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弓道日記

弓道稽古の過程で教わったこと、気づいたことなどをまとめていきたいと思います。

「霊箭~阿波研造物語」

2006-10-28 23:17:27 | Weblog
ちょっといつもと違う感じですが、いつかブログのネタにしようと思っていたのがありましたので、ここらで書いてみましょう。「霊箭~阿波研造物語」(馬見塚昭久)という小説があります。これは今年の8月頃にamazonで購入したのですが、自分が知る限り唯一の弓道をテーマにした歴史小説です。「日本の弓術」(オイゲン・ヘリゲル)も小説に近いですが、純粋に歴史小説といえるのはこれだけでしょう。で、この小説、非常に面白いです。歴史小説好きで池波正太郎や司馬遼太郎、吉川英治、山田風太郎(歴史小説ではないか)などいろいろ読んでいますが、それらにも匹敵するほどの小説です。

この小説の主人公は大正時代の名人、阿波研造範士です。日置流雪荷派の免許皆伝を受けた後、後に本多流と呼ばれる独自の弓道理論を確立した日置流竹林派の伝承者本多利実に師事し、晩年には大射道教という独自の流派を立ち上げた日本弓道界の巨人、弓道をヨーロッパに紹介したドイツの哲学者オイゲン・ヘリゲルの師として知られる人物です。この人の名前は「弓道教本」にも出てきますが、自分がこの人のことを知ったのは前述の「日本の弓術」です。この「日本の弓術」で描かれているのは壮年期の厳しい師匠としての阿波範士ですが、やはりなんと言っても強烈な印象を残すのはヘリゲルに未発先中を理解させるため、夜中の道場にヘリゲルを呼び出し、安土の的の前に線香を点しただけの真っ暗な道場から一手の矢を放ち、甲矢は正鵠(星的の黒点)を射抜き、乙矢は甲矢の筈に中って箆を引き裂いたという驚愕のエピソードです。このエピソードはヘリゲルの「日本の弓術」や「弓と禅」でも紹介されていますが、この「霊箭」ではよりドラマティックに描かれています。

またそのほかにも、阿波研造の幼少時代、漢学を学ぶところから弓射への興味を持つエピソード、日置流雪荷派の師木村辰五郎時隆から伝え聞いた日置弾正正次の「飛貫中の悟り」(誰にも真似の出来ない鋭い矢飛び、貫徹力、的中の秘密を究めること)、推定80キロ?の強弓、ランプの火屋を射抜く下りや射裡見性の瞬間など、興味をそそられるエピソードが満載です♪

こういうの読んでいるとなんかうずうずしてくるというか、「よ~し俺もやるぞ~」みたいな気分になってきますよね☆特に、個人的に影響を受けたのは弓の話。やっぱり、強い弓引きたいですね!今伸びの16キロ使っているのですが、いずれは20キロ位のグラス弓引きたい!!学生の頃は「自分じゃ無理だよな~」と思って並の15キロを使っていたのですが、最近は「なんとかなるかも☆」とか思い始めているんですよね。無謀かも知れないですけど。やはり強い弓には憧憬の念を禁じ得ません。が、お世話になっている方々にこの話をすると「止めとけ~」と口を揃えて言われてしまいます(^^;)確かにね、今はゴム弓使っても大三から引き分けでプルプル震えてしまい、どうにも力が抜けない状態・・・なので今は無理かも知れませんが、もうちょっと上手になったら、もうちょっと会が深くなって、手先ではなく身体を使って弓を引くことが出来るようになったら、そのときは直心の伸び20キロを買いましょう♪♪これを目標に頑張りたいです!!




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2 コメント

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強弓願望について (正射必中)
2006-11-01 19:51:27
確かにしっかりした会で、20Kの弓を大離れで発に至った射は、見ているものにも感動を与えるでしょう。
 しかし、私は、強弓願望は賛成できません。肩を壊したりした人を知っています。
 中学生の女子が10Kくらいの弓で矢勢がある射をすれば、はたまた、20代の男子が20Kの弓で山なりの矢飛び。どちらが正射か?教本にある「二張の弓を肩入れできる程度」を試してみてはいかがですか?
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ありがとうございます (mayutti_vv@author)
2006-11-02 00:38:43
 コメントありがとうございます。また貴重なアドバイスありがとうございます。
 正射必中さんの仰る通り弓道教本にも「自己の体力相応の力の弓を使用しなければならない」(「弓道教本第一巻射法篇」)とあり、また「身に余る強弓を用いることは…技のほどこしようも無いわけである。だから技の進まないものが強弓を用いることは、労多くして益のないことである。」(「弓道教本第二巻射技篇」)とあります。まさに自分のことを言われているようでツラいのですが、このことはよく心にとどめなければなりません。また何度か練習をご一緒させて頂いた、本年も国体に出場された射手の方がおられるのですが、この方は「中学生から使っています」という15キロの弓で的中のみならず素晴らしい矢飛びを体現されていました。また自分が私淑する稲垣源四郎先生は生前10キロの弓でも並の射手が15キロの弓を用いた以上の矢飛びであったと聞いたこともあります。やはり手の内その他「正射」を身につければ自ずと矢飛びも得られるものと思います。
 しかし、実は先日大会を見学した帰りに弓具店によって20キロの弓を注文してしまいました。弓具店で素引きなりしてみて様子をみてから検討しようかと思っていたのですが、実際弓具店に置いてある弓は最大でも17キロ程度であり、注文しなければ入手困難であったこと、そしてなにより自分自身がどうしても欲しかったこともあり、直心Ⅱ伸びの20キロを注文するに至りました。まだ手元にはありませんが、遠からず入手することになります。
 幸いにも、今自分には素晴らしい師範の先生がおり、またその他にもアドバイスをいただける先生方や先輩方が多くいる恵まれた環境にいます。なのでこの方々のアドバイスも参考にし、実際に引いてみて無理なようなら引けるようになるまで封印する覚悟で、この弓と向かい合いたいと思います。
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