中 蕃
はじめに
去る平成12年9月11日夜半から12日未明にかけて,
愛知県下に未曾有の集中豪雨が発生した.それによる被
害も甚大であったことから,この集中豪雨に対して気象
庁はとくに「東海豪雨」の名称を付し,災害の歴史に長
く刻みこまれることになった.隣接する岐阜県では,東
濃地方(恵那郡南部)の矢作川源流部付近にのみ限定的
に被害が出たことから,県は災害に対して「恵けい南なん豪雨災
害」と命名している.また長野県下伊那郡でも,矢作川
源流部の平谷・根羽両村
去る平成12年9月11日夜半から12日未明にかけて,
愛知県下に未曾有の集中豪雨が発生した.それによる被
害も甚大であったことから,この集中豪雨に対して気象
庁はとくに「東海豪雨」の名称を付し,災害の歴史に長
く刻みこまれることになった.隣接する岐阜県では,東
濃地方(恵那郡南部)の矢作川源流部付近にのみ限定的
に被害が出たことから,県は災害に対して「恵けい南なん豪雨災
害」と命名している.また長野県下伊那郡でも,矢作川
源流部の平谷・根羽両村
において顕著な増水があり,実
被害も出ているがその程度は他地域より比較的軽微で,
とくに命名されていない.しかしこれら愛知県外の被害
は軽重を問わず,いずれも「矢作川」の上流域に属する
地域で,下流の矢作川流域地帯に連帯的に影響を及ぼし
たことにおいて,当然関心の対象となる.
豊田市矢作川研究所では,研究対象である矢作川の状
況変化には,事の大小を問わず無関心では有り得ない.
この豪雨(以下地域にかかわらず東海豪雨と記す)は,
日常的な状態からは想起できない矢作川に関する諸々の
問題点を浮き彫りにした.未曾有の豪雨災害の記憶を風
被害も出ているがその程度は他地域より比較的軽微で,
とくに命名されていない.しかしこれら愛知県外の被害
は軽重を問わず,いずれも「矢作川」の上流域に属する
地域で,下流の矢作川流域地帯に連帯的に影響を及ぼし
たことにおいて,当然関心の対象となる.
豊田市矢作川研究所では,研究対象である矢作川の状
況変化には,事の大小を問わず無関心では有り得ない.
この豪雨(以下地域にかかわらず東海豪雨と記す)は,
日常的な状態からは想起できない矢作川に関する諸々の
問題点を浮き彫りにした.未曾有の豪雨災害の記憶を風
化させないために記録にとどめるのは,当研究所の責務
であろう.またそこから川との付合い方を考え,研究活
動を後世に伝える又とない機会でもあると考える.そう
した観点から,ここに東海豪雨の特集ページを設け,記
録を残しておくことにした.
本稿は東海豪雨特集の冒頭に当たるので,幅広く概要
的な事項を扱ってみた.豪雨に関する気象条件や降雨の
規模と被災地域はもちろん,災害の状況やその原因,被
災住民の挙動,ダムの功罪,山地森林の構造,災害復旧
の現実と問題点などについて,とくに矢作川流域におけ
る概要的事項を記すものである.詳しくは参考資料や文
献を見ていただくことを希望する.なお当研究所にかか
わりのある矢作川流域研究者が,各々の視点でとくに関
心を持って調査した課題のうち明らかとなった部分につ
いては,それぞれの立場で本特集ページの中で詳細にの
べているので,これを見ていただきたい.なお,生物へ
の影響に関しては,まだ寄稿がない.豪雨前後の比較デー
タの照合とまとめに手間取っているためで,決して無関
であろう.またそこから川との付合い方を考え,研究活
動を後世に伝える又とない機会でもあると考える.そう
した観点から,ここに東海豪雨の特集ページを設け,記
録を残しておくことにした.
本稿は東海豪雨特集の冒頭に当たるので,幅広く概要
的な事項を扱ってみた.豪雨に関する気象条件や降雨の
規模と被災地域はもちろん,災害の状況やその原因,被
災住民の挙動,ダムの功罪,山地森林の構造,災害復旧
の現実と問題点などについて,とくに矢作川流域におけ
る概要的事項を記すものである.詳しくは参考資料や文
献を見ていただくことを希望する.なお当研究所にかか
わりのある矢作川流域研究者が,各々の視点でとくに関
心を持って調査した課題のうち明らかとなった部分につ
いては,それぞれの立場で本特集ページの中で詳細にの
べているので,これを見ていただきたい.なお,生物へ
の影響に関しては,まだ寄稿がない.豪雨前後の比較デー
タの照合とまとめに手間取っているためで,決して無関
(一部)