生活保護の引き下げは違法か、最高裁で弁論 6月判決で統一判断へ:朝日新聞
米田優人
国が2013~15年に生活保護費を引き下げたのは違法だとして、当事者らが減額決定の取り消しなどを求めた2件の訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)は27日、原告側と被告側の意見を聞く弁論を開いた。
原告らが「生活は一段と苦しくなり、不安で息が詰まる。生活実態をわかってほしい」と訴えて結審した。判決は6月27日に指定された。
同種訴訟では、引き下げが違法だったかについての司法判断は割れており、最高裁は判決で統一判断を示す。
生活保護は、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を守るためにある。最高裁が引き下げを違法と判断すれば、国は減額分をさかのぼって払うなどの対応を迫られるとみられる。引き下げを進めた国の責任が問われることになる。
国は13~15年、食費や光熱費など日常生活に不可欠な「生活扶助」の基準額を、3年かけて平均6.5%、最大10%引き下げた。この引き下げで生活保護費は総額約670億円が削減された。
生活保護費を減額された当事者ら約1千人が、引き下げは恣意(しい)的だとして生存権を保障する憲法25条や生活保護法に違反していると訴えて14年以降に相次いで提訴した。