例によって、小布施よりお取り寄せ。栗あんがぎっしり。
若い頃は、スイーツといえば、ケーキに決まっていた。
父が甘党、それも、ようかんなど、一切れじゃなく、一本単位にたいらげるほどの豪傑。
そんなウチなので、もなかは大抵いただき物で、茶箪笥の中にあった。
ある程度のおとなになったら、そこそこの質の緑茶ともなか、それが、
絵に描いたような幸せ、定番の小道具と言える。
で、当時のお気に入りは、鶴屋八幡の〝有磯〟、
主力商品〝百楽〟は粒あんの詰まった四角いもなかだったが、わたしはむしろ、
こしあんの〝有磯〟の、丸い外見どうりの、とろけるようなまろやかさが、何より好物だった。
親子二代の甘党は盤石で、生来おやつをいただかない夫をも巻き込んで、
昭和のモノクロ映画の中の老夫婦、を気取っている。