ごごのつぶやき

囲碁入門者のちょびの今のお気に入り。
たいていは山田規三生九段のコト。

道頓堀交遊録~石井邦生編

2006-07-05 22:22:35 | 道頓堀(とんぼり)交遊録
昨日書いた、コレに登場するキミオくんをしかっていた院生師範とは、今や井山裕太七段の師匠として有名な石井邦生先生ですね。

キミオくんのエッセイ「道頓堀交遊録」にその石井先生のことも書いておられます。

「碁ワールド」2000年1月号からです。

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これまで5人の棋士を「餌食」にしてきたせいか、どうもわたしの回りにはピリピリした空気が漂うようになってきました。
「いつかキミオのあのページを乗っ取って、ヤツの秘密を暴いてやる」と豪語する輩も出てくる始末。

それは困ります。
で、今月は先手をうって、懺悔することにしました。

みなさん、1999年はどんな年だったでしょうか?
ぼくはちょっとだらしなかった。いえ、かなりかな?
手合いはなんだか、いつも負けていたような気がします。
竜星戦では、初優勝できましたが、次期の予選で早々に敗退…。
嬉しさも中くらい、ですねえ。

うーん、碁の話をしても面白くありませんね。
品行方正なぼくには、あんまり問題行動はないんですよねえ…。

今でこそ「紳士キミオ」と呼ばれているぼくも、やはり少年時代はそれ相当に暴れていました。
この歳になっても忘れられない出来事がいくつかあります。
みんな話してしまうと色々な方面にご迷惑がかかるので、ここでは二つだけ白状します。

ぼくがまだ院生のころ、小学4年生のときです。
とにかく落ち着きがありませんでした。
学校が終わってすぐに関西総本部の道場へ通い、暗くなるまで碁の勉強。
こんな日々が続いて、喜ぶ子供はいないはずです。

それでぼくは何をやらかしたか?
みなさんも身に覚えがあるでしょう。
「落書き」です。

「○○くんのアホ!」
「○○さんのマヌケ!」

クレヨンを持参して書きまくりました。
車や富士山の絵もがんばって描きました。
えっ、どこにですって?

少年キミオは人目につかないことろに落書きをするほど、暗い人物ではありません。
もちろん堂々と、道場の壁一面にしたためました。
「みんな驚くだろうなあ。面白がってくれるだろうなあ」と期待していたのはいうまでもありません。
しかし待っていたのは、大きな大きなカミナリでした。

「明日からくるな!」
と、院生師範から一言。
つまり謹慎処分です。

当然ですよね、今考えれば。
でもここからが本題。

「フン!一生懸命書いたのに。芸術の分からない先生だな」
とぼくは事の重大さにまだ気付いていませんでした。
そして院生仲間からこう告げられ、愕然とします。

「I先生、泣いていたよ」
……。
人を泣かしてしまった。それも大の大人を。
親だって泣かしたことがないのに……。

十歳にして初めて、ぼくは反省しました。

「もうイタズラはやめよう。I先生のためにも絶対プロになるんだ。謹慎が解けたらすぐにI先生に謝りに行こう」
我ながら、けなげです。
みなさんも涙が出てくるでしょう。

そして1ヶ月後、ようやく謹慎解除。
久しぶりに道場へ入ると、なんだか雰囲気が違います。
ぼくが落書きをする前から汚れていた壁紙、ものすごくきれいになっています。
そこでぼくは何を思ったか、みなさん想像できますか?

「老朽化が進んでいたからな。ぼくの落書きはいい機会だったかもしれない。I先生もきれいになって喜んでいるはずだ。謝らなくてもいいや」

三つ子の魂、百まで。
そのときぼくは、ことわざをひとつ覚えました。

I先生にはそれからも大変お世話になっています。
いつも笑顔を絶やさず、アマチュア指導も人気があります。
碁だって強い。
本当にぼくは尊敬しています。

2,3年前、囲碁まつりで公開対局がありました。
ぼくは公式戦さながらに、気合タップリに打っていました。
でも、解説を担当していたI先生はアマチュアの方のために、猛烈なリップサービスを始めました。

「ここに打つようじゃ、キミオもまだまだ」
「キミオより、みなさんの方が強そうですな」

カチンときました。

終局後、対局者のぼくを交えて検討会。

I先生の質問をぼくは片っ端から玉砕しちゃいました。

あとから職員の方に言われました。
「言い過ぎだよ。涙目になっていたよ、I先生」

また泣かしてしまうところでした。
反省しています。

でもこれで、「三つ子の魂、百まで」が自信から確信に変わりました!?


