山から降りて来た人は
みんな胸を大きく張って
ゆったりしている
どの顔も明るくかがやいて見える
なぜだろう

ぼくは今度山に登ってそれがわかった
頂上から眺めると
となりの村が見える
その向こうの町が見える 町の向こうに
はてしない海が広がって見える
そしてぼくの村のなんと小さなこと
あの手のひらのようなところで
ぼくらはつまらないことにおこったりすねたり
喜んだり悲しんだりしていたのだ
それがなんだかばかげたことのように思えてくるのだ
そして希望で胸がぐんとふくらんでくるのだ
太い鉄でも飲みこんだように
どっかり腹もすわってくるのだ
山から降りて来た人は
(ぼくもきっとそうににがいない)
ちょっとのことにはゆるがない
明るい顔でいつもにこにこ笑っている
原田 直友
「清水あふれるところ」国文社より
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疲れない登り方の実践訓練のつもりで、やはり疲れず楽々?で、登って降りて来れました!!