まさおレポート

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男と女 シンプルに徹した結果の僥倖

2007-06-13 | 映画 絵画・写真作品含む

今まで何度となくチャンスはあったのだが疲れて途中で寝てしまったり、途中で退屈になったりで、名作と言われているのに最後まで見たことのない作品だった。

子連れ中年の男と女の恋愛だが、お互い過去を引きづり、心から恋に没頭できない二人の物語がモノカラー、セピアカラー、カラーで描かれる。特に気の利いた台詞が目立つわけでもないがそれだけに現実感があり、こちらの気持ちが穏やかだと、地味だが味わい深い世界に入っていける。

サラリーマン時代は気分が急いているため、この映画の世界になかなか入って行けなかったが、今回は最後まで楽しめた。気分の急いているときはアメリカ映画の方がすぐに入って行ける。

この映画の製作裏話が興味深い。クロード・ルルーシュはこの映画の直前は破産寸前に追い込まれていた。苦悩から逃れるために深夜のドライブをした後海岸で夜を過ごし、朝の6時に子ずれの婦人の散歩をみてこの映画の着想を得たという。

金がないので脚本と準備で3か月、撮影を4週間しかかけていない。節約のためフィルムはモノカラーが中心で、機材は最小限に抑えたらしい。いわば捨て身の製作が結果的に地味のある味わい深い映画に仕上がっている。

クロードルルーシュはこの一作でアカデミー賞その他を取り一躍著名監督となった。成功の秘訣はシンプルなストーリーとよい俳優、それに音楽、これだけで十分に名作が出来上がる時代背景だったのだろう。現在ではヨーロッパ映画といえども相当な金をつぎ込まないとヒット作は生まれないのではないか。


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