拝啓 石井邦生様

その節は大変ご迷惑をおかけしました。
謝ろうと思ってはいるのですが、「魂」が邪魔しちゃって。
これからも遊んでください。

拝啓 読者のみなさま

文中に出てきた「紳士キミオ」の表現は誤りでした。
訂正してお詫びします……。

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はは、はははは…(乾笑)

昨夜の私の、
>キミオくんは、「あのころから」変わったのかなぁ?
の問いの答えははっきりしてますね
絶対!変わってない!!
だって、「三つ子の魂、百まで」ですから

いろいろ書きたいことは山ほどありますが
とにかく、全国のわんぱくぼーずのイタズラに悩むおかーさんたちに光を与えますね

ちなみに新築マンションの(もう新築とはいえないけど)リビングから廊下にかけて、壁一面、子供の落書きで目も当てられません…
我が家のヘタレ生意気ぼーず達も、キミオくんのように大成できるのかしらね
はぁ~

ふふ。
それにしても、キミオくんったら、石井先生にずいぶん甘えてるわよねと、
イタズラぼーずの成長に悩むかーさんは思ったのでした

道頓堀交遊録~佃亜紀子編

2006-02-09 23:59:01 | 道頓堀(とんぼり)交遊録
棋聖戦でしたね。
まだまだこれから盛り上がるのがこの二人の番碁じゃないかと思っておりやす。
BSの聞き手は佃アッコさん。

というわけで、「道頓堀交遊録」、佃亜紀子編です。

このシリーズ、最高の出来です。
間違いないです。
オモロイです。

「碁ワールド」1999年9月号から。

では、どーぞ^^

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先日、一人暮らしの我が家に立派な冷蔵庫が届きました。
私には買った覚えがありません。
しばらくして関西総本部のT・A三段が、
「はい、これが請求書。欲しいって言ってたよね。早く払ってね」。

Tさんの行動は想像がつきません。
今月はTさんの「ある一日」を紹介しましょう。

Tさんと出会ったのは私が小学校一年生のとき、もう二十年近く前になります。
大阪で子供教室の対抗戦があって、一学年上のTさんと初手合。
ちっとも強そうじゃなかったのに、私の2連敗。泣きたくなりました。

「メチャメチャ強いなあ。世の中、上には上がいるもんだ」
こんな真理にきづかせてくれたTさんが、それから半年の間、私の目標でした。

季節が変わり、再戦のときがやってきました。
「少年少女大阪府大会」がその舞台。
私は屈辱を果たし、1999年の現在までずっと勝っています。
エヘヘ、ちょっと自慢です。

Tさんの付き合いは、碁が半分、そしてお酒が半分です。
手合や研究会が終わると、「ちょっといく」が合言葉。
5,6人でぞろぞろトンボリを目指すのがパターンかな。

さて、本題に入りましょう。
そう、あれはTさんが命がけで取り組んだダイエットが、成功か失敗かを酒の肴にしたときのことです。
Tさん本人は、「あれは自然に痩せた」と言い張っていたのですが、誰が見ても大変身。
「よかったね」で話を終わらせておけば何事もなかったのに…。

悪夢の一日は、やはり手合が終わってから始まりました。
総勢6人で居酒屋の座敷にゆったり座り、最初はまじめに碁の話で1時間。
次に、当時不調だったTさんを励まして1時間。
ここまでは和やかでした。

そして草木も眠る丑三つ時…。
ある棋士が発した一言が、Tさんのピッチを異様に早めてしまったのです。
「調子悪いのは、ダイエットのせいじゃないの」

ああ、恐ろしや。
Tさんの前には氷だけ残ったグラスが次々に並んでいきます。
いつもはそんんあにお酒を飲まないTさん、案の定、しっかり出来あがってしまいました。

「仕方ない、みんなで担いで帰ろう。規三生の家が一番近いよね」
Tさんを背負う大役を私がつとめ、我が家の目の前まできたときです。
何かの拍子でふっとよろけたその瞬間、こけてしまったのです。
直後に私の耳に入ってきたのは、仲間4人の笑い声。
なんと背負っていたTさんが私の上に覆い被さり、すやすやと寝息を立てていたのです。

「う、動けん」
まるで金縛りにあったように、体がぴくりともしません。

「本当にダイエットしたのかな」と一瞬思いましたが、私はいまもこうして元気でいる。
きっと「成功」なのでしょう。

そしてまだ続きます。
眠ったままのTさんの呼吸がだんだん苦しそうになってきました。
じつは私にも経験があります。
胸を締め付けられるような息苦しさ、これは急性アルコール中毒の典型的な症状。
病院で点滴をうってもらえばすぐに楽になります。

再び担いで救急病院へ。
「すいませーん。お願いします」
と声をかけると、むすっとした顔のお医者さんが出てきました。
「お酒飲んでつぶれちゃったんですけど」
と説明すると、
「あー、アル中ね。あれ、おたく山田規三生さん?」
さっきとはうってかわって満面の笑み。
「趙治勲さんってそんなに強いの?この前の十段戦はどうだった?」などなど、
Tさんそっちのけで碁の話ばかり、
「あのー、そろそろ点滴をしてあげてもらえませんか」
10分くらいたってからそうやく治療に取り掛かってくれました。
「いまね、宿直の先生と碁を打っていたんですよ。…アリャッ、この人、T・Aさん?」

Tさんは私とお医者さんの会話を聞いていたのでしょう。
しっかりしたところを見せなくてはと、必至に叫びました。

「大丈夫ですぅ、点滴なんていりません。でも、打つなら100ccまでにしてください」

意味不明です。
なんで100ccまでなのか…。

「モチはモチ屋。それよりあなた、写真で見るより大分痩せているけど、無理なダイエットしたんじゃない。対局に差し障るよ」
お医者さんのこの一言で、Tさんの酔いはすっかり醒めたようです。


