砂かけ金婆・1

独り暮らしで具合が悪いほどつらい気分はないと思っている

近くに商店街があったとしても外なんかに出たくない
冷蔵庫にすら行きたくないほど弱っているのに
どうするすべもない・・

具合が悪くなくても具合が悪くなる状況だわね・・・

だから出かけたのよ

テキは相当弱気で道順を電話口でもごもご伝え
でも・・来なくてもいいとかなんとか・・・

ふん！へんなとこに意地張ってさぁ～へんなとこに甘えるから駄目なんじゃん
トンチンカンだったらありゃしない！

始めて降りる駅の交番で道を尋ねる
商店街をまっすぐ行って突き当たりを右
ずっと歩いて十字路を右・・坂道降りたとこ！気をつけて行ってらっしゃい
親切な感じのよいおまわりさんだ♪

目印の　ほにゃらら中学校を目指す

良い街ねぇ～

丁寧によく使い込んだ家具のようだわ・・
美しく丹精に磨きがかかってみえる町並み
古いけれど清潔で質素でいて充分に満ち足りている

どこの店もきちんと品よく誠実な店主のセンスと心意気が伝わってくる
ステキに気に入ったわ

八百屋さんで果物と野菜、パン屋さんでマドレーヌ、
花屋さんで春の趣たっぷりのちいさなブーケ

弱っている彼女の好みを思い浮かべつつ
お店を楽しみながらあれこれ買い求め
十字路に差し掛かったところで昔ながらの威勢の良い魚屋さんがあったので
奮発して上等の赤貝を購入
満足して店を出たらハテ？五差路？！
どっちだっけ？とりあえず100％地元っぽいヒトに道を確認しよう

そう思ってきょろきょろする間もなく
ひとり超目立つヒトが少し先に居る
銀色の釜みたいな兜みたいなアタマがやたらに目立つ3頭身くらいのおばあさん？

150ｃｍ足らずの身長でグレーのジャージ？みたいな服
まるっきり砂かけ婆なんだけど、とにかく髪が多い！！！
足柄山の金太郎もしくは白川郷のかやぶき屋根位のボリュウムのおかっぱの
光沢のないグレーの髪

ちょっと用心したい気もあったけど
でもやっぱりこのヒト！このヒトに聞こう♪

「すみません！ほにゃらら中学はどこですか？」