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リテラシーとテクニカルスキル

2023-08-03 00:51:27 | etc.

最近、リテラシーという用語をちょくちょく耳にするようになりました。
リテラシーは英語で書くと「literacy」で、読み書きする能力のことです。
読み書きする能力があるということは文字による情報伝達ができるということであり、これは地球上では人間のみが有している能力です。
人間以外の生き物は見て聴いて匂って触って感じて情報を得ています。文字は使いません。
つまりリテラシーは人間らしさの指標ともいえます。

ビジネスで使われるリテラシーという言葉は単純な読み書き能力だけでなく、専門情報の取得および伝達、すなわち情報活用能力のことを意味しており、使われ方としては、何らかの専門分野を表す用語に続けて「~~リテラシー」のように使われています。
世の中には分野・業界ごとに独自の専門用語があるだけではなく、同じ単語でも分野・業界によって違うことを意味していることもあります。
リテラシーを身につけるということは、業界用語、単に専門用語だけでなくそこで使われるすべての用語の意味を正しく理解して、その業界用語を用いてその業界にいる人たちと会話ができるようになるということです。

業界用語への理解が高まれば高まるほど業界人同士の会話はとても快適になります。
しかし一方で、業界外の人と話をする際に、業界用語が理解されない、通じない場面に直面することもあります。
ドリフト、グリップ、ドラッグと聞いてどんなシーンが思い浮かびますか?
ある人は車のレースを、別の人は川で釣りをしているシーンを思い浮かべることでしょう。
どんな業界に身を置いているか、どんな趣味を持っているかで、同じ単語を聞いても、それに対する反応が異なります。

用語の定義が共有されていなければ、会話を円滑に進め、お互いの理解を深めることはできません。
したがって業界情報を誤解のないように業界外の人たちに伝えるためには、業界用語を一般的な表現に言い換えることも必要となります。
リテラシーを高めるというのは、単に業界用語を理解して使いこなすだけではなく、これを一般化して説明できる能力まで含まれると考えるべきでしょう。
この能力は業界外だけでなく部下を育成する場面でもとても役立ちます。この言い換えが得意な人に優れたマネジャーが多いように思います。逆に、言い換えによる分かりやすい説明ができない人は、どんなに頭が良くて技術力が備わっていても、得てして「こんなこともわからないのか!」と怒鳴り散らすことしかできないので、マネジメント層には向かないでしょう。

どんなに高いリテラシーを備えていても技術が伴わなければただの頭でっかちで口だけの人に成り下がってしまいます。逆に、リテラシーが低く、自分が持っている技術をうまく人に伝えられなければ技術は伝承されず廃れてしまいます。
しかしながら、古くから日本のモノづくりの世界では、「見習い」の言葉に代表されるように、マニュアルによる技術継承というのは行われておらず、弟子は師匠の作業を見て仕事を覚え、さらに独自の工夫を加えることで技能を高めてきました。
つまり、そこにリテラシーはなく、弟子の観察力と創造力の高さによって技能が伝承されるとともに高められてきたということです。

現代社会では見習いの風習なんて古臭いと敬遠され、デジタル技術によって匠の技を見える化するとか、マニュアル化により技能を技術に落とすことがさも正義のように唱えられています。しかしひとたび技術に落とし込まれたものは、だれにでも似たような水準のものが大量に作れるようになるというメリットはありますが、そこに甘んじてしまうと、卓越したモノづくりができなくなってしまう懸念があります。
日本のモノづくりを支えてきたのは、間違いなく匠の技と師匠を超えようとする弟子たちの心意気、つまり職人気質、今風に言えばテクニカルスキルです。

リテラシーを高めることは良いことですが、その前に確かなテクニカルスキルも身に着けておきたいですね。


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