拝啓 佃亜紀子様
救急病院での傍若無人ぶりは、さすがに佃さんです。
碁もあの勢いでがんばってください。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□敬具

追伸 洗濯機とアイロンも欲しいのですが、自分で買いにいきます。
あまり気を使わないでください…。

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一言だけ。
私も若かりし頃、急性アルコール中毒やりました…
なはは

道頓堀交遊録~趙善津編

2006-01-16 12:31:01 | 道頓堀(とんぼり)交遊録
やっと。
やっと、この方の「とんぼり」が出せる時がきました

趙善津九段ですーー

「碁ワールド」2000年3月号からです。

ま、とりあえず読んでみそ


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昨年の一番大きなニュースといえば、みなさんは何をあげるでしょう?
東海村での恐ろしい事故もよーく覚えているのですが、明るい話題でいえば、宇多田ヒカルでしょう。
「多」と「田」がどちらが先かいつも迷います。…そんなことはどうでもいいですね。なんでもアルバムの売上げが過去最高を記録したとか。まさに「一家に一枚」状態、うらやましいなあ。

お母さんはクラーイ路線で売っていた藤圭子さん。
ぼくはあまり知らないのですが、みなさんは懐かしいでしょうね。
でも、ヒカルちゃんは百八十度逆。天真爛漫さが売りだとぼくは思います。記者会見での発言も、その辺のアイドルにはない「毒」を持っている雰囲気があります。

碁界ではなにが一番にふさわしいかな?
人それぞれでしょうが、ぼくはT・Sさんの本因坊奪取が大きな出来事だったと思います。

開幕前はひどかったですねえ。
「漁夫の利の、挑戦者だね」だとか「まあ、1勝できれば立派」などと、散々の前評判でしたっけ。

それがあれよあれよという間に勝っちゃった。
初めての番碁で、しかもあの趙治勲先生にですよ。

Tさんの性格、みなさんは知っていますか?どこの雑誌を見ても「好青年」くらいしか書いてないので、この際はっきりさせておきましょう。

「好青年」。…あやしい。
限りなく黒に近い、灰色とぼくはにらんでいます。
なぜなら、口が悪い!
彼の言葉に傷ついた仲間はかなりいます。
匿名で証言してもらいましょう。

―女流棋士、Y子さんの場合。
何人かの若手が集まって、食事をしていたときのことです。
男の子が多かったのでお酒も料理も、目が回るくらい出てきました。
私もおいしいものは大好きなので、がんばって食べていました。
そのときです。
「Y子ちゃんってよく食べるね。足らないんじゃない?」
Tさんはきっとからかっているんだと思い、「そんなことないですよー」と笑顔を返しました。
でも、Tさんは笑ってくれません。
対局しているかのような、真剣な顔でした。どうやら本気で心配していたようです。
周りにいた他のお客さんもニヤニヤしているし、結局そのあとはあまり食べられませんでした。

―男性棋士、Iくんの場合。
ぼくにはあだ名があります。
みんな親しみを込めて呼んでくれるので、悪い気は全くしません。
たとえ、たった一度真似をしただけで「昆虫」といわれ続けようとも…。
あー、それなのに。
Tさんと研究会で一緒になったとき、いきなりいわれました。
「きみ、昆虫ってあだ名なんだって?」
そのあと、じっとぼくの顔を見ていました。数秒後、こんな言葉を浴びせかけられました。
「そうでもないじゃない。そんなには似てないよ」
Tさんは真顔でした。
「そんなには」なんて…。
ぼくはショックでした。

―男性棋士、Sさんの場合。
ある合宿に参加して、ぼくはこっぴどく叱られました。
「おい、S!おまえぜんぜん強くなってないじゃないか!!」
尊敬している先生の厳しい言葉、落ち込みました。
でも、周りには仲間がいる。このときほど友人の大切さを感じたことはありません。
「おい、元気出せよ。どんな碁だったの?」
と、Tさん。
いい人だなあと思いました。
しばらく並べて、ぼくが怒鳴られた場面にさしかかると、真顔でこっちを向きました。
「そうだね。強くなってないか…」
まさか追い討ちをかけられるとは。
世の中の厳しさをこのとき学びました。

以上、3名の実話、いかがでしょう。
ポイントは「真顔」です。
そして3人とも、「怒るに怒れなかった」と口をそろえます。

そう、Tさんは真剣に考えて、思ったことを素直に口にしているだけなのです。
少なからず「毒」があるのはそのためでしょう。
裏返せば、ウソがない。
だからTさんを嫌う棋士は、ぼくが知る範囲では一人もいません。

限りなく黒に近い灰色をいいましたが、その灰色は「透明」なのかもしれませんね。
Tさんを囲碁界の宇多田ヒカルと思って、ぼくは暖かく見守ることにしています。


拝啓 趙善津様
口は災いのもと。気をつけてください。
宇多田ヒカルのCD、持っていますか?あなたの言葉とは正反対のきれいな詞ばかりです。
ぜひ参考にしてください。

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いやー、面白いんだけど、いろんな意味でドキドキしちゃって、出すタイミングあるのかな?もうお蔵入り?なんて思ってたんですよぉ
だって。
ソンジン先生のイメージがガタ落ちになりそうやし。
言っちゃなんだけど、キミオくんも負けないくらい「毒」ですよ
ヒトのこと言えません(キッパリ)
なんか、キミオくんに、いじわるイメージが定着しそう。

