ごごのつぶやき

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たいていは山田規三生九段のコト。

道頓堀交遊録~中野寛也九段編

2005-07-03 21:12:13 | 道頓堀(とんぼり)交遊録

中野寛也九段、NHK杯大勝利記念!
規三生くんのエッセイ「道頓堀交遊録」から、今回は規三生くんの仲良しさん、中野寛也九段のエピソードを紹介しまーす!

「碁ワールド」1999年11月掲載分です。

では、どーぞ

        

 「鍋」と聞くと、わたしはある人を思い出します。その方は中部総本部所属、N・H九段の奥さん。
 数年前の冬、Nさんの自宅にお邪魔したときのことです。
 「まあ、はじめまして。ゆっくりしていってください」
 こんなうれしい言葉をかけてくれるのは、もちろん奥さん。反対にNさんは、「オイラの愛の巣をノゾキに来やがって」というような顔をして、ご機嫌ナナメ…。
 三十分もしないうちに、グツグツいってる大きな土鍋を奥さんが運んできてくれました。
 「うちは誰か来たらキムチ鍋と決めている。食ってみろ、そんじょそこらの居酒屋とは比べ物にならないから」
 Nさんは自信満々。
 そう、本当においしかった!結婚なんてそれまで考えたこともなかったのに、その夜は無性にさみしくなりました。

 さて、ついでだから今月はNさんの秘密を暴いてしまいましょう。
 先日、三星杯で韓国へいったときのこと、対局中日に総勢七人でゴルフに出掛けました。先月も触れましたがわたしは初心者、はなからブービー賞狙いです。
 スタート前、それぞれがスイングチェック。
 「ふむふむ…、グリップはこうで、腰の回転で打つ。よし完璧だ。100は切れそうだな」
 Nさんのこんなひとり言を、わたしは聞いてしまいました。たしかに、ボールを打たないスイングはプロ並みでした。
 いよいよスタート。…あれ、おかしいなあ…。わたしは18ホールを120台でホールアウト。これじゃブービーどころかビリだなあ…。
 打ちあげの席で表彰式。
 「ブービー賞はキミオです」
 へー、わたしより叩いたやつがいたんだと思っていると、なんとそれはプロ並みのスイングを見せつけていたNさんでした。
 「100を切る」と言っていたひとり言はわたしの聞き間違いだったのか、ハーフ(9ホール)90台のスコアでした。
 でも、Nさんは落ち込んだりしません、おいしい料理とお酒に囲まれた中でさっそくスイングチェック。
 N「どこがおかしいのかな?」
 A「脇をもっと締めろ!」
 N「あっ、思い出した!そうかそうか、いつも練習ではこう打っていたな!」
 約三分で反省会は終了。奥さんにしか見せないような笑顔が印象的でした。
 初日で負けてしまったNさんは翌日も手合がありません。反省会の成果を確かめるべくNさんはさっそうとゴルフ場へ出掛けたそうです。
 夕食の時、一緒に回ったAさんに聞いてみました。
(中略)
 Aさんによれば、(中略)
「ゴルフ始めて2ヶ月、コースは初めてだったらしいよ。ずいぶん強気だよね」

 その夜遅く、電話をしているNさんを見かけました。うなだれて口数も少なく、ペコペコ頭を下げています。
 Nさんは電話を切ったあと、わたしの視線に気が付きました。
 「うっかりカミさんに、今日もゴルフしたこといっちゃった…。おこづかい減らすって…。」
 あの強気なNさんはどこへいってしまったのでしょう?奥さんの前だけ見せる謙虚さをゴルフにも向けたら、100を切るなんて簡単だと思うのですが…。


拝啓 中野寛也様
 料理上手な奥さんでうらやましいです。きれいだし…。おこづかい減らされたのは自業自得でしょう。誰も同情しないと思いますよ。また遊びに行きます。
 追伸・奥様へ
 未確認情報ですが、旦那さんは韓国で計3ラウンド回った疑惑があります。とっちめてやってください。情報料はキムチ鍋でお願いします。

         

中野九段の方が2、3歳年上だったと思うんだけど。
完全にいじめっこキャラの規三生くんと、強気でかわいい中野九段のコンビ。
中野九段って中学生か高校生くらいのお子さんがいたと思うんだけど、見た目かわいいよね、童顔っていうか。