そしてもう一人この12月8日に命を落としたミュージシャンがいる。
元PANTERA、DAMAGEPLANのギタリスト、ダイムバッグ・ダレルだ。
去年のこの日、自身のバンドDAMAGEPLANのライブが始まった直後、ステージに上がってきた
ネイサン・ゲイルというイカれた野郎に後頭部から頭を銃で撃ちぬかれ、即死。
というあってはならない悲惨な事件が起こったのは記憶に新しい。
(その時ドラマーの兄:ヴィニー・ポールも銃で狙われ、
それを助けに入ったローディー1人と観客を含む3人も死亡。
銃乱射に伴い何人か負傷者も出ている)
奇しくもジョン・レノンと同じ日に凶弾に倒れた彼。
遺族やファン(俺もその一人)の気持ちを考えると今でもいたたまれない。
PANTERAについて軽く説明しよう。
PANTERAは80年代半ばにダイムバッグとヴィニーの兄弟を中心に結成され、
1度ボーカルが変わった後に1990年夏に世界デビューを果たす。
そのアグレッシブさとモダンなヘヴィさは
BLACK SABBATHやJUDAS PRIEST等の影響はもちろんあったが、
当時流行っていたどの音楽とも似ていなかった。
ダイムバッグのギターサウンドも、真空管アンプではなくトランジスタアンプを用い、
ハイエンドを極限まで高めた究極のドンシャリサウンドで画期的なものであった。
そしてヘヴィなサウンドの中に現れる、
エディ・ヴァン・ヘイレンやランディ・ローズを呼び起こすようなテクニカルなギターソロは絶品。
デビュー前、数々のギターコンテストを総なめにし、遂には審査側に回った逸話も頷ける。
彼らの音は2ndの「俗悪」を境によりハードコアな音へと変化してゆく。
そしてそれに合わせて彼らを真似たフォロワーが世界中から現れる。
その頃になると
「ギターソロは古い!」。
または明らかにメタリックな音楽をやっているのに
「俺たちはメタルじゃない!」
と言うバンドが続出する変な風潮が出てきた。
だがPANTERAはそんな流行バンドとは違い、その音楽からギターソロは無くなる事はなく、
更には自らを「ヘヴィメタルバンド」だと呼んだことで、過去の偉大なバンドたちにリスペクトを示したのだ。
そして2000年に5枚目のアルバム「激鉄」を出した後、
ボーカルのフィル・アンセルモが新しいバンドを始めたことでPANTERAは事実上の解散に。
その後ダイムバッグと兄ヴィニーが始めたバンドがDAMEGEPLAN。
忌々しい事件がおきたのは1stアルバムのツアーの最中だった…。
俺がPANTERAに出会ったのは高1の時。(中3の時からその野蛮そうなルックスは知っていたが)
知人に借りた2ndの「俗悪」はヘヴィすぎて、当時の俺には聞けなかった。
その約1年後の高2の時、別の知り合いからの熱い薦めで借りた
1st「Cowboys From Hell」を聴いてぶっ飛んだ!
1stは2ndに比べ音楽性が少し違う事実もあるが、きっとその1年の間にMOTLEY CRUE、AC/DC、METARLLICA、ラジオ番組「Heavy Metal Syndicate」を聴き始めるようになったことで、
ヘヴィな音に慣れてきたのか、その後再び手にした「俗悪」はすんなり聴けた。
そしてやはりぶっ飛んだ!
その後手にした3rd「悩殺」を聴いたことでさらにPANTERAにハマる事に…。
(ちなみに4th「鎌首」5th「激鉄」は複雑すぎてあまり好きじゃない。聴いたのも大学に入ってからだし…)
そのハマり具合といったら、高3の夏に「Cowboys From Hell」「Walk」「Mouth For War」
をライブでカバーしたほどだ。(個人的にはもっと色々コピーした)
そんなこんなで青春時代に多くの影響を受けたギタリストだっただけに、
彼の死の知らせは非常にショックだった。
去年、彼の死を知った次の日はPANTERAのアルバムを全部聴きながら
彼の好きだったバーボンを飲んだし、彼のホームページにも追悼のメールを送った。
あれから1年経つが、俺はまだ彼の死を信じられない。
銃社会のアメリカが生んだ悲劇といっても過言ではないだろう。
安らかに眠ってほしい。
ホントに惜しい人をなくしたものだ…。