でも、「囲碁パラ」の焼肉座談会のおかげで出すことができました。
ありがとう、佐野さん。
ありがとう、千葉ロッテ。

高尾さんがソンジンさんのことを「口が悪い」と言った時、思わず心の中でガッツポーズしましたよー
その後、すかさず佐野さんが「自分でしょ?」って言ったのにはめっちゃうけました
確かにタカオさんも…
(なんか、囲碁界の人たちはみんな毒舌なのかしらね

でも、ソンジンさん。
心の中ではもっといろいろ思ってるのね
にゃは

道頓堀交遊録~柳時薫編

2005-12-20 22:24:43 | 道頓堀(とんぼり)交遊録
一昨日のNHK杯は、規三生くんの「ハァ」と「ポロッ」と「悶絶」ばかりに目がいってしまいましたが、柳先生もなかなか見所がありましたね。
「ストライプonストライプ」の胸元とか

いや、なんちゅうか、例えば、ダンナがあのスタイルで出勤しようとしたら、ちょっと待ったと言うと思うんだけど

でも、柳先生は似合ってる
なんだか、韓国の新進気鋭の政治家みたい
本人にパワーがあると、インパクトのあるスタイルが似合うというのかな?
(日本語がヘンですが、これ以上うまく表現できないので許して
逆にインパクトのあるスタイルが本人にパワーを与えるというのもあるそうですが。

で、またまた久々の『道頓堀交遊録』です 柳時薫九段編です

『碁ワールド』1999年10月号から。
では、どーぞ

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みなさん教えてください。
そうしたら碁が強くなれるでしょう?

わたくし、ここのところ勝てません。
このところじゃなく、久しく白星から遠ざかっている気がします。
特効薬かなにかご存知でしたら、ぜひご一報を。
本当に楽しみにしております……。

名人戦がいよいよ始まりますね。
挑戦者は依田紀基先生。
趙治勲先生は本因坊を無くしてもう負けたくない、依田さんは碁聖を失ったばかりで是が非でもタイトルが欲しいところ。
第七局までいくと見るのが一般的でしょうか。

まあ、真面目な話はこれくらいにして、今月は誰を餌食にしますかねえ。

では、東京本院所属、R・S七段にしましょう。
彼とぼくは、昔からよくつるんでいました。
ぼくがまだ大阪にいた頃は、手合で上京するたびに、彼の部屋に泊めてもらってました。
とても片付いた部屋だったのを覚えています。片付いたというより、あまり「物」が無かったというのが本当のところかな?

いつも前向きなのが、彼の長所です。
大きな手合で負けた時にも、
「(この悔しい思いは)いつか必ず役に立つ!」
といって、決してグチをこぼしません。
今回、名人戦の初挑戦を逃しましたが、落ち込んでいるという話はいっこうに聞こえてきません。
ぼくも見習わなければ……。

彼は大変な努力家。
だから一度はまると、ある程度極めなければ気がすまない性質です。
最近はゴルフに凝っています。
棋士は座ってばかりの生活が続くので、ゴルフ人気はかなり高いものがあります。
「ゴルフ教えてやる。碁の為になるから絶対やったほうがいいよ。じゃあ、明日朝9時に待ってるから。(ガチャン!)」

こちらの都合を無視した一方的な電話が、しょっちゅうかかってきます。
でも、「碁のためになる」のならと思い、眠い眼をこすりながら出かけてみました。

「おっす!キミオはゴルフ初めてだろ。基本はなあ、左肩なんだよ」
いきなり始まった「R・Sゴルフ教室」。
なかなか理論的で、少し見直しました。
そして一週間もしないうちに初ラウンド。
無謀ですよね。
ルールもマナーもよく分かってないのに……。

悪戦苦闘の4時間が過ぎ、なんとかホールアウト。
スコアは散々なものでした。
でも、ぼくの師匠であるRくんは、もっとたくさんたたいていました。

「まあこんなこともあるさ。いつか役に立つんだよ」
と、どこかで聞いたセリフ。やはり前向きです。
挙句の果てに、
「キミオとは、碁以外では負けるものは無いさ!」
と言い出す始末。
だってスコアはぼくのほうが良かったんですよ!

「ゴルフはなあ、碁の役に立つんだよ」
帰りぎわ、またまたこんなセリフが彼の口から。
ここでぼくはハッと我に返り、以来ゴルフとは疎遠になっています……。

「碁のためになる」
しばらく前にも言われていたのです。

そして彼のこの一言でぼくは「テレビゲーム」の虜になってしまいました。
「オレはテレビゲームのおかげでタイトル(天元位・平成6年)が取れたんだ」

なんて素敵なのでしょう。
楽しみながらも碁が強くなれる!
さっそく彼と一緒に秋葉原の電気街へ出かけ、即購入。
「ゲームの基本は左右の親指にある」なんて講釈を鵜呑みにし、没頭すること約半年。
ついに成果を発揮する機会がやってきました。
王立誠先生を挑戦者に迎えた、平成10年の王座戦初防衛戦です。

