goo blog サービス終了のお知らせ 

白き焔BLOG

腐属性注意。ツイッター @masoho_zero 連携中心。

ハガレンの真実・真理と幸福の関係

2005-05-21 02:09:36 | 鋼コラム
しばらく前に書きかけたコラムを発掘(苦笑)外伝『盲目の錬金術師』絡みで考えていたことです。

知ることが幸せなのか、不幸なのか。
知らぬことが幸せなのか、不幸なのか。

真実・真理。この話では、それは生命に帰結している。

真実:嘘偽りのないこと。(仏教用語では絶対的真理のことも真実と言う。)
真理:普遍的で妥当性のある法則や事実。(ハガレンにおける真理は、哲学的真理なのだが同時に科学的真理でもある。)

ならば、最も知るものこそ最強であり、幸福か・・・?

とりあえずこの真理を一番探究しているのは「お父様」であろう。そしてその元で暮らしているホムンクルスたち。

しかし知るという要因と、幸福の度合いという要因に相関関係はない。(正比例も反比例もしないということ)

何も知らぬものも幸せでありえるし、すべてを知って幸せであることもありえる。その逆も然り。

錬金術で人間をよみがえらそうとした盲目の錬金術師ジュウドは、「私の理論は証明されたのですか」とまるで実験のようにそれを語る。

それは最大の真理である自然の摂理に反して(錬金術は摂理に反していないはずなんですがね。科学だから(笑)ここでは、自然妊娠を第一摂理として考えます)、人を甦らせたり生み出したりするのは、やはり”神の領域”への冒涜だと思っていて、自分が行なうのはおこがましいと、これは神への挑戦ではなく実験であるというような気持ちがあったのかもしれない。

ハガレンでは普通のアメストリス人の宗教はあまり描かれない。コーネロなどは新興宗教のように扱われていた。だからここで神という表現を使うのは不適切かもしれない。自然妊娠などを含む大自然の生命力、アミニズム的な神をイメージして欲しい。

ジュウドが自分の「実験」が失敗したことに気づかないわけがないと思う。視力を犠牲にしただけで、等価交換として一人の人間を作れるわけがないからだ。しかし誰も失敗したとは言わない。自分は視力を失い、「結果=真実」を確認することができない。

「娘は帰ってきた」という優しい嘘。騙される優しさ。みんな優しいんだ。でも、その優しさは、真実からは遠い。

この人たちが幸せなのか?と言ったら、破綻しなければ幸せだといえるだろう。無理が通れば道理(理論=真理)は引っ込む。破綻するキッカケになりかねないエドたちの訪問。

みんなが自分の何かを守ろうと優しい嘘をつく。エドの言うとおり、確かにみんな救われないよね。

エドは真理に手足を、アルは肉体を持っていかれた。ヒューズは真実に近づきすぎて死んだ。ロイは真実を求める。ホムンクルスでさえ真実として存在するならば、幸福を得る資格はある。

少しづつでもみんなが幸せに近づくといい。

最新の画像もっと見る

4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
セルフ突っ込み (真朱薫)
2005-05-21 02:08:30
今月のアルの台詞[こんな体でも不幸じゃない]と言うとおり、ハガレンは自分を不幸と思ってないキャラばかりだ。

そのポジティブさがこのマンガの救いであり、魅力の一つだ。
返信する
雲伯鉄鋼ストライベック (神仏照覧)
2025-02-28 14:33:55
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
返信する
CCSCモデルファン (オノゴロプロジェクト)
2025-06-06 14:42:39
「材料物理数学再武装」なつかしいですね。トライボロジーにおけるペトロフ則とクーロン則を関数接合論でつなげてストライベック曲線を作成する場合、関数の交点近傍でなくても繋げることができる関数としてAI技術の基礎となるシグモイド関数が出てくるあたりがとても印象的でした。ちなみにストライベック曲線(シュトリベック線図・Stribeck curve)は、ドイツ人研究者のRichard Stribeck(リヒャルド・シュトリベック)が20世紀はじめに、すべり軸受の摩擦特性や、転がり軸受の静的負荷能力の実験から、導き出した軸受定数G(ゾンマーフェルト数;無次元数の一種)に対する摩擦係数の挙動を示す特性曲線です。
返信する
トライボシステム (正道を歩む)
2025-06-06 14:44:18
日経クロステックの記事に去年ののノーベル賞は「「AIの父」ヒントン氏にノーベル賞、深層学習(ディープラーニング)の基礎を築いた業績をまとめ読み」と題して紹介されていましたが、物理学賞、化学賞ともにAIがらみあったんですね。しかしながらブラックボックス問題の解明には至っていないようです。AI半導体大手のNVIDIAのCEOも「AIと日本の優れた製造業、ロボット技術を合わせれば、日本は新しい産業革命を起こせる」と述べ、日本が持つ可能性に対して強い期待感を表明している。このようなAI技術は地球環境問題だけでなく人口減少に伴う労働力不足の解決策ともなろう。今後ロボットは高度な多軸、多関節化がおこることが予想されるため日本人の経営者も指導力を発揮すべきでは。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。