母が介護施設にお世話になって、4ヶ月になった。
仲良し以上の母娘なので、
「仕方なかった」と、人知れず納得しつつ、複雑な思いの日々。
入所者さんたちとの、袖擦れ合う交流を願いながら、
まあ、彼女のことだから、うまくやっていける筈、
と敢えて、つかず離れずを保ってきた。
が、先日の一件以来、
家族の来訪が入所者に安らぎをもたらす、
みたいな、オススメもあって、頻繁に訪ねている。
が、どうだろうか、
「早うお帰り」
「もう来なくていいから」と、素気ない無愛想ぶり。
どうやら、他の入所者さんの気持ちを思いやって、必要以上に、
家族に淡々としている、とも窺える。
娘たちに迷惑をかけないよう、母なりに自立を図ってくれてもいるのだ。
「わたしは、死ぬまで此処にいるの?」と、たぶん、勇気を出してだろう、
尋ねかける。
「うちへ帰る?」ときくと、
「いや、此処がいい」。
問題行動が発現した時、主治医先生やスタッフは、入所に伴う、
“家族からの疎外感”を原因とみているらしい。
違うと思う。
新しい環境に慣れることを、自分に課して、
それがいちばん、と、保てる力を振り絞ってさいごの決断。
昔と変わらず、強い母が戻ってきた。
暇乞いする際、明るく手を振ってくれるのは、いつものこと。
だから今日も、わたしは駅前のカフェに寄り道する。
チョコレートケーキを、苦いコーヒーでいただく、ビターの効いた午後・・・。