……、おかしいなあ……と思っているうちに、あっという間の3連敗。
防衛失敗です。

彼にグチをこぼしたくなりました。
でも言えません。
帰ってくる言葉は分かっていますから。
「いつかはきっと役に立つよ」
トホホ……。


拝啓 柳時薫様
ぼくの王座位、どこへいったのでしょうね?
いつか役に立つものより、今すぐ役に立つものが欲しい今日この頃です。
敬具


追伸 今、自動車免許取得に向けてがんばっているようですね。
その方面ではぼくが先輩です。
碁のためになるかどうかは、教えてあげません。
山田規三生


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今から6年前なんですねぇ

規三生くん、かわいいね

ゴルフでグローブをするのは左手なので、右手は日焼けしちゃいますから、テレビ棋戦見てたら、ゴルフをする棋士の先生はすぐ分かりますね!
(ゴルフって、右手の甲がやたら日焼けするような気がする)

規三生くんは真っ白デス

ぼくの王座位、どこへいったのでしょうね?って、王先生のところへいったんですよ…

道頓堀交遊録~孔令文編

2005-10-23 21:14:42 | 道頓堀(とんぼり)交遊録
久々です。
規三生くんのエッセイ、「道頓堀(とんぼり)交遊録」の4回め。

幽玄の間のプロ棋士ランキング戦の「気まぐれリレー日記」の孔4段の日記。
ベビーちゃん、めちゃかわゆかったですね。
リレー日記のトップに孔四段の日記があるうちに、うちもアップしたかったんだけど…。
こんな遅くなっちゃった

では、さっそく。
『碁ワールド』2000年4月号掲載、「道頓堀交遊録~孔令文編」です。
どぞー

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もうすぐプロ野球開幕ですね。
われらが阪神は野村克也体制になって二年目。ちょっとは上にいってほしいものです。

セ・リーグの振り子打法坪井、清原キラー藪、松井だけは抑える遠山、もうちょっと頭を使ってください新庄など、いい選手はたくさんいるのです。
でも、毎年4月から低位置、いや定位置で、梅雨が明ける前には阪神のペナントレースは終わっています。

昨年野村体制になってからは、はっきり変わりました。
継投策、走塁などこれまでの監督とは一味もふた味も違います。さすが名将と呼ばれるだけのことはありますね。
おっと、一つだけ心配がありました。それはヤクルトから移籍してきた野村克則。
しばらく前の長島一茂のようなものですよね。
親子で同じユニフォームを着るなんて、やりにくくないのでしょうか?
かわいさのあまり、実績もないのにいきなり一軍スタートなんていったら、ほかの選手が怒っちゃう…。

碁界にも二世棋士はたくさんいます。
でも、親がプロだから入段しやすいなんてことは絶対ありません。
とにかく、自分の力で勝って上へ行くしかない。そんな意味で碁界は気持ちいいですよね。

ぼくにはかわいい後輩がいます。
彼もトッププロを父に持つ、二世棋士。中国出身のK・R初段です。

ホント、かわいいですよ。弟みたいに。
でも、最初の印象は強烈でした。

もう3年くらい前になります。
ぼくが常連になっているある合宿に、Kくんが初めてやってきました。
ぼくの顔を見るなり、
「おまえ、だれだ?」

断っておきますが、初対面。
迫力に押され、つい敬語になってしまいました。

「山田ともうします」
「しってる。聞いたことある。おまえが山田か」

どこからどう見たって、彼のほうが年下です。
ちなみにこのとき彼は15歳。ぼくは24歳。

「打とうか?」
これ、ぼくじゃなく、Kくんの言葉。

えっ!
温厚なぼくも、カチンときました。
あっという間にアドレナリン大放出、普段の手合より気合が入りました。

しかし…。
言葉とは正反対な行動を彼はとりました。
パチ、パチ、パチ。
黒石の入った碁笥をたぐりよせ、なんと3子置いてきたのです!
そして、
「お願いします」
と、深々と一礼。

生意気なのか謙虚なのか。
ぼくの頭の中はパニック状態です。

謎の少年Kと、それからしばらく奇妙な関係が続きました。
どこで会っても、「こんにちは」と頭を下げてくる、とても気持ちのいいヤツ。
Kくんの本性を知りたくて、打ち込み制の早碁を打ったり、ご飯を食べるようになりました。

Kくんの意外な一面に気が付いたのは、いつものように食事を終えたあと。
伝票を持ってレジにいこうとすると、
「山田さん、消費税入れて○○○○円。ごちそうさま」

「ごちそうさま」の一言に驚いたのではありません。
Kくんの計算、ピッタリ合っていたのです。
一の位までドンピシャリで。

みなさん、数学オリンピックって知っていますか?
数学の教師だって分からないような難問に挑戦する大会だそうで、
Kくんはなんと、腰抜かさないでくださいよ。
北京で2位になった経験があるのです。

鉄のゴールキーパーと呼ばれた父(聶衛平九段)を父に持つ、数学の天才少年として、北京では超有名人。
黄色い声が飛び交うこともあるそうで、なんともうらやましい。
うーん、彼の謎は深まるばかりです。

