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めるつばうのおもうこと

めるつはミーム機械としてばうを目指します。

脳病院へまゐります。

2007-07-25 10:39:29 | book
若合春侑。
ゼームス坂には今でも檸檬の碑が立っている。智恵子が入院していたという
ゼームス坂病院の跡地はなんということもない民家の一角にある。

そして「脳病院へまゐります。」という。目指すはゼームス坂病院。
旧仮名遣いは特に苦にはならない。おそらく、倉橋由美子のせいだろう。
個人的には倉橋の文章のほうが洗練されているとおもう。

おまへさま。嗜虐の徒。魂に高貴も俗もない。セリーヌはそういう。
遺伝子の同位性ってこのころにあっただろうか?
同じ魂で出来ている。だから今生で添い遂げられなくても
来世でという。しかし主人公はどんなに苦しくとも今生を選ぶ。
谷崎を敬愛するおまへさま。谷崎はここまで過激な嗜虐は書かなかっただろう。
マゾッホに近いか、ミルボーあたりに近く感じる。
救いなどいらない。救いは被虐の中にしかない。
ただ、この主人公には被虐に対する嗜好はない。
ただただ、おまへさまへ傾倒する、のめり込む、沈み込むその気持ちだけ。
河野多恵子っぽいのだろうか。
女性が書いているからこそかもしれない。
そういった意味では男性の描くものはどこかに自分を正当化しようとか
理屈をつけようとかしている感があるが、女性の書くものは
そこに立脚点はなく、”好き”か"嫌い”かが基本ロジックになるだろう。

私の魂の方羽はすでに失って久しく、そういった意味ではたとえ嗜虐者で
あろうと目の前に現存するのはやはりすばらしいことのように思えた。


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