そんな彼も、ときには悩むこともあります。
入段直後はあまり成績がパッとしませんでした。
でも、なんで勝てないのかなんて、ありきたりなものではありません。

「中国の報道の人がね、帰ってきたほうがいいっていうんだ。なんか碁より数学の方が向いてると言いたげな表情で」

Kくんはその後がんばりました。
ぼくとの早碁の回数もグンと増え、以前のように打ち込めなくなりました。
柳(時薫)くんも、
「向先で負けちゃった。彼、ずいぶん強くなったね」
と驚いています。

いまでは日本語もすっかり上達して
「おまえ、だれだ」から、「あなたはどちらさまでしょう」へ大変身。
そう出会った頃の彼は、単語をつなげるだけで精一杯だったのです。

最初に印象が悪いと、あとはよくなるだけ。
数学が得意なだけにそれも計算だったのかな。
もうちょっと観察してみます。


拝啓 孔令文様

あれだけ計算できるのなら、ヨセは完璧だよね。
なにかコツがあるのなら教えてください。
数学とヨセがちんぷんかんぷんなアニキより。

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数学オリンピックって…。
孔せんせ、意外な一面。

それでは、いつものようにいろいろツッコミいれてみましょうか

>温厚なぼくも、カチンときました。
>あっという間にアドレナリン大放出、普段の手合より気合が入りました。

えと。温厚ってのは??
いや、たしかに温厚そうなんですが…、普通、自分で言う?
シャレなのかな?本当はそうは思ってないけど…、みたいな?
この回を読んだ時、この「温厚」に一番ひっかかってしまったんですよねぇ。
だって、「温厚」だとしてでもですよ!
「普段の手合より気合が入りました」って、普段からもっと気合入れていけよー!とファンなら言いたくなるでしょ
もー 
ま、これが規三生くんなのよね…
いい加減、なれなくちゃね、私。

あの。
もういっこ、あるんですが…。
あんまり書いてもなんなんですが…。
…かわいい弟に、先越されちゃったね、けっこん
ごめん。書いちゃった

話は変わって(強引に)
阪神は昨日、今日と気持ちいいほどの負けっぷりですね。
私は(現在は)野球に大して興味ないんですけど、井川はなんとなく応援してるので、昨日は勝って欲しかったなぁ。

道頓堀交遊録~小林覚編

2005-08-10 23:33:30 | 道頓堀(とんぼり)交遊録
規三生くんのエッセイ、道頓堀交遊録も3回目です。

今回は名人戦挑戦者決定記念、小林覚九段編です!
碁ワールド、1999年12月号掲載です。

では、どぞー



 もてる男ともてない男。みなさんはどちらがいいですか?もちろん女性にキャーキャーいわれる人生を過ごしてみたいですよね。
 どうしたら女性をひきつけられるか。ぼくは一度、真面目に考えたことがあります。本もたくさん読みました。
 (中略)
 でも、ぼくに強力なフェロモンがあるかどうかははなはだ疑問。それに調べようもありません。
 ……ぼくのフェロモン人生は夢のまた夢なのかとあきらめかけたとき、はたと気が付きました。いたいた!フェロモンを発散しまくっている棋士が!
 そして、この人についていけば完璧だ、との結論に達しました。
 K・S九段、四十歳。ずっと第一線で戦っているトッププロといえばすぐに分かるはずです。
 Kさんのモテモテぶりは尋常ではありません。タイトル戦に出れば、「わたし、碁はちっとも分かりませんが、がんばってくださいね」なんて葉書が棋院の編集部にわんさか届くそうです。

 Kさんにはよく飲みに連れて行ってもらいます。よくある居酒屋から、ちょっと高そうな女の子の居る店まで。自分が師匠と決めたのですから、どんなときでもついていきます。

 では、ぼくがKさんから学んだ、いや、盗んだ、もてる男になるためのテクニック三ヵ条を披露しましょう。

 1.家族の自慢をする
 Kさんはお酒が回ってくると、かならずノロケ話を始めます。
 「女房には感謝している。あいつかいなかったらオイラはどうなっていたことか…(ため息)」
 最後のため息が大切です。たった一つのため息が、真実味を大きく膨らませます。 そして締めは子供の話。
 「毎晩眼の中に入れて寝ている。痛くないよ(笑)」
 冷静に分析すると、なんともつまらないジョークですが、よき夫、よき父のイメージは完璧に植え付けられます。ぼくはまだ独り者なので、活用するのはまだ先ですが。

 2.甘えん坊になる
 「基本は甘えん坊だよ!」と豪語するKさん。しかしこれには条件がつきます。柔和な、甘いマスクのKさんだからこそ受け入れられる大技ですから、もって生まれた顔が成否の鍵を握っています。
 強面の方は怖がられるだけですから、注意しましょう。
 「キミオは末っ子だろう?オイラも末っ子だ。だからお前にも才能があるはずだ!さいわい、童顔だからな(笑う)」

 3.後輩をかわいがる
 サラリーマンの世界と一緒で、後輩に慕われる先輩というのはそれだけ人徳があるということなのでしょう。たしかにKさんはお酒も食事もいろいろなところに連れていってくれます。でも、かわいがり過ぎるケースもあります。
 「キミオ、座れ!」
 ぼくが少し席を外して戻ってきたときのことです。指差しているのは、まさしくKさんの膝の上。師匠の言いつけに恐る恐る従うと満面の笑みで、
 「かわいいヤツだ!」
 このときばかりは同席の女の子も「引いて」いましたが…。

 以上、三つのテクニックを駆使し続けているKさん、その効果はただモテるだけにとどまりません。
 その日もいつものように夕食のお供をしていました。三軒目のお店に入ろうとすると、
 「タバコ買ってくる。先に飲んでて」とKさん。後輩に頼まず、自分で買いにいくとはさすがです。
 しかし、一時間たっても二時間たっても戻ってきません。三時間後、ついに「K先生、帰っちゃったんだよ」とぼくらも引き上げることにしました。
 数日後。
 「Kさんあの後きたわよ。ベンチに座ったら夜風が気持ちよくてつい寝ちゃったんだって、かわいいわよね」(そのお店の女の子)
 ぼくらがそんなことしたら、「だらしないわね。だからもてないのよ!」と怒られるのがオチです。恐るべき「三ヵ条」です。

 拝啓 小林覚様
 かなり寒くなってきました。これからの季節、ベンチでの一休みは危険です。気をつけてください。「三ヵ条」はぼくが引き継ぎますので安心してください。



      

覚先生。
名人戦がんばってください!!

気分的には、今回は覚先生ノリかなあ
近鉄囲碁まつりで、栩くんもいいなって思ったんですが…。


あの
このエッセイは連載を通して、正直ちょっとおやじくさいっていうか、夕刊紙風味(まあそこまでではなんだけど)な空気が漂ってますが、この回は特におやじ風味が強いデスネ。
特にね「中略」としたあたりははっきり寒気でございます…。イヤな汗が出てくるよ
昔、上司が書いた、とあるアイドルのゴーストコメントを見た時も寒すぎて冷凍マンモスになりそうになったことがあったんだけど、負けてねー
ま、碁ワールド、おやじしか読まないもんね。ちゃんとターゲットにふさわしい文章を書く規三生くんはすごいかも

道頓堀交遊録~中野寛也九段編

2005-07-03 21:12:13 | 道頓堀(とんぼり)交遊録

中野寛也九段、NHK杯大勝利記念!
規三生くんのエッセイ「道頓堀交遊録」から、今回は規三生くんの仲良しさん、中野寛也九段のエピソードを紹介しまーす!

「碁ワールド」1999年11月掲載分です。

では、どーぞ

        

 「鍋」と聞くと、わたしはある人を思い出します。その方は中部総本部所属、N・H九段の奥さん。
 数年前の冬、Nさんの自宅にお邪魔したときのことです。
 「まあ、はじめまして。ゆっくりしていってください」
 こんなうれしい言葉をかけてくれるのは、もちろん奥さん。反対にNさんは、「オイラの愛の巣をノゾキに来やがって」というような顔をして、ご機嫌ナナメ…。
 三十分もしないうちに、グツグツいってる大きな土鍋を奥さんが運んできてくれました。
 「うちは誰か来たらキムチ鍋と決めている。食ってみろ、そんじょそこらの居酒屋とは比べ物にならないから」
 Nさんは自信満々。
 そう、本当においしかった!結婚なんてそれまで考えたこともなかったのに、その夜は無性にさみしくなりました。

 さて、ついでだから今月はNさんの秘密を暴いてしまいましょう。
 先日、三星杯で韓国へいったときのこと、対局中日に総勢七人でゴルフに出掛けました。先月も触れましたがわたしは初心者、はなからブービー賞狙いです。
 スタート前、それぞれがスイングチェック。
 「ふむふむ…、グリップはこうで、腰の回転で打つ。よし完璧だ。100は切れそうだな」
 Nさんのこんなひとり言を、わたしは聞いてしまいました。たしかに、ボールを打たないスイングはプロ並みでした。
 いよいよスタート。…あれ、おかしいなあ…。わたしは18ホールを120台でホールアウト。これじゃブービーどころかビリだなあ…。
 打ちあげの席で表彰式。
 「ブービー賞はキミオです」
 へー、わたしより叩いたやつがいたんだと思っていると、なんとそれはプロ並みのスイングを見せつけていたNさんでした。
 「100を切る」と言っていたひとり言はわたしの聞き間違いだったのか、ハーフ(9ホール)90台のスコアでした。
 でも、Nさんは落ち込んだりしません、おいしい料理とお酒に囲まれた中でさっそくスイングチェック。
 N「どこがおかしいのかな?」
 A「脇をもっと締めろ!」
 N「あっ、思い出した!そうかそうか、いつも練習ではこう打っていたな!」
 約三分で反省会は終了。奥さんにしか見せないような笑顔が印象的でした。
 初日で負けてしまったNさんは翌日も手合がありません。反省会の成果を確かめるべくNさんはさっそうとゴルフ場へ出掛けたそうです。
 夕食の時、一緒に回ったAさんに聞いてみました。
(中略)
 Aさんによれば、(中略)
「ゴルフ始めて2ヶ月、コースは初めてだったらしいよ。ずいぶん強気だよね」

 その夜遅く、電話をしているNさんを見かけました。うなだれて口数も少なく、ペコペコ頭を下げています。
 Nさんは電話を切ったあと、わたしの視線に気が付きました。
 「うっかりカミさんに、今日もゴルフしたこといっちゃった…。おこづかい減らすって…。」
 あの強気なNさんはどこへいってしまったのでしょう?奥さんの前だけ見せる謙虚さをゴルフにも向けたら、100を切るなんて簡単だと思うのですが…。


拝啓 中野寛也様
 料理上手な奥さんでうらやましいです。きれいだし…。おこづかい減らされたのは自業自得でしょう。誰も同情しないと思いますよ。また遊びに行きます。
 追伸・奥様へ
 未確認情報ですが、旦那さんは韓国で計3ラウンド回った疑惑があります。とっちめてやってください。情報料はキムチ鍋でお願いします。

         

中野九段の方が2、3歳年上だったと思うんだけど。
完全にいじめっこキャラの規三生くんと、強気でかわいい中野九段のコンビ。
中野九段って中学生か高校生くらいのお子さんがいたと思うんだけど、見た目かわいいよね、童顔っていうか。
 


結婚

2005-06-26 23:36:03 | 道頓堀(とんぼり)交遊録

子供は完全回復っぽいです。
しかし、母にしっかりウィルスうつしてくれました。まあしかたないです。
土日は死んでました。家族の非難に負けず、寝て寝て寝ました。しかし、家族よ。多少は大目にみてよ

ノーエさんの「結婚は…」のコメント。女性ファンなら(ノーエさんは規三生くんのファンではないが)、口には出さずとも心の中ではものすごく気になってることですよ。

ご本人はどう思ってるの?というわけで、規三生くんが連載していたエッセイの最終回、「碁ワールド・2000年6月号」の「道頓堀交遊録」から引用。



 ぼくがいま一番悩んでいるのが結婚です。相手がいないという以前に、周りがうるさいんです。 
 先日、久しぶりに実家へ帰ったときも、両親にチクリとやられました。
「元気か?」
「うん」
「顔色悪いな」
「そんなことないよ」
「メシ、ちゃんと食ってるか」
「一応ね」
「外食ばかりなんだろう。メシつくってくれる人早く見つけろ」 
 手合の話なんていっさい無し。孫の顔ってそんなに見たいんですかね。
 これはDさんも同じ。お酒を一緒に飲んでいると、
「山田さん、独身?」
また始まったよと思いながら、
「はい」
とぼく。
「うちの娘と会ってみない?」
 ぼくも男ですから、純粋に「娘」さんには興味があるんです。でも「あなたの娘さんには……」というのが正直なところ。いままで仲良く飲んでいた方、もしかするとお父さんになっちゃうわけでしょ?うーん勘弁してくださいよ。
 最近はぼくも成長して「好きな人がいるんです」とはじめに断っておくようにしています。
 あっ、これは断るための「ウソも方便」ですからね。一般の娘さん、ドゾよろしく。

 できればちょっと年上で、できればナイスバデーで、できれば料理上手で、できれば財布のヒモが固い人がいいです。 
 さて、今月登場していただいたみなさんは棋士ではありません。(A、B、C、)Dさんはアマチュアの方。いろいろ文句を並べてきましたが、こんな人たち、ぼくは大好きです。
 「ファンあっての棋士」とよくいわれます。理屈では十分に理解しているつもりでも、ぼくにはいま一つピンときません。
 約一年間、ぼくの先輩、後輩、友達を紹介してきました。それは囲碁ファンのためではなく、棋士を好きになって欲しかったから。
 ぼくはみなさんが好きです。みなさんは棋士が好きですか?うーん、なんだかまとまりのない最終回になってしまいました。


 拝啓 読者のみなさま
 長い間つまらない話にお付き合いいただき、ありがとうございました。来月からはネタの心配をしなくていいので、ぼくの心は五月晴れです。今度は自戦解説でみなさんとお会いしたいですね。タイトルでも取ったときに(笑)。それでは! 敬具



このエッセイは、毎回一人の棋士のエピソードを頭文字で面白く、皮肉っぽく紹介して、最後にお手紙形式で、その棋士の名前と規三生くんからのメッセージで締めるという内容で、「碁ワールド」の創刊から(この辺があやふやでもっと前から、囲碁クラブか棋道で連載されてたのかもしれません)、1年弱連載されていました。
取り上げられた棋士は、石井邦生九段、小林覚九段、羽根直樹棋聖、柳時薫九段、佃亜紀子四段などなど。
どの回も面白いし、構成も文章もうまいんですが、この最終回だけは自分のことを書いてるせいか(実際は石井邦生先生の回でも自分のことを書いてるんですが)、最後だからか意気込みすぎな感じもします。
ツッコミどころいっぱいですよ 好きなタイプ(ナイスバデーって)やら「今度は自戦解説でみなさんとお会いしたいですね。タイトルでも取ったときに(笑)」って、…タイトル取ってくださいね

っと、本題は「結婚」でした。これ27歳の頃の規三生くん。なんか分かりますよね。20台後半ってこんな感じじゃないですか。30歳過ぎて変化あったかな?どうでしょう。



自分のことですが、そういえば私もこれくらいの年の頃に、将棋の元奨励会会員って人(元ってことはプロになれなかった人ということですが)とお見合いを勧められたことがありましたわ。断った理由は「好きな人がいる(ウソ